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料理の激人

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料理の激人

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 雅羅の腕を組んで歩いている瑠兎子を先頭にいくつかの店を回り、食材を手に入れた雅羅一行。
「うふふ♪ ワタシと雅羅ちゃんが、相思相愛になって同棲するようになったらこうやって、手を繋いで毎日のように買い物に……。素敵だわ♪」 
「あの、瑠兎子……? 別に手を繋がなくても」
「うふふふ……♪ そして最後にはあんなことやこんなことも……。ふふっ♪」
 雅羅が瑠兎子に声をかけるも、夢の世界に旅立っているのか瑠兎子には届かなかった。
「幸せそうだねー。るーちゃん」
「姉は雅羅さんが好きだからね」
「……ゆーくんも嬉しそうだね?」
 美羽の言葉に頷く、夢悠。
「雅羅さんと一緒に買い物に出来るから楽しいかな……」
 好意な視線で前を行く雅羅を見つける夢悠。それを見て、頷く美羽。
「うんうん! 何事も楽しまなくちゃね♪ それと、頑張ってね♪」
「えっ!? えっと……」
「どうした? ゆめちか、顔赤いぞ?」
 カイナが首を傾げながら夢悠の顔を覗き込む
「い、いや……」
「雅羅ちゃんの好きな料理って何? ワタシ達が同棲したら雅羅ちゃんの好きな物一杯作ってあげるわね!」
「えっ、あのちょっと……」
 そんな夢詠達を放ってどんどんと進んでいく雅羅と瑠兎子。
「あ、雅羅さん達どんどん行っちゃう。待って二人とも!」
 誤魔化すように二人の元へと走っていく夢詠。
「……? なんだったんだ?」
「ふふ、心配するような事じゃありませんから大丈夫ですよ」
 結局意味が分からなかったという感じで首を傾げるカイナと先を行く三人を見て微笑むベアトリーチェだった。

「……ハラマタチームのメンバーを確認。どうしますか?」
「丁度良い……。少し妨害してやろう」
 そのやり取りを人ごみの中からひっそりと見ている激人チームがいるとも知らずに。

「秋刀魚と秋鮭は……ここの魚屋だね」
「さぁ、行きましょう♪ 雅羅ちゃん♪」
「え、えぇ」
「あっ、あった! 果物屋!」
「あ、カイナさん! どちらへ?」
「すぐ戻るぞー!」
 雅羅達が坂道の途中にあった魚屋、カイナが一人果物屋へと向かったすぐの事。
「これで、頼まれていた食材が揃ったね」
「雅羅ちゃんとの買い物ももう終わりかと思うと残念だわ……。でもまたできるわよね♪」
 八百屋から出てきた雅羅達。丁度そのとき坂の上で、ガコンッ! という大きな音が聞こえてきた。そして、人々の騒ぎ声。
「ん? なんの音だ?」
「上の方からね……」
 雅羅達が坂の上を見上げると大きな音と共にいくつのもタルが転がってきた。
「わわっ! いっぱい転がってきた!」
「なんでいつも私はこんな事ばかりに……!」
「とにかく危ないから避けないと!」
「ユッチー。雅羅ちゃんをお願い」
「えっ、あ、うん! 雅羅さんこっちへ!」
「分かったわ」
 瑠兎子は雅羅を夢悠へと託し、一人転がってくるタルの前へ。
「瑠兎子さん! 危険ですよ!?」
「ワタシの雅羅ちゃんと食材に危害を加えようとするなんて……許さないわ!」
 まさに神速。手に持ったランスで一瞬の内にタルを次々とただの木の板へと解体する瑠兎子。
「わっ! すごい!」
「雅羅ちゃんには指一本触れさせないわ! さぁ、タルを落とした人は誰!? 出てきなさい!」
「でも、一体誰が……? あれ……」
 夢悠が坂を見上げるとその先にいた数名の人。
「あれって、相手チームのかな……?」
「なんですって!?」
 瑠兎子が見ると慌てて姿をくらました。
「ちょっと度が過ぎるわ。捕まえに行くわよ!」
「えぇっ!? ちょっと待って! 今はそんな事をしている場合じゃないよ!」
「そうよ、これを届けないと……」
 雅羅が手に持った袋には先ほど買った食材達。
「……そうね。次あったらただじゃおかないんだから」
 そうして誰もいない坂の上を睨む瑠兎子だった。