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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第十九篇:風祭 優斗×テレサ・ツリーベル×ミア・ティンクル×諸葛亮著 『兵法二十四編』

 風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)は修羅場の渦中にいた。
 仲間の少女たちに内緒で、横山 ミツエ(よこやま・みつえ)と『本』の中でデートをしていた優斗は、森林浴をしながら湖畔を歩いていた。
 そこまでは良かった。しかし、何故か湖畔にはロープが張られており、それに躓いて転んでしまった優斗は、その拍子にミツエを湖畔に突き落としてしまったのだ。
 するとなぜか、仲間の少女の一人である諸葛亮著『兵法二十四編』(しょかつりょうちょ・ひょうほうにじゅうよんへん)が湖の中から現れたのだ。
「優ちゃんがデート中に池に突き落とした女の子は金の斧を構えた女の子――テレサかしら?」
 すると、今度は仲間の少女の一人――テレサ・ツリーベル(てれさ・つりーべる)が現れる。
「げえっ!テレサ!」
「優斗さん! 優斗さんの(剣の)花嫁の私を差し置いて恋物語の相手にミツエさんを選ぶなんて……どういう了見なんですか!?
「ちがうんです!!」
 激昂するテレサ。すると再び諸葛亮著『兵法二十四編』は湖に潜る。そして、再び現れた時には、もう一人の仲間の少女であるミア・ティンクル(みあ・てぃんくる)を連れて再び湖面へと浮き上がってきたのだ。
「げーっ、ミア!」
「優斗お兄ちゃん!優斗お兄ちゃんの婚約者の僕を差し置いて恋物語の相手をミツエちゃんにするなんて……どういうつもりなのさ!?」
 すると三度、諸葛亮著『兵法二十四編』は湖へと潜っていく。
「優斗さんが私以外の他の女の子を選ぶなんて許せません! ……ただ、優斗さんは本当は私の事が好きで今回も私の気をひきたくてやったのかもしれませんから、優斗さんにはもう一度だけ私を相手に選び直すチャンスをあげます」
「優斗お兄ちゃんが浮気をするなんて許せないよ! でも、お兄ちゃんは実は僕の事が好きで僕の気をひきたかったのだけどやり方を間違っちゃったのを分かっているから、お兄ちゃんにはもう一度だけ僕を相手に選ぶチャンスをあげるよ」
 テレサとミアの二人からまったく同時にステレオ気味の言葉をかけられ困惑する優斗。
 そして、三度湖面が揺れると、今度は諸葛亮著『兵法二十四編』はミツエを伴って現れた。
「朕を逢引に誘ったのは事実だろう。それに何か不都合でもあるのか?」
 その一言をミツエが言い終えた途端、静かだった湖畔が更に静かになる。そして、諸葛亮著『兵法二十四編』は優斗に問いかけた
「優ちゃんがデート中に池に突き落とした女の子は金の斧を構えた女の子――テレサかしら?」
「ちがうんです!!」
 首を振る優斗。
「あら? 違うの?」
 諸葛亮著『兵法二十四編』は再び問いかける。
「それなら銀の斧を構えた女の子――ミアかしら?」
 再び首を振る優斗。
「ちなうんです」
「あら?また違うの?」
 そして、諸葛亮著『兵法二十四編』は三度問いかけた。
「なら、鉄の斧を構えた女の子――ミツエかしら?」
 そして、またも首を振る優斗。
「わざとじゃないんです、ちなうんです!ちなちなちなちな……!!」
「あら? 今度も違うの?」
 すると、諸葛亮著『兵法二十四編』は、優斗に微笑むと、さらりと言った。
「でも、もう代りの女の子がいないから皆プレゼントするわ。これでハーレム完成ね! モテモテよ!」
 その瞬間、優斗は場の空気が凍りついた音を聞いたような気がした。 
「優斗さんが私を選ばないようなら……この攻撃した相手を惚れさせる魔法の金の斧を使って優斗さんとラブラブ(=ボコボコ)にします!」
 そう言って斧を構えるテレサ。
「優斗お兄ちゃんが僕を選ばないようなら…この攻撃した相手を好きになる魔法の銀の斧を使って優斗お兄ちゃんをらぶらぶ(=ぼこぼこ)にするよ!」
 ミアも負けじと斧を構える。
「ふむ、ここは朕も乗るとしようかの」
 なぜかミツエも斧を構える。
「リョーコさん、また余計な事を……。いや、テレサ、ミア、ミツエさん、とにかく落ち着きましょう。話せば分かりますから……お助け〜!」
 その日、静かな湖畔に優斗の悲鳴が何度もこだましたという。