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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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「先に上がるで? あんまり入ってるとのぼせるから気をつけろよ〜」
 七枷 陣(ななかせ・じん)は部屋付きの露天風呂を先に上がっていった。
「うん!」
「もう少しリーズ様と温泉を堪能してから上がりますね」
 リーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)小尾田 真奈(おびた・まな)がそう返すと、陣は後ろを向いたまま手を振り了解の意図を示した。
「あ、ほら! 真奈さん! 月が綺麗だよ♪」
「ああ、本当ですね。月が綺麗……」
 2人は水面に映った月も見て固まる。


 部屋に先に帰ってきていた陣は、2人のためにわざわざ旅館の売店まで行き、買ってきた冷たいフルーツ牛乳を用意して待っていた。
「あいつら喜ぶだろうな」
 陣は2人の喜ぶ顔を思い浮かべ、によによしている。
 そこへお風呂から上がり、浴衣に着替えた2人が帰ってきた。
「おう! お帰り。おまえらに良いものを――」
「ねえ……陣くん……」
 陣の言葉を遮り、リーズが四つん這いになって陣に迫る。
 合わせからリーズの柔らかそうな小さい山が覗く。
 それを見てしまい、喉を鳴らす陣。
「な、なんやっ!? 何事やっ!?」
「しよ?」
「ななななな何をやっ!??」
「その……え、えっちぃこと……」
 リーズは少し頬を染めながら、恥ずかしそうに顔を背けた。
「ええっ!?」
 しかし、陣の反応を見ると陣の着ている浴衣の合わせを掴む。
「だって、恋人になってから数えるほどしたしてないんだよっ!?」
 迫られた陣はたじたじになり、後ろへ逃げようとする。
 しかし、すぐに動けなくなってしまった。
「真奈!?」
 真奈が後ろから腰に手を回し、がっちりホールド。
「申し訳ありません……」
 そう言いながらもいっこうに力を弱めない。
 背中にぴったり張り付いた真奈のふくよかな胸が当たる。
「その唐突ですし、はしたないとは思うのですが……」
「はしたないと思うんだったらやめよう!? なっ!?」
「しかし、ご主人様にリーズ様と一緒に愛して欲しいのです」
 陣は耳元で囁かれてしまい、けっこう限界。
「それにもう少し肌を重ねる機会があっても良いと思うんです」
「確かに去年から数えられるほどしかしてないけど!! でも、落ち着け!! お前らなんか耳とかしっぽついてるしおかしいって! 獣人にでもジョブチェンジですかっ!!」
 陣の言葉にリーズと真奈は首を傾げる。
 2人ともまったく気にしていないようだ。
「素数でも数えて落ち着こうや? な?」
「ご主人様は……素数を数えながらのプレイを……?」
「陣くんが望むなら……」
「ちがーう!! そこ! リーズ!! 顔を赤らめるなー! ほら、せっかく買ってきたフルーツ牛乳もぬるくなっちゃうし……!! アッ――」
 陣の言葉空しく、そのまま陣は2人においしくいただかれてしまった。
 ついでにフルーツ牛乳も一緒に。


 翌朝。
 アフロちっくになってしまっているが幸せそうなエルと申し訳なさそうにしているホイップに出会った。
 しかし、3人が顔を真っ赤にして目をそらすことから、何も聞かずにいてくれるのだった。