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先物買いの銭失い?

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先物買いの銭失い?

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■雑貨店、その後
 ――黄昏時。葛たちと店主が大急ぎで雑貨店に戻ってくると、店がそこそこ盛況の様子に店主は驚いていた。
「俺の店、ずいぶんと賑わってるな……」
「すいませーん! 店主さん、こっちにきてくださーい!」
 と、ルカルカが店主を呼ぶ。店主が呼ばれたほうへ向かうと、そこには店主に催眠商法をした悪徳業者――というには、かなり顔が腫れすぎているが……が、全身縛られた状態で正座させられていた。業者のその太腿を、セレンフィリティがぐりぐりと踏み潰そうとしているのを、セレアナが何とか抑えようとしている。……どうやら、雑貨店到着後にセレンフィリティとアッシュに散々殴られたらしい。
「すいませんでした……」
 涙声で、しかも声が枯れている。一体何があったのだろうか……。
「じゃあ、謝罪もすんだことだし……俺たちはこいつを国軍に連れていこう」
 ダリルがルカルカにそう言うと、二人は悪徳業者を連れて国軍のほうへと護送していくことになった。二人への給金配布は後日になるだろう。
「さて、と……売り上げのほうはどうなったんだ?」
 業者との面通しを終わらせた店主は、骸骨マスコットや雑貨店の合計売り上げを計算中の秀幸へ尋ねる。秀幸は眼鏡をかけ直すと、その結果を伝えていく。
「――計算の結果、総仕入額を予想してた額より十数%ほど大きく上回ってるみたいです。いくつかの高利益や喫茶スペースのテナント料などが生んだ結果かと」
 予想を裏切っての高い儲けに、秀幸は驚いている様子である。安堵した店主は全員へはずめるだけの給金が出たことを告げていった。……どうやら、この骸骨マスコットの利益から給金を出すつもりでいたらしい。
「店主よ、金は要らないから報酬は食べ物が欲しい。みかん一年分、もしくはうどん五年分のどちらかで手を打とう。俺を使った報酬は高いぞ?」
「ちょっと待った! 存英の言うことは無視して金だ、金を報酬によこせ!  はずむ分より高くくれなきゃ、ただじゃすまないぞ!」
 報酬について、存英とフィリスが意見しあう。むー、とにらみ合い……一触即発に近い状況であった。
「あー、わかったわかった。検討はしておく。――それと、骸骨マスコットがいくつか余ってるみたいだが利益は十分出てるから、持っていきたい奴は持っていってくれ」
 きちんと検討することを二人に伝えた後、すぐにお給金の準備に入る店主。残った骸骨マスコットは持っていきたい人が各自持っていくこととなった。
「ね、ね。これ……可愛いでしょ?」
 骸骨マスコットをもらった月夜はさっそく、マスコットに刀真の衣装(作ってたらしい)を着せて、それを刀真に見せる。……見せられた本人は、なんだか不満そうな表情を浮かべていた。とはいえ、月夜は大事そうにそれをキュッと抱きしめるのだった。
「むぅぅぅ……なぜ! なぜキモカワフィギュアが売れなかったのだぁぁあぁぁぁ!!」
 兵聞は叫ぶ。なぜ自分がプロデュースしたコーナーの商品が売れなかったのか。……だが、兵聞は気づかない。商品説明をするべく自身がずっとコーナーの前で仁王立ちしていたせいでほとんどの人が買えなかったのを……。
 そんな悲しみはさておき、給金の準備を終えた店主はそれぞれにお給金を渡し、激動だった一日は過ぎていくのであった……。

 ――その後、雑貨店がどうなったかというと。
「いらっしゃいませー!」
 ……蛇々が勇気を出し、店主へツンデレ気味にこの店でアルバイトさせて欲しい旨を話すと、店主はすぐに了承した。リュナやアール、エスフロスも蛇々と一緒にアルバイトを始めたようだ。
 というのも、通常業務班が残してくれた喫茶スペースや店の方針をそのまま続けていくことになり、今までの店主一人だけでの経営では手が回らなくなってしまうから、とのこと。
 そして何より……陽太が盛大に宣伝したり各地での行商の口コミが広まったこともあってか、骸骨マスコットの人気が出てしまったのだ。店主はすぐさま別口の正規業者に依頼してマスコットを量産したり、通信販売からでも購入できるため、その処理をしたり……などで忙しさが増したのも理由の一つである。
 今やこの雑貨店のオリジナルブランドとして機能してきている骸骨マスコット。商魂たくましいそんな経営も波に乗り、人の来ない日はなくなったらしい。疫病神だったそれは、福の神へとその姿を変えたのであった……。



 ちなみに、みことと蘭丸の『一日デート権』をそれぞれ獲得したオタクたちはというと……。

「え、ええと……だから、ボクはその――なんですよ? だからその、そういうことh――え、『むしろご褒美です』? そ、そんなぁ、あ、あ〜れ〜……」
 ――持っていかれてしまうみこと。

「――ふっ、騙されたわねお客さん。……はぁ? 『関係ない、ペロペロしちゃうぞ』? なに言ってんの、あたしは――なのよ。「受け」より「攻め」をするに決まってるじゃない! さぁ、覚悟しなさいっ!」
 ――逆に持っていく蘭丸。
 ……それぞれで、悲喜こもごもの結果を生んでいるようだ……。

 教訓。先物買いには気をつけよう。

担当マスターより

▼担当マスター

秋みかん

▼マスターコメント

 初めまして、もしくはこんにちは。柑橘類系マスター・秋みかんです。
 今回もたくさんのご参加、ありがとうございました。どれも非常に個性あるアクションで、どれもリアクションでの一花を咲かせれたかなぁ、と思っております。
 うまくコメディな感じにまとめれたか不安ではありますが、気に入ってもらえると幸いです。
 いつも通り、今回も称号が増えてるかもしれません。お楽しみに。
 それでは、次の作品でもお会いできることを楽しみにしつつ――。