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災い転じて福となる?

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災い転じて福となる?

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しあわせ、ってなに?

「次はこちらからいきますよ」

 エッツェルは背中から突き破って生えてきた骨の翼を扇いでブリザードを巻き起こす。
 それに耐える海たち。

「守りに入ってはアソオスを助ける事はできないぞ」
「それなら火が効かないようですし、わたくしの聖なる光で」
「光か。なら我も援護しよう」

 武器の聖化をかけていた魔道銃でエッツェルに狙いを定めるルーツ。

「単発でいっても敵うような敵ではないでしょうし、一気にいきますよ」

 銃を発射するルーツ。リリィもバニッシュを放つ。

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

 ルーツの弾も、リリィのバニッシュも命中し、その場に倒れるエッツェル。
 エッツェルの傍でしゃがみ込んで泣いているアソオスの許へ垂が近づいて行く。

「大丈夫か、アソオス?」
「え……なんで? あたしのおねぇちゃんじゃないのに」

 泣いていたアソオスは不思議そうに垂を見る。
 首を振り優しい表情で見つめる垂。

「だって家族だろ? 俺とアソオスは」
「おねぇちゃんじゃなくても、かぞくなの?」
「あぁ。そうだ」

 しゃがみ込んでいたアソオスは、手を差し出した垂の手を握り返す。
 アソオスを引き上げきつく抱きしめる垂。

「暖かいだろ?」
「うん……」
「もう大丈夫だからな」
「うん」
「じゃ、これはもういらないよな?」
「うん!」

 ルカルカが今まで持っていた水晶玉を見せる。

「じゃ、これはアソオス、君が壊すんだ」
「わかった」

 光る箒をアソオスに持たせ、水晶玉を地面に置く垂。

「えぇい!!」

 振り下ろした箒が水晶玉にあたり粉々に砕ける。
 砕けた水晶からは紅い霧が現れ霧散した。

「よく壊すことができたな」

 ぐしゃぐしゃとアソオスの頭をかきまわす垂。

「あの、少し良いですか?」
「どうしたんだ?」
「アソオスちゃんのこれからと、倒されたアンデッドの為に幸せの歌を歌っても構いませんか? 心が救われることを願って」
「良いんじゃない! ルカは賛成!!」

 ルカルカの賛成の声を始めにここにいる面々は柚の幸せの歌を聞く事にした。

 優しく温かい柚の歌声は心に幸福を呼び起こしていく。

「おねぇちゃん」
「ん? どうした」
「さっきだきしめてくれたでしょ」
「そうだな」
「おねぇちゃんがだきしめてないのに、ここがあたたかくなったんだ。なんで?」

 胸に手を当てるアソオス。

「それは幸せ、ってことを感じてるんだ」
「しあわせ?」
「そう。ここが温かいとそう思うんだよ」
「そっか。これがしあわせなんだ」

 胸に手を当てたまま柚の歌声に耳を傾けるアソオス。
 垂がそれを優しい表情で見ている。




担当マスターより

▼担当マスター

冬神雪羅

▼マスターコメント

初めまして、冬神雪羅です。
今回は幸福とはどういうものかをテーマにしてみましたがいかがでしたでしょうか?
またの機会がありましたら参加してくださると嬉しい限りです。