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【冬季ろくりんピック】イコン スキージャンプ(生身もあるよ!)

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【冬季ろくりんピック】イコン スキージャンプ(生身もあるよ!)

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■イコン部門・団体戦
 ――着地地点の整地作業も終わり、これよりイコン団体戦が始まるのですが……ここでひとつ、悲しいお知らせがあります。
 このイコン団体戦、エントリーが二組しかありませんでした。しかし、たとえ二組だけでも熱いジャンプをしてくれることには違いありません。実況はわたくしカタリが、総合解説にキャンディスさん、選手インタビュアーにヴィゼントさんを迎え、イコン団体戦もばっちり実況していきたいと思います。
 それではこれより、イコン部門・団体戦が始まります!


 イコン団体戦、一組目はエクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)選手、ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)選手、セラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)選手のネフィリム三姉妹による団体演技となります。彼女らの契約者である湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)さんは今回、応援とメンテナンスのためネフィリム三姉妹と共に競技開始地点にいる模様です。ヴィゼントさーん!
「こちらヴィゼント。それじゃあ、ネフィリム三姉妹の契約者である凶司さんに話を聞こうか。――さっきメンテを終わらせたみたいだが、調子のほうはどんな感じだい?」
「ばっちりです。久しぶりのデモ飛行なので、張り切ってもらいますよ」
「OK、ありがとう。こちらからは以上だ。飛行乙女たちの団体競技、見逃すなよ!」
 ありがとうございました。さて、ネフィリム三姉妹はヴァルキリーということですが、彼女たちの乗る――というよりは、装着するって感じのイコンですね。
「ええ、あれは航空ショー用に使われる軽パワードスーツダワ。戦闘力は低いけど、今回のような場合はすごく有利な装備ヨ。三人それぞれに専用のチューンがされてて、それをどう扱うかが注目ネ」
 なるほど。さて、ネフィリム三姉妹は雪山ながら露出の高い状態でジャンプに挑もうとしております。これは男性の方々は必見かもしれません。足には小型のファンスキーをつけ、いよいよ滑走が開始されます。
 さぁ、一緒に滑走開始――ではないですね、青のパワードスーツを着たエクス選手と緑のパワードスーツを着たディミーア選手がタイミング早く滑走を開始し、少し遅れて赤のパワードスーツ、セラフ選手が滑走を始める模様です。
 エクス選手とディミーア選手、『バーストダッシュ』で助走加速をつけて踏切台から大きくジャンプ! 上昇に入ったところでエクス選手とディミーア選手が上昇しながらの交差! 翼端灯が螺旋を描き空に向かうその姿は妖精の飛翔を思わせるか! アクロバット飛行に手馴れているだけあり、その動きも実に正確だ!
 最高高度まで達した二人の妖精は降下を開始! それに合わせてセラフ選手が『バーストダッシュ』で加速をつけたままジャンプし、二人と合流しようとする! そのままディミーア選手とセラフ選手が交錯すると――おおっと、これは! 速度と距離をうまく合わせ、空中で抱き合って口づけを交わした! その戯れはどこかしら恋人同士と思わせるオーラ! 周囲に百合の花が咲いているかのように見えるぞぉ! それをエクス選手が周囲を空中舞踏し、祝福する妖精のように旋回する!
 ディミーア選手とセラフ選手、抱擁を終え離れていきますがディミーア選手の表情には恥じらいが浮かんでおります。その恥じらいを隠すかのように、三人横一線に並ぶとそれぞれの色を模したスモークを炊き、雲を作り上げた! そして三姉妹がそのスモーク雲を突っ切って――手を繋いだまま並んで綺麗に着地だぁぁっ!
 いやぁ、見事なデモ飛行を体現したスキージャンプでしたね。着地も完ぺきに決まりましたし、なかなかのものだったと思います。ああいう風に常に風と一緒だからこそ、空中での流れを掴んでいるのかもしれません。本当、見ごたえありました。
 さぁ、得点が出ました。70点とのことです! 妖精をほうふつとさせる演技が高評価だった模様ですね。観客の皆さん……特に男性層は盛り上がったのではないかと思います。


 ――さぁ、早いものでイコン団体戦最後のエントリーとなりました。そして同時に、イコン部門でも最後のエントリーになります。競技開始地点ではケーニッヒ・ファウスト(けーにっひ・ふぁうすと)選手、アンゲロ・ザルーガ(あんげろ・ざるーが)選手、神矢 美悠(かみや・みゆう)選手がベルリヒンゲンに搭乗し、そして着地地点には天津 麻衣(あまつ・まい)選手がベルリヒンゲン用輸送車両に乗って演技の準備を進めているところです。チーム『アークラント』として今回の団体戦に挑み、イコン部門の大トリを務めることになります。
 ケーニッヒ選手たちの乗るベルリヒンゲンは、先ほどのネフィリム三姉妹と同じパワードスーツでしたね。
「でもこっちはごく一般的なパワードスーツヨ。教導団で使われてる、複数編隊を重点に置いた小型タイプダワ」
 なにやら黒や紫で塗装してあるのが気になりますね。ヴィゼントさん、選手の皆さんはどんな様子でしょうか?
「こっちは念入りな準備が進んでるようだ。ベルリヒンゲンたちの前には、どうやら『式神の術』で式神化された普通のクモワカサギがスタンバイしているぜ。何に使うのかは知らないが、演技の肝になるのは間違いなさそうだ。そしてさっきケーニッヒ選手に話を聞いたところ、『特訓の成果を見せる時が来たようだ。しっかり見守っていてほしい』というコメントをもらえた。さぁ、イコン最後の演技、しっかり見ていこうぜ……ボンバー!」
 ありがとうございました。式神まで出してきましたか。どんな演技になるんでしょうか、楽しみです。
 ――さぁ、競技が開始され滑走が始まりました。似た形のベルリヒンゲンが三機並んでいますので説明しますと、一番前がケーニッヒ選手、真ん中が美悠選手、一番後ろがアンゲロ選手となります。そのままの勢いで式神化した普通のクモワカサギを先頭に全員無難なジャンプ! さぁここからどう出るのか!?
 ――ああっと! これはどういうことだ!? クモワカサギを追う形になっているケーニッヒ選手がクモワカサギに対し光条兵器である薙刀で攻撃を仕掛けた! そのまま上方へと列から離れると、続けて美悠選手がパンツァーファウストをクモワカサギに撃ちこむ! そして左脇に向かって列から離れるとさらにアンゲロ選手もパンツァーファウストでクモワカサギを攻撃するも、これは避けられる……って、ま、まさかこれはっ!?
 間違いありません! これは約四十年前に地球で放送されていたというロボットアニメで敵が使っていたコンビネーション攻撃! 出番は少なかったでしたが、このコンビネーション攻撃のおかげで、その活躍は後世まで語り継がれてるとも言われています!
 さぁ、そうなると次は――やはりだ! クモワカサギの後方に回り込んだ美悠選手がその背中へ二発目のパンツァーファウストを撃ちこむ! これが史実ならば回避されるが――IFルートだぁぁっ! クモワカサギに攻撃が当たり、撃墜されてしまいました! 無残にも着地点へ落ちて、投げ出されるように着地! それを確認したベルリヒンゲン隊は木馬を落とすべく三機綺麗に同時着地でフィニッシュだ!
 まさか、まさかの再現度! 最後は撃墜という形で締めましたが、これは敵側が好きな人にとっては非常に嬉しい展開、とも言えるでしょう。大トリにふさわしい、大規模な演技を見せていただきました。
 さぁ、得点です。……得点は60点! シーン再現がやはり高評価だったようでしたが、どうやら式神の着地点が少しぶれてしまった点で減点になってしまったようです。だが十分な得点、素晴らしいの一言でしょう!


 ――これでイコン部門はすべて終わりましたね。キャンディスさん、ここまでご覧いただきましたが、どんな感じでしょうか?
「どちらも素晴らしい演技で楽しませてもらってるワ♪ 西シャンバラの参加組数が多いからか、得点は西シャンバラ側が優勢だけどまだまだ逆転可能ダカラ、どっちも頑張ってほしいワネ!」
 なるほど、ありがとうございます。……それではこれより、お昼休みの時間となります。午後より生身部門を行いますので、その間、観客や選手の方々はわずかながらの休息をお楽しみください。また、現在飲食ブースでは人が大変込み合っております。怪我やトラブルのないよう、ご注意をお願いします。それでは、テレビの前の皆様は一旦CMをご覧ください。