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ハードコアアンダーグラウンド

リアクション公開中!

ハードコアアンダーグラウンド
ハードコアアンダーグラウンド ハードコアアンダーグラウンド

リアクション

『それでは引き続きランブルマッチを行わせていただきます。え〜……私は実況のお手伝いをさせて頂くシャンバラ維新軍、『実況マスク』です。決してサー アグラヴェイン(さー・あぐらべいん)ではございません。ご注意を』
『えー……えっと……何故か実況担当を任ひゃれたアデっ……アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)……ですわ』
『大丈夫です、落ちついていきましょう……えー、現在の状況を簡単に纏めます。参加選手10名中、現在7名までが入場を済ませております』
『い、今の所……さゆみが最後の入場でしたわね?』
『その通りです。現在リング上に残っている選手は変熊選手、フィーア選手、そしてさゆみ選手の3名。早くも4名の選手が退場となりました』
『は、果たして最後に残るのは誰なのか!? 試合はまだまだ続きますわ! ……えっと、こんな感じでよろしいのでしょうか?』
『ええ、大丈夫です。その調子でいきましょう』

「俺様の華麗な技をくらえぇーい!」
 リング上では、変熊が飛び回り派手な技を繰り広げているのだが、
「ぐぇあッ!?」
フィーア、さゆみにはあっさりと避けられ、自爆する場面が目立ってきた。
「何で避けるんだよ!」
「避けるわよ! 何か嫌な予感しかしないし!」
 さゆみが距離を取りつつ言うと、怒ったように変熊が叫ぶ。
「嫌な予感って何だよ! 俺様はただパンツに頭突っ込ませて男色ドライバーとかそういうのしか狙ってないぞ!」
「絶対そんなのゴメンよ!」

「むぅ……師匠がピンチになってきたにゃ……けど、そろそろボクの仕掛けが発動する頃にゃ……!」
 リング上の戦局を見据え、ただ一人にゃんくまだけがほくそ笑んでいた。

「暴れまわるのもいいけどそろそろ退場してもらおうか!」
「ぬぉ!? 俺様のバックを取っただと!?」
 言い争っている隙に、フィーアが変熊の背後に回り込み腕をクラッチさせる。
「せぇい!」
 後ろに反り、綺麗なブリッジでジャーマンが決まった。
「1! 2!」
 ルーシェリアが2回マットを叩くと、フィーアはブリッジを崩す。そして変熊の足を広げて股間を曝け出す様に固める。所謂恥ずかし固めという技だ。

――直後、布が破ける音がした。
「「あ」」
 変熊のパンツが、思いっきり裂けた。
「ぬ、股間がいつもの涼しさに戻ったぞ」

アウトォォォォォォォォォォォ! テレビをご覧の皆様! 今すぐスイッチをお切りください! 後観客の皆様今日起きた出来事は他言無用で頼みます! それにしても生放送でないのが救いです!
『さささささささゆみ! 目を閉じるのですわ! 見ては! 見てはなりません!』

「……え? 何? 何?」
 さゆみはというと、周囲のパニックにただ狼狽えるだけだった。位置的に見えない場所にいたのが救いだ。
「ふははははははは! 流石師匠! ベストなタイミングでパンツが避けるとはボクもパンツに細工をしたかいがあったという物だにゃ! これで大人気間違いなし! 出演依頼がじゃんじゃんくるにゃ!」
 一人嬉しそうに叫びまわるにゃんくま。この場合出演依頼とか喜んでいるが、クレームとかしか来ないと思われる。おまわりさん、こいつらです。
「これでがっぽがっぽぉッ!?」
 浮かれるにゃんくまの顔面を、道雪が蹴り飛ばす。
「ほれフィーア、離せぃ!」
 そのままリングに上がると、突然の出来事で呆けていたフィーアを蹴って技を解く。そのまま道雪は変熊をパワーボムで抱え上げると、
「ふん!」
勢いよく落と――さず、動きを止めると変熊は宙吊り状態になり、
「ほい」
膝をつく様に、頭をリングに叩きつけた。垂直落下式パワーボム。大変危険な技である。
「あぐ」
 ぐちゃり、というかぐきり、というか鈍い音と潰れるような音と共に、変熊がうつ伏せになり動かなくなった。
「……これはダメじゃろ」
「ですぅ……」
 レフェリー2人も黙って首を横に振ると、ゴングが鳴り響いた。

『えー……レフェリーストップということで変熊選手退場です』
『な、何だったのかしら……本当に』
『担架で運ばれていきます変熊選手……おっと、続いて選手が入場ですな……今宵、リングをキャンバスにして勝利を描く! 師王 アスカ(しおう・あすか)選手の入場です!』

「ふっふっふ、遂に私の出番よ〜! てめぇら盛り上がってるかー!」
 入場ゲートを潜って現れたアスカが観客に向かって叫ぶ。
「アスカ、その衣装可愛いわよ〜。さっすがベルの妹!」
 その隣、オルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)がアスカの衣装を見て嬉しそうに言う。
「さーて、勝ち狙っていくわよ〜。師匠直伝の技をお披露目するわ〜……って、あれ?」
 リングに上がるアスカを、さゆみとフィーアが何処か安心したような目で見ていた。
「あ、あれ? 何なのかしらこの視線?」
 少しばかり混乱するアスカ。この時、さゆみとフィーアは同じことを考えていた。
『よかった、普通の奴が来た』と。

(現在試合参加選手:3名 脱落者:5名)