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なし

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サクラサク?

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サクラサク?
サクラサク? サクラサク?

リアクション


第1章

「ほう……『温泉へGO』のレポーターのオーディション……そいつは面白そうですな」
「はあ……せやけど、過激というか何というか……その……」
「なおさら結構であります」
 音々に話を聞いた大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)は、ソフィア・クレメント(そふぃあ・くれめんと)を、オーディションに出場させることにした。
 機晶姫であるソフィアなら、氷水風呂も平気だろうし、意外とドジっ子だから、ポロリも大いに期待できそうだ。
 お笑いとお色気を気楽に楽しむつもりで、会場の観客席に座った剛太郎だったが……、
「はあ? 出場するのは、ソフィアだけじゃない……!?」
 手違いで、恋人のコーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)、今でも剛太郎を「お兄ちゃん」と呼ぶ子供っぽい鮎川 望美(あゆかわ・のぞみ)まで出場することになっていた。 
「怒ってるだろうなあ。ソフィアはともかく、後でコーディリアと望美に何ていい訳しようか……」
 こちらを睨んでいるコーデリアと望美に申し訳ないと思い悩みながらも、彼女たちのリアクションを見たい気もする剛太郎が、ふたつの気持ちの間で揺れている間に、オーディション開始。
 出場者の女子は、布面積が少ないくせに、やや弛めの白いビキニを着せられ、男子は「風船屋」と染め抜かれた白手ぬぐいを腰に巻いている。どちらもしっかりと身体を覆っているとはいえず、激しく動けば……いや、今にも、見えてはいけないものがポロリとはみ出してしまいそうだ。
「出るからには一番を狙いますわ!」
 と、宣言しているソフィアはともかく、地味で引っ込み思案なコーデリアは、童顔を真っ赤に染めてうつむいている。
「こんなこと……したくない……です……」
 コーデリアにとっては、お笑いとお色気を狙ったオーディション番組など、下品極まりないものでしかない。
 なのに、よりによって、自分が出場することになるなんて……。
 白いビキニ姿で立っているだけでも、気絶しそうなくらい恥ずかしい。
 しかし、負けず嫌いなところのある望美は、何やら覚悟を決めたようだ。
「あたし、いい機会だと思うことにしたわ。自分でオーディションなんて応募しないから、今回は、楽しもうと思うんだ」
「仕方ありませんね……これも試練です……」
 望美がそう言うなら、とコーデリアも、体当たりで挑む決意を固める。
「オーディションが終わったら、仕返しのイタズラをしたいですわ」 
 剛太郎の方を見ながら、そう言うソフィアに、コーデリアと望美が大きく頷く。
 イタズラについては、後でじっくり相談するとして。
 とにかく、剛太郎とは、しばらく口を利かないことに決めたコーデリアだった。

「あなたたち、レポーターやってみない?」
 と、マーガレットに誘われたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は、二つ返事でOKし、意気揚々とオーディション会場にやってきた。
「蒼空ワルキューレのマスコットガールとして、多少は知名度のあるあたしだけど、他の仕事を受けるのも悪くないわよね」
「お客はん……お連れ様、お止めした方が……」
 セレンフィリティの恋人のセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)を、音々が呼び止めて囁く。
「氷水に特攻……ポロリ……なるほどね……」
 なぜ、温泉番組で、いきなりそんなことになるのだろう。
 悪ノリバラエティ的な企画に頭を抱えるセレアナだったが、セレンフィリティは、コーデリアたちを赤面させた際どい白ビキニに、さっさと着替えてしまった。
「さあ、セレアナも早く着替えて!」
「ちょっと待ってよ……」
 セレアナは、音々から聞いたマーガレットの無茶振りを語って聞かせたが、そんなことで怯むセレンフィリティではない。
「大丈夫、伊達に普段から水着で過ごしてるわけじゃないわよ! 濡れても平気! 水場はお任せ! よろしくね!」
 むしろ、自慢になるのかならないのかわからないことを、ドヤ顔でキリッと言い放った……そのとき、マーガレットの声が飛んだ。
「よーし、見た目の良い子たちが揃ったじゃないか! じゃ、適当にカメラ回すから、各自、アピールに励んでくれたまえ! 人気番組『温泉へGO』のレポーターは、素っ裸で、氷水に飛び込むくらいの根性を見せた者に決定だ!」
「アピール……って、どうすれば……」
「氷水に飛び込め、ってこと?」
「でも、いくらなんでも、素っ裸にはなれませんわ」
 コーデリアだけでなく、望美とソフィアまでもが戸惑う中。
「素っ裸で氷水ですって!」
 緑の瞳をキラーンと輝かせたセレンフィリティが、大胆にも、その見事な肢体から一切の布を脱ぎ去って、氷水へ飛び込んだ。
 ザブーン!
「な……ホントに脱ぎやがった!」
 自分で言ったことながら、目を丸くするマーガレット。
「ちょ……セレンフィリティ!」
 氷水の中で、バシャバシャ暴れる素っ裸のパートナーを取り押さえようと、セレアナが駆け寄る。が……、
「さあ、セレアナも、一緒に! レオタードなんか、さっさと脱いで!」
「え……ええっ?」
 教導団で寒冷地戦闘訓練を受けている上に、水中戦闘の訓練も受けているとはいえ、かなり寒い思いをさせられてしまった。
「おお! 美形のレオタードが剥かれたぞ! 撮れ撮れ、後で修正すればいいから構わず撮っちまえ!」
 マーガレットが、大興奮でカメラマンに叫ぶ。
 高まる会場の熱気と、剛太郎の声援に押されて、コーデリア、望美、ソフィアも氷水風呂へ。
 女の子たちががんばるなら、とエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)も後に続いた。
「つ、冷たい……」
「冷えた身体は、こっちの風呂で温めろ!」
「は、はい……きゃっ! 熱い!」
「あち……あちあちっ!」
 コーデリアはオロオロ戸惑いながらも、頼りないビキニをしっかりと抑え、機械でも一応は女の子という自覚のあるソフィアも、何とか見えないように頑張って耐えている。
「おお、あのふたりの恥じらいっぷり、なかなか良いな! それに、望美って子は、ギリギリを心得てるじゃないか! お色気担当か?」
 三人が、マーガレットと剛太郎を喜ばせている間にも、セレンフィリティはさらにハイテンションに。すっかりお笑いタレントと化し、ウケ狙いに走った彼女が、
「これ、欲しい人にあげる!」
 と、セレアナのレオタードを客席に投げ入れたところで、会場のボルテージは最高潮に達した。
「うおおお〜!」
「きゃあああ〜!」
 飛び交う歓声の中、マーガレットの声が響く。
「全員合格〜! 女は露天風呂レポーター、男は料理レポーターに採用だああ!」