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フリマと少女の本

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フリマと少女の本

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「あ、あ、ア……」
 サリーの姿は、どんどんと薄くなっていった。
 その手を取った者がいた。
 結和だった。
「サリーさん」
 結和の手は、温かかった。
「私は、サニーさんを助けたかった。でも、サリーさんにも寂しい思いをして欲しくないんです」
 結和の金色の瞳が、サリーの茶色い瞳を覗き込む。
「サリーさんには、サリーさんとして生きてもらいたいって、思うんです。サニーさんの代わりじゃなくて」
「そうだね。俺も、全てのお嬢さんに笑顔であって欲しいと思うよ」
 エースが声をかけた。
「君には、実体化するだけの魔力があるんだろ。それなら、その力でサニーを助けてあげたらいい」
「ね。どうすればいいんでしょう。少しなら、私の心を分けても大丈夫ですから」
 結和の両手が、サリーの手を包み込む。
「私には、いつも助けてくれる仲間やお友達がいるから、大丈夫」
 結和の手が、サリーに触れている部分が、暖かく光る。
「……そして、サリーさんにもそんな仲間を作って欲しいんです。できるなら、私もそのその一人に……」
 その手に、もう一つ手が重ねられた。
「俺も、同感だね」
 エースのものだった。
 更にもう一つ。
 ネーブルの手。
 ルカルカが、柚が、そしてサニーたちが。
 その場にいた全員の手が、重なった。
 サニーの身体はどんどん薄れていく。
 それと同時に、光はどんどん強くなっていく。
 とうとう、部屋中に直視していられない程の光が広がった。
 光が消えた時、サリーのいた場所には、何もなかった。
「サリーさん……」
 結和ががくりと肩を落とす。
 その時。
「ありがとウ」
 声が聞こえた。
 サリーのいた場所の、下の方。
 小さい……5歳程度の、女の子がいた。
 サニーに、いやサリーによく似た顔。
 しかし、髪の色は結和と同じ焦げ茶色に金色の瞳。
「サリー、さん?」
「結和さン……ありがとウ!」
 にこりと、笑った。
「……っかっわぃい!」
 突如、サニーがサリーを抱きしめた。
「こんな可愛い妹、欲しかったの! ね、うちにおいで!」
「え……」
「ははは」
「え、え……エ、いいノ?」
 周囲を見回し、にっこり笑うサニー。
 少し傷ついたような様子のレインと苦笑しているクラウドも、頷いた。

「さあ、改めて……サニーさんが元気になって良かった」
 エースはサニーに花束を渡す。
 サニーが元気になったと聞いた時、渡そうと思って用意してきた花束だった。
「あ、私も……これ、元気になったお祝いです」
 柚もサニーに花束を渡す。
「ありがとう……!」
 花束を受け取り、にこりと笑うサニー。
 まだ少し顔色は悪いが、気持はすっかり元気になったようだ。
「よかった。また一緒に遊びに行こうね。……もちろん、しっかり休んでからね」
 ルカルカも笑顔でそう告げる。
 その隣に立つダリルは、サニーに手を差し出す。
「3Gだ」
「え?」
「3G。あの本の値段……お前の、代金だ」
「や、安っ……」
「もう、ダリルったら!」
 脱力するサニーの前で、ルカルカがダリルの背を叩く。
 ほっとした笑いが、部屋の中に満ちる。
「よーし、また皆で一緒に遊びましょう! 今度はどこに行こうかしら。夏といえば……海ね!」
 笑い声の中、サニーの声が一際大きく響いた。


担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 はじめまして、もしくはこんにちは。
 「フリマと少女の本」を執筆させていただきました、フリマは売る方も買う方も燃えます、こみか、と申します。
 フリーマーケットや、その周辺の少女たちに関わっていただきまして、どうもありがとうございました。
 お好みの物は、買えましたでしょうか?
 売る側、買う側、それぞれの方々のアクションがとても生き生きとしていて、やりとりを書かせていただくのがとても楽しかったです。

 また、少女たち……サニーとサリーの救出に尽力してくださった皆さまも、本当にありがとうございました。
 サニーだけでなく、サリーも無事救われました。
 とても感謝しております。
 今後は、彼女も雑貨屋「ウェザー」の一員として色々遊ぶことになるかと思います。

 もし、今後どこかに遊びに行きたいと言う提案がありましたら、こみかが担当するシナリオ(ウェザー関連以外でも)のアクションの隅などに書いていただければ、そこを舞台に採用できるかもしれません。

 それでは、どうもありがとうございました。
 またどこかでお会いすることができれば、とても嬉しいです。