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リアクション
第三章 混戦
「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス!
前回は敗れたが、今回こそは『プリンセス・アンバー』は我らがいただく!」
高笑いと共に、小型飛空艇に乗って現れたのはドクター・ハデス(どくたー・はです)とアルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)だった。
「懲りもせずに、また来たのか」
円形闘技場内に入ってきたキロスは、剣を構えてハデスとアルテミスの乗った飛空挺を見上げる。
「フハハハ! キロスよ! 琥珀の眠り姫は渡してもらおう!」
「キロスさん! 騎士として貴方を倒して、眠り姫にあんなことやこんなことをできなくさせてあげます!」
「だから、別に俺は何もする気ねえって!」
アルテミスは、キロスが眠り姫を起こして「あんなこと」や「こんなこと」をする気だと信じているようで、キロスの突っ込みは届いていない。
「さあ、行くのだ! 我が部下アルテミスおよび戦闘員たちよ!!」
ハデスの声と共に、オリュンポスの戦闘員たちの乗った小型飛空挺がキロス目掛けて突進してきた。
「ユーフォリアアアアァァァ!!」
ほぼ時を同じくして。叫び声と共に、シルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)の乗った飛空挺がユーフォリア目掛けて突っ込んできた。
ユーフォリアは素早くかわすと、槍を構えて声の主の方を――飛空挺から飛び降りてきた人々を見やる。
「お邪魔するわね」
そう言ってリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が、またたび 明日風(またたび・あすか)をずるずると引きずりながら現れた。
「突然だけど、私と戦ってもらえないかしら?」
リカインはシルフィスティを放置し、明日風から手を離し、キロスの元へとまっすぐに向かった。
「ああ? 最近俺に喧嘩を売ってくる女が多いのは何でだ?」
キロスは周囲を取り囲むオリュンポスの戦闘員たちを軽くいなしながら、独り言のように呟く。
と、独り言に呼応するようにキロスの脳内にテレパシーが飛んできた。
その主は、リカインの髪のふりをして乗っかっているギフト、シーサイド ムーン(しーさいど・むーん)だ。
曰く、シルフィスティはロスヴァイセという姓を目の敵にしていて、暴走している。
その暴走が留められず、仕方なくリカインはここに来たのであって、聖杯を奪う邪魔をしにきたのではない。
適当なところでシルフィスティを連れて撤退するので、その際は協力してほしいと。
「ふん、なんだか知らねえが、俺に喧嘩売るとは良い度胸だ」
キロスは血が騒ぐのか、にやりと笑って剣を振った。リカインたちの真意が伝わったのかどうかは定かでない。
「何人でも相手になってやるぜ!!」
その声を合図として、リカインは地が震えるような咆哮をした。
リカインが身に纏うレゾナント・ハイは、その声を受けて見る見るうちにリカインの体中に計り知れない力を送り込んでいく。
挑発するような視線を投げ掛けるキロス目掛けて、リカインは飛びかかっていった。
「待って、落ち着いて下さい!」
キロスたちのほど近くで、ユーフォリアの槍とシルフィスティのレーザーブレードがかち合う。
加速したシルフィスティの剣捌きは、目で追うのが精一杯なほど。
「叩きのめす!!」
ユーフォリアの体がぐんと重くなる。シルフィスティの重力波が、ユーフォリアを襲ったのだ。
もはや、シルフィスティには言葉が通じる状態ではない。
「落ち着くまで、相手をさせてもらいますね」
そのことを悟ってか、ユーフォリアも隙を作らないように槍で防御しながら、真剣な眼差しでシルフィスティを見据えた。
「クククク、毎回やられっぱなしだと思ってもらっては困る」
飛空挺に乗ったハデスは、上空から闘技場を見下ろしながら高笑いをする。
「この闘技場には模擬戦用の機晶姫が保管されているのだろう? ならば、利用させてもらうしかあるまい!」
ハデスの声と共に、闘技場を取り囲む壁の一部が、轟音と共に開いていく。
管理室に押し入った戦闘員の中の一人がレバーを引いたのだ。
闘技場の四方の壁の中から現れたのは、ビームライフルを構えた機晶姫だ。東西南北の「四方に一体ずつ、計四体。
上空から現れた空賊の残党とオリュンポスの戦闘員たち、そこにリカインたちを含め、闘技場内は混戦模様になっていた。
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