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ヒュズクデンゲラブンゲリオン

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ヒュズクデンゲラブンゲリオン

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4.ヒュズクデンゲラブンゲリオンの準備

「勝負の前に、まずはユニフォーム! 機動性を重視して、あたしはこれ!」
 ぶんばっ!
 セレンフィリティが上着を脱ぎ捨てる。
 そこには見事な彼女の肢体を包む、マイクロビキニ。
「ちょ……ちょっと何やってるの!」
 ミルディアが慌ててセレンフィリティの方に駆け寄った。
「気にしないで。あたしはこれが一番動きやすいんだから」
「自分のナイスバディを見せびらかしたいだけなんじゃ……」
 セレアナの突っ込みは案の定黙殺。
「そうじゃないよっ、ヒュズクデンゲラブンゲリオンの正装はこれだって聞いたよ!」
「あら」
「え……」
 上着を脱いだミルディアが着用しているのは、白っぽい生地。
 伸縮性のある生地で作られたタイツのようなユニフォームで、着用するとボディラインがばっちり見える。
「うぅ、ちょっと恥ずかしいんだけど……」
「私のような有翼人種には辛い衣類ですね。滑空されないためのハンデなのでしょうが……」
 ユニフォームを着用したミルディアと真奈はもじもじと言い訳する。
「……いい」
「え?」
「いいわ、すっごくいい正装ね! 早速着替えるわ、まずはセレアナから!」
「ちょ、いい加減にしなさーい!」
 セレアナの服を脱がしにかかったセレンフィリティは、さすがに彼女からゲンコツをお見舞いされたのだった。

 ミルディアが聞きかじって用意したユニフォームは、各地で物議を醸しだすこととなる。

「え、えええええー? 何か変じゃない? こんなの絶対おかしいよ!」
「いや、おかしくない」
「思った以上にいい絵が撮れそうだねぇ」
 あのユニフォームを着せられ半泣きなのは、エクス・ネフィリム。
 湯上 凶司たちのヒュズクデンゲラブンゲリオン部取材に同行させられた彼女の役割、それはお色気・萌え要員もとい体験要員だった。

「いや、俺は絶対そんな服は着ないからな!」
「どうしても、駄目……?」
「う……」
 歌菜が持ってきたユニフォームに激しく拒絶反応を示したのは、羽純。
 そりゃそうだろう。
 女性が着用するならまだしも、男性に全身ぴっちりタイツのようなユニフォームはまさに誰得。
「それでも、これが正式ユニフォームだって言うし……」
「ああ待て歌菜そんなの着るんじゃない! 着るならもっと別の機会に……」
 素直に着用しようとする歌菜を慌てて止める羽純。
「羽純くん、私一人だけこの格好じゃ、恥ずかしいよ……?」
「うう……」
 歌菜から視線を逸らした羽純が見たものは。

「ううう……は、恥ずかしいですが、でもこれがヒュズクデンゲラブンゲリオンには普通の事なんですよね」
 柚が真っ赤になりながら、それでもユニフォームを着用して試合の準備を始めている。
「み、みんなが着てるんだもん! 恥ずかしくないよ!」
「そ、そ、そうだね……」
 同じく赤面しながらそれでもユニフォームを着て胸を張る美羽と、同じく着用したが視線のやり場に困っているコハク。

「ね、羽純くん」
「し、仕方ない……」
 とうとう押し切られてしまった。

   ◇◇◇

 そしていよいよ試合開始、のその前に。

「そうだ、ミリーネが言ってたな。試合前にまずハンデの確認をするって」
(うわあ主殿余計な事思い出さないで!)
 竜斗の言葉に身を竦ませるミリーネ。
「そう……だったな! フハハハハ、こちらは何もハンデなど付けなくて良い! むしろそちらにハンデをやりたい位だ!」
 しかし即座にハデスにルールを肯定される。
 ハデスの道場破りチームは10人。
 そして体験入部員の新人チームはエクスも入れて12人。
 人数比率は多少新人チームの方が多いが、何しろ皆初心者だ。
 それでも問題なく、試合開始の運びとなった。


「ヒュズクデンゲラブンゲリオンさまヒュズクデンゲラブンゲリオンさま、おいでくださーい」
 まずは各チームに別れ、鳥居や50音の書かれた紙に向かう。
 そして全員が指を銅貨に置くと、自動的に動くのを待つ。
 そう、エースが説明した、試合前の儀式だ。
「……ああ、来た! 白だ!」
「むむ、来たな! 我らは紅チームだ!」
 こうして、新人が白チーム、ハデスとコーチ達が紅チームと決定した。

 そして、今度こそ試合が始まった。