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ぶーとれぐ 真実の館

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ぶーとれぐ 真実の館

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茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす) 影月 銀(かげつき・しろがね) ミシェル・ジェレシード(みしぇる・じぇれしーど) 琳 鳳明(りん・ほうめい) 



茅野瀬衿栖がルディの部屋からでていくとすぐに、部屋の別の間から、影月銀とミシェル・ジェレシードがきて、ルディに抗議をはじめた。
2人は、同じ部屋の隣の間でルディと衿栖のやりとりをきいていたのだ。

「ちょっと、ルディ。助けを求めにきている人になんてことを言うのよ。
ほんとにあなた、おかしんじゃないの。
病院にいったほうがいいと思うな。
もう。せっかく、相談にきてくれたのに」

ワンピースを着、襟元にピンクのリボンをつけた、大きな瞳が印象的なみんなの妹的な外見のミシェルに怒られても、ルディは平然としている。

「どうせ、私が女の子だから、なにを言われても平気なんでしょ。
その女性差別をやめない限り、ルディが人の役に立つ日なんて絶対にこないわ」

「あなたの知能では理解できないのは当然かと思いますが、そもそも私は、母以外の女性とはかかわらない主義のもとに信仰の道を歩んでいます。
それをいまさら、ここであれこれ言われても、雑音以外のなにものでもありませんね」

「貴様。
ミシェルは貴様の力になろうとして、この館まできているというのに、いい加減にしろ」

ミシェルのパートナーである銀が、刺すような視線をルディにむけた。
女性でありながら自称、男性で、言動、服装も男性そのもので、周囲にも自分の性別を偽っている銀は、ルディには、ミシェルの保護者の美少年だと思われている。
自分の母親以外の全女性をのぞく、すべての人の幸福を祈っているルディにとって、銀は彼が守るべき神の子の1人だ。

「申しわけない。銀、私のためにここまできてくれたあなたの厚意には感謝しています。
ほんとうにありがとうございます」

ミシェルや先ほどの衿栖にみせたのとはあきらかに違う、明るい声と表情でルディは銀に頭をさげた。

まったく、どういう神経をしているのだ。こいつは。

ルディの襟首をつかみたくなるのを我慢して、銀はさらに目を細め、

「俺は貴様のためにここにいるわけではない。
ただ、ミシェルについてきただけだ。貴様がどうなろうと知ったことではない」

「ええ。あなたの広い心はよく理解しているつもりです。
ところで、昼食にしませんか。
食堂に行くのもよし、ここに運んでもらうこともできるんですよ」

やはり、なにもわかっていないようだな。

動かしかけた銀の腕をミシェルがおさえた。

「銀。暴力はダメ。
ルディは前からこういう人でしょ。
だから、心配で私たちはここへきたのよね。ね。
私、マジェスティックの人たちが好きだもん。この街の人たちが困っているなら、うまくいくようにお手伝いしたいの」

「マジェがどうのの問題ではなく、こいつが問題だ」

「まぁまぁ、私の非は認めます。それについても、互いに話し合いながら、ゆっくりと溝をうめていこうではありませんか」

ルディはとにかく銀と仲良くしたいらしく、親しげに話しかけてくる。

「貴様。いい加減にしろ」

「はは。銀。私はあなたをよく知っているから問題ありませんが、あなたの短気もなおしたほうが、いいのではないのでしょうか。これについても、じっくりお話ししたいですね」

「話などない」

銀の体にふれようと近づくルディと、別の意味でルディにふれようとする銀の間に、両腕をひろげたミシェルが割ってはいる。

「ちょっと、ちょっと。二人とも」

「こいつには話してもムダだ」

「ミシェル。どさくさにまぎれて、
私にふれないでください」

困り顔のミッシェル、殺意に満ちた銀、自分の置かれた状況がわかっていないルディ。
3者3様の思いを抱え、一瞬先がどうなるのか予想のつかないこの場面で、ノックの音が響いた。

「お客さんよ。
ルディ。でてあげなさいよ」

「あなたに言われる必要はありません。
銀。すいませんが、昼食はもうしばらく後になりそうです」

銀とミシャルは隣の間に戻り、ルディはノブに手をかけた。

「はい。ルドルフです。
どちら様でしょうか」

「シャンバラ教導団所属、琳鳳明。
この館での役割は、探偵かな。
神父さん。すこしお話をきかせてもらえますか」