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ぶーとれぐ 真実の館

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ぶーとれぐ 真実の館

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本物のにせもの

登場団体・・・百合園女学院推理研究会



こんにちは。
ごぶさたしてます。古森あまねです。
セリーヌちゃんがノーマンに襲われた時に、最初に異常に気づいて彼女のところへ駆けつけたのは、ルディさんとニトロさんのグルジエフ兄弟でした。
あの3人は、口ではなんのかんのといっていても、それぞれが、いまどうしているのか、離れていても、無意識のうちに、互いをいつも気にしているようです。
ずっと一緒に暮らしている家族の絆でしょうか。

あたしとくるとくんが、真実の館にきたのは、問題の3日間が終わり、まさに宴のさなか、ノーマンが正体をあらわす直前でした。
パラミタのお友達から、メールで連絡を受けて、いそいでウチの探偵小僧を連れて駆けつけたのです。
メールをくれた人が誰なのかは、ご本人がどこかで語られると思うので、あたしは書きません。
へたにバラすと怒られそうです。

さて、意識を失ったセリーヌさんを抱きかかえたノーマンの前に、ルディさんとニトロさんが立ちふさがりました。ルディさんはおそるおそる、でも、ノーマンから目をそらさず、だいぶ酔っている様子のニトロさんは、ルディさんの肩によりかかりながら、拳を握り、ファイティングポーズをとっています。

「悪魔よ。その手を放しなさい。
セバスチャン! さっさと目をさますのです。寝ている場合ではありませんよ」

「っだ。のーまんだぁ。ざっけんじゃねぇぞ。おい、オレの家族にへたなことしてみろ。てめぇ、ぜってぇゆるさねぇぞ」

「ニセモノかガラクタ」

ノーマンが悠然としているのは、やはり、いつものようにこのパーティ会場内にも自分の手下たちをあらかじめ何人もひそませていたからでした。
それまで給仕していたウェイターやメイドたちの多くが仕事をやめ、ノーマンの周囲に集まりはじめます。
中には刃物や銃器などの武器を手にしている人もいます。
パーティを楽しんでいた契約者のみなさんも状況の変化を察知し、会場の一部では早くも、ノーマンの手下と契約者さんの戦闘になっていたり。

「みくだしてんじゃねぇぞ。サイテー野郎が」

ニトロさんがお酒の瓶を片手にノーマンに殴りかかりました。
ノーマンは首を動かし、瓶をよけるとニトロさんの手首をつかみ、彼の腕を背中にまわし、ねじりあげました。

「腕を失うと、仕事に支障をきたすのかね。
ミュージシャン」

「ちくしょうがぁ」

腕をきめられたニトロさんが苦しそうにうめいています。

「神よ。愚かな子羊を救うため、私の蛮行をお許しください。うわあああああああああ」

今度はルディさんが椅子を持ち上げ、叫びと同時にノーマンに投げつけました。
ニトロさんとセリーヌちゃんで両腕の自由を失っているノーマンは、それでもあわてず、自分のほうに飛んでくる椅子に、ニトロさんの体を盾にするように前にだします。

「ニトロ! セリーヌ! いま、私が」

ニトロさんに椅子があたる瞬間、突然、ルディさんが猛ダッシュし、椅子とニトロさんを間に挟んで、ノーマンに体当たりしました。
椅子は壊れ、ノーマン、セリーヌちゃん、ニトロさん、ルディさん、4人が床に倒れます。
ノーマンの手が離れ、意識を失ったまま、倒れているセリーヌちゃんを抱き起したのは、

「くるとくん」

あたしは、思わず声をあげました。
さっきまであたしの横にいたはずのくるとくんが、運動神経ゼロの彼としては奇跡的な素早さでセリーヌちゃんに駆けより、彼女を起こしてあたしのほうへ。

「あまねちゃん。セリーヌちゃんを」

「うん」

あたしはくるとくんとセリーヌちゃんを助けにいきました。
セリーヌちゃんを抱きかかえたところで、くるとくんはまるでみえない手にひかれるように後ろへ倒れ、ずるずると10数メートル先のノーマンのところへよせられていきます。
きっと、ノーマンの、彼がよく凶器に使うあの見えない糸が、くるとくんを捕えている。
ニトロさんとルディさんは、誰かに助けられたのか、もうノーマンの側にはいません。
私はくるとくんのところへ行こうとして、数人の背中にさえぎられました。

「心配ないわ。私たちに任せて。
It‘s Elementary, my dear」