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こどもたちのおしょうがつ

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「ふふ。ささきがいちばんうまーくかくれられるもんね。だって、ささきはすーぱーうるとらすげぇからなぁ」
 皆の前で、胸を張ってそんなことを言い、かくれんぼに参加した外見4歳のささきくん(佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう))は、テントの傍に隠れていた。
 熱を逃がさないために、テントの周りに張られているビニールシートと、テントの間のとても狭い空間だ。
 外からも見えないし、テントの中からも見えないこの場所なら、絶対に見つかるわけがないと、ささきくんはわくわくしながら、鬼を待っていた。
「あれ?」
 ささきくんは、目の前に白い紙が落ちていることに気付いた。
 拾って中を開いてみると、中には子供の字で『あまいにおい。おいしそう』とだけ書かれていた。
「うん、あまいにおいするよね。おしるこたべたいな……あっ」
 声を出したらいけないんだったと、ささきくんは口を閉じて紙をポケットにしまった。
(とおりすぎていっても、わらわないようにしないとねぇ、ふふふっ)
 ……しかし。
「せっきょうをしますよ! いきますよ!」
「えっ!?」
 マシュマロハウスを探し終えて、通りかかったふじのちゃんに足をつかまれてしまう。
「ひとりはっけんです。のこりのみなもさがしだして、せっきょうです!」
「ええええっ」
 ずるずる引っ張られて、ささきくんは外へ引きづり出された。
「なんでー。けっこういいところだとおもったのにっ、ちぇっ」
 引っ張り出されたささきくんは頬を膨らませた。
「ばしょはわるくありませんでした。あしさえでてなければ」
「うっ、あしがでてたのか……。このやろう、かってにでてんじゃないぞ」
 ささきくんは、照れ隠しに自分の足をぱしぱし叩く。
「さ、いきますよ。せっきょうのじかんです」
「おせっきょう? なんでだよーっ」
 ぶつぶついいながら、ささきくんはふじのちゃんに連れられて、集合場所へと戻っていく。

「ログハウスの中に、鬼が来たようでござるな……。そろそろ準備をしなければならぬのでごじゃるよっ」
 外見4歳のナーシュくん(ナーシュ・フォレスター(なーしゅ・ふぉれすたー))は、ストローを手に、ログハウスの湯船の中に待機していた。
 ばたばたと室内を走り回っている音や、たけるくんがギターを弾く音(口でぎゃりぎゃり言ってるだけ)が、響いてくる。
「こっちにきたでござるな……っ。いざ!」
 ナーシュくんはストローを加えると、お湯の中に頭まですっぽりと潜った。
 少し後に、バタンと音がして、浴室へのドアが開かれる。
 すーはーすーはー……。
 ナーシュくんはストローで呼吸をしていたが、空気が思うように吸い込めなくてとても苦しかった。
「ん、んんんんーーーーっ」
 突然、吸い込んでも空気が入ってこなくなり、ナーシュくんはぶくぶく空気を水の中に吐き出した後、たまらずがばっとお湯の中から顔を出した。
「ぶはっ、はあっ、はあ、はあ……っ。けほ、けほけほっ」
 ちょっと水を飲んでしまって咳き込むナーシュくんを、たけるくんがびしっと指差す。
「みーつけた! てゆーか、なにしてんだよ。ふろかよー」
「ち、ちがうでござる。すいとんのじゅつでござるよ」
「すいとうのじゅつ?」
「そ、その……にんじゃのしゅぎょうでごじゃる!」
「ふうーん。ま、どうでもいいや。1にんみーっけ、ぎゃりぎゃりぎゃりい!」
「あ、あはははっ。あははははっ」
 たけるくんがきょんくんを弾く。きょんくんはくすぐったくて笑い声をあげた。
「でも、なんでばれたでござるか〜」
「ようふく、そとにちらばってたし、すとろーから、びゅうびゅういきがでてたし。わかるにきまってるだろー」
「ううっ、ちゃんとかくしたでござるよぉ。ふくも、からだも」
 ナーシュくんなりに、一生懸命隠れたのだけれど、服はぐちゃぐちゃに丸めた状態ではしっこに置いておいただけだったし、ストローは外から丸見え状態だった。
「それじゃ、つぎいくぜ、つぎー。すいとうやってていーけど、ふくきろよ〜」
 たけるくんは、ギターのきょんくんと、水筒のナーシュくんを連れて、他の部屋を探しに向かう。

「くにがみー! いんのはわかってんだー! かんべんしてギターになりやがれ!」
 たけるくんは、洗濯物置き場に着くと、何故かパンツをかき分け始めた。
「なに? いないだとー!? おふろにもいなかったし……ありえない、そんなのありえないぜっ!」
 たけるくんは、その後も何故かパンツのありそうな場所を、探して探して探しまくる。