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リアクション
■□■3■□■ パッフェルと桐生 円への密告
そのころ、パーティー会場では。
桐生 ひな(きりゅう・ひな)の密告を受けた、
桐生 円(きりゅう・まどか)とパッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)が、2人で隠れていた。
「んふふー、パッフェルー。
ボク達カップルに見えるんだってー、恋人に見えちゃうんだってー」
円は、はしゃぎながらパッフェルの腕に絡みついて見上げる。
「恋人……周りに、そう思われているの?」
パッフェルも改めてそう言われるのは少し恥ずかしいらしい。
「うふふー、でもリア充撲滅委員会? が来るんだっけ、どうしようかな。
この前の迷惑だった?」
合コンでのことを言う円だが、パッフェルは首を振る。
「そんなことないわ。
私も……こうして、円と二人っきりになれたのはうれしい」
「わーい、パッフェル―」
円はさらにパッフェルによりかかる。
そうして、イチャラブする2人だったが。
そこへオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)と、
ナリュキ・オジョカン(なりゅき・おじょかん)がやってきた、
円とパッフェルのアシストをすべく、自ら手本を示そうとしていたのだった。
「円がパッフェルと良い関係にゃのに、経験値が足りないと聞いたのじゃ」
「たしかに。円は恋愛経験値が不足してるかもしれないわねー」
ナリュキとオリヴィアは口々に言う。
「おりぷーが経験不足なのも原因の一つじゃよね」
「って私の経験不足に問題が?
違うわよぉー、私はこの中で一番の年長者よ、
経験豊富なおねぃさんなのよー」
「まあまあ、此処は実演しながら円達に見せ付けて、大人の階段を一歩上ってもらうかにゃ」
「え? 私達で実演?
い、いいわよ。私も円のために頑張るわ」
ナリュキはにやー、と笑って、実は奥手なオリヴィアを抱きしめる。
「抱き合って、見つめあってのキスなのじゃよー。
このほうが恋人同士っぽいし、素直に相手とむきあえりゅしね」
「な、ナリュキちゃん顔近っ……」
「恋愛経験値が足りてないねぇ……、良いムードになった時の練習?」
その様子を見た円は、少し考え込んでからパッフェルに言う。
「でも、練習でキスはちょっと恥ずかしいし。パッフェルもそう思わない?」
「ええ……練習というのは……。サバゲーの射撃の練習ならいいのだけど」
パッフェルも、表情にこそあまり表れないが、思わぬ状況に動揺しているようだった。
「パッフェル、あの、もし嫌じゃなければ、
見つめ合って抱き合う練習。お願いしてもいいかな? お願い」
「え……」
「駄目かな?」
円は上目づかいでしょんぼりしてみせる。
「いいえ……すこし、バレンタインの時のことを思い出して……」
「……! そ、そっか……」
パッフェルは円のバレンタインの告白のことを言っているのだが、
そのことを持ち出されて円も赤くなる。
そのことは知ってか知らずか。
ナリュキはオリヴィアに濃厚なキスを行っていた。
「ちょっと、舌はだめ! やりすぎ! 恥ずかしい!」
「うりうり、お手本なんじゃから気合入れて舌を絡めてくるにゃあ」
慌てるオリヴィアに、ナリュキはさらに周りを気にせずに抱きしめ、キスを続ける。
「あっ、だめ、ナリュキちゃ……」
「にひひ、ホック外してやりゅー」
「パッフェル……」
「円……」
他方、円とパッフェルは、そんなことはおかまいなしに2人の世界に入っていっていた。
見つめあう2人の間に沈黙が訪れ、
どちらからともなく抱き合い、
ゆっくりと顔を近づけ、
目を閉じて、
お互いの吐息が頬に触れる頃。
「リア充はまとめて分銅なのですよー!
アルバ・フレスカと花子も何回も潰してきましたです!
仲良くいっしょに潰れるがよいのですよー。
私なりの情けというやつなのです!」
桐生 ひな(きりゅう・ひな)が、分銅を背負ってやってきたのだった。
(あっ、唇……)
円が思った瞬間。
「ぺちゃん」
「ぺちゃっ」
「ぶちゅー」
「ぶちゅー」
円とパッフェル、ナリュキとオリヴィアは全員まとめて潰された。
円とパッフェルはキス寸前だったが、ぺったんこになりくっついてしまう。
「あっ、私だけ一人ですー!
なんだかうらやましくなってきましたですよー。
分銅だから、私だけ潰れないのは許されないのですよー」
ひなは、いつものとおり、自分も分銅を抱えて突っ込んでいった。
「巨大分銅はお約束だから、免れるというのは許されないのですよ……ぶちゅっ」
かくして、5人はぺったんこになったのであった。
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