天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出

リアクション公開中!

【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出
【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出 【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出

リアクション

 
■ 雪の日のデート ■
 
 
 昨日のことのように思い出す。
 その日は、涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)がパラミタに来て以来、見たこともなかった程の大雪で、けれど、妊娠中の妻、ミリア・フォレスト(みりあ・ふぉれすと)の定期検診の日だった。
「どうしようか、連絡して、別の日に変えて貰う?」
「平気です」
と、ミリアが言うので、いつもの検診の日と同様に、涼介も一緒に病院に行った。

 街の半分が樹上に形成されているザンスカールの街は、当然と言えば当然、殆ど雪かきすらされていなくて、元からこの街の住人であるヴァルキリー達は自前の翼で、そうでない者達も皆、箒に乗って行き来している。
 雪にはしゃいでしまったか、うっかり箒を忘れて出て来た二人は、顔を見合わせて笑い、流しの小型飛空艇のタクシーを捕まえて病院へ向かった。
「そうそう、お店の食材を仕入れておきませんと」
 病院の帰り道、思い出したようにミリアが言って、何もこんな日にまで、と涼介は苦笑したものの、勿論付いて行く。
 そうして、ザンスカールのミリアの店、『宿り木に果実』で使う食材の発注と配達を注文して、今度こそ、帰途についた。

 イルミンスール魔法学校の近くに行ってみると、自己的なのか遊びなのか罰ゲームなのか、学生達が雪かきをしていて、最低限歩けるようになっていたので、雪道の気分を味わおうと、二人は箒を降り、雪を踏みしめて歩いた。
「……あの、ですね」
「はい?」
 ミリアが、何かを言おうと口を開く。
「すいません、ちょっとインタビューよろしいですか!」
 そこへ突然、二人の前にマイクが差し出され、二人はきょとんとして足を止めた。
「インタビュー?」
「はい。今日は記録的な大雪ですよね!
 大変な一日だったでしょう。どうですか?」
「あ、ああ……そうですね」
 涼介は頷く。
「でも、恋人といる時の雪って、特別な気分に浸れて私は好きです」
 咄嗟に答えたけれど、いきなりでやはり驚いた。
 うっかり、妻を恋人と呼んでしまったし。
 けれど、視界の端に見えたミリアが、こっそりガッツポーズを取っていたから、実は嬉しかったのだろう、と、涼介は思う。
 結婚しても、やがて子供が生まれても、そういう新鮮な気持ちは忘れたくない、ミリアも自分と同じように、そう思ってくれているのだろう。



「涼介さん、あれ」
 ミリアが、BGM代わりに付けっ放しのテレビを指差したのは、二人で準備していた夕食の仕度を終えた夕方だった。
 ニュースで、稀に見る大雪のことが報じられている。その後で、街頭インタビュー。

『恋人といる時の雪って、特別な気分に浸れて私は好きです』

 客観的に見ると、かなり恥ずかしいことを言っている。
 二人は顔を見合わせて、同時に笑った。
「何か照れるね」
「でも、嬉しい、です」
 ミリアは頷いて微笑む。
「あの時……何だか特別な感じがしますね、って、言おうと思ってたんですよ。
 雪の日も……あなたと一緒なら、って」
「ミリア……」
 その微笑みがとても愛おしくて、涼介はミリアを抱きしめた。
「勿論、私も。
 あなたと一緒にいる時間なら、どんな場所であっても特別なんだ」