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【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出

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【5周年記念】【かんたんイラストシナリオ】あの日の思い出
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リアクション

 
 ■ 新居のお披露目 ■
 
 
 招待を受けたハルカは、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)と共に、ツァンダ郊外にある、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)の新居を訪れた。
「此処が、みわさん達のおうちなのです?」
「はい。可愛い家ですね」
「素敵なのです」
 まだまっさらな、土だけの庭のある、二階建ての家。新築だ。
 二人は一応、引越しの手伝いに来たのだが、ベアトリーチェのバッグの中には、先日の美羽達の結婚式の写真のアルバムが入っている。
 多分、仕事にはならないだろう、と既にペアトリーチェは予測している。
 元より、本当に引越しの手伝いをしに来るならば、男手を連れて来ていた。

「ハルカ、ベアトリーチェ、いらっしゃい!」
 美羽は嬉しそうに二人を迎えて、居間へ案内する。
「荷物の整理は進んでいますか?」
「んー、んんー、ん、まあ、居間はちゃんとしてるよ!」
 世間話がてら、ベアトリーチェの言葉に、へへ、と美羽は笑った。
「でもね、他のところもそんなに散らかってるわけじゃないんだよ。これから揃える物が多いし」
「そうですか。
 居間と台所を整理してしまえば、あとはゆっくりでも大丈夫でしょう。お手伝いしますね」
「うん。でもまずはお茶にしようよ。ね、コハク!」
「うん、今準備するよ」
 コハクは二人に挨拶して、お茶を淹れにキッチンに向かう。
「あ、これ、差し入れです。お茶請けに」
 と、ベアトリーチェがコハクにお菓子を渡す。
「美羽さん、結婚式の写真、出来たので持ってきました」
「わぁ、見る見る! バタバタしてて、自分ではまだ全然当日の写真見てないの」
「主役はそうでしょうね。綺麗に撮れていますよ」
 女三人、今のテーブルを囲んで、アルバムを広げた。
「あのね、丁度荷物の整理してて、昔の写真が沢山出てきたの。
 昔って言っても、パラミタに来てからのアルバムだから、ここ五年くらいのだけど」
 美羽が、ベアトリーチェの持ってきたアルバムの横で、別のアルバムを開く。
「懐かしいのです」
 話題は、結婚式の話だったり、初めて会った時のことだったり、あちこちに飛んで、その都度に笑った。

「コハク君は、タキシードに着られていますね」
「着慣れなくて……」
 似合っているようないないような、純白のタキシード姿の写真を見て、コハクは照れたように笑う。
「ばっちりなのです。
 みわさんのドレスも、とっても可愛かったのです」
「ありがと! えへ、選んだ甲斐があったなぁ」
 スカートタイプの可愛らしいウエディングドレスを着て、コハクの隣、美羽が幸せそうに笑っている。
 結婚式の時のことを思い出して、ハルカも幸せな気持ちで笑った。
 あの日は、とても楽しい一日だった。友人の幸せは、自分にとっても嬉しいものだ。
「……本当に……、この頃は、頼りなさ気というか、ひ弱な感じでしたのにね」
 と、ベアトリーチェが見るのは、美羽と契約したばかりの頃のコハクの写真だ。
 この中で、一番変わったのはコハクだろう。外見ではなく、内面が。
「美羽や……皆のお陰だ」
 弱々しい頃の自分を、コハクも恥ずかしそうに、けれど懐かしそうに見る。
「ハルカや美羽って、今とあまり変わらないよね」
「す、少しは変わったのです。身長も伸びているのです」
「えー、でも五年前から五センチも伸びてないよハルカ。
 私もこないだ、優子隊長に中学生に見えるって言われちゃった! ……小学生じゃなかっただけマシだけど……」
「ご、五センチは伸びてるのです」
「そうかなー」
 団欒しながら、懐かしい! と声を上げつつアルバムのページをめくる。
「あ、見て、これ、『ベアトリーチェのクッキー』!」
「あら、本当、美羽さん一段と子供っぽいですね」
 美羽が指さした写真を見て、ベアトリーチェはくすくす笑う。
 美羽がベアトリーチェに何かを強請る様子が、そこには写っていた。
「クッキー?」
 ハルカが、テーブルの上のお菓子を見る。
 そこにあるのは、クッキー。丁度、お茶請けにとベアトリーチェが用意したお菓子が、クッキーだった。
 美羽は、写真の中で強請っていた言葉を思い出す。

ねぇベアトリーチェ。お菓子が食べたい、作って!
 クッキーがいいな。できたらね、瀬蓮ちゃんに届けに行きたいの。
 お天気もいいし、公園で食べたりとかしてもいいかも。
 ねえねえはーやーくー


「……ああ、懐かしいですね……」
「みわさん、だだっこなのです」
 写真の中を再現した美羽のおねだりに、ハルカが笑った。
「ハルカも、いっぱいわがまま言わないと駄目だよー」
 言って、美羽はもう一度写真を見つめる。
瀬蓮ちゃんも、元気かなぁ」
「ええ、きっと」
 ベアトリーチェは請け負った。