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世界を滅ぼす方法(第2回/全6回)

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世界を滅ぼす方法(第2回/全6回)

リアクション

 
 
「カンのいい奴等だぜ」
 近くの枝の上であぐらをかいて、傍観を決め込んでいた『ヒ』が、引いていく森海魚の群れを追いかけて行った判断に感心して呟く。
 あそこまであからさまに色が違っていては無理もないが、簡単に中枢をやられてしまったのが残念だった。
「あっさりやられたなあ。
 もう少し面白い展開になるかと思ったのに……」
「どういう展開になると思っていたんです?」
 パートナーのカティア・グレイス(かてぃあ・ぐれいす)に、後ろの樹の枝上まで運んで貰った久沙凪 ゆう(くさなぎ・ゆう)が声をかけると、
「森海魚の群れは、成獣ドラゴン1頭食い尽くすんだぜ。
 そういう展開だよ」
と、驚きも振り向きもせずに答える。

「……空京であんたが言ってた」
 話を振ると、『ヒ』は振り返った。
「どっかで会ったか?」
「あんたの目的は、絶望だと。あれはどういう意味です?」
「やれやれ、質問攻めかよ、つまらねえ」
 『ヒ』は興味を失ったようにふいっと立ち上がった。
「ただ世界をひっくり返したって意味がないんだよ。
 清が濁に染まることは、それを恐怖する存在があって初めて意味がある。
 ナラカだって、そこに堕ちる者がいなかったら、ただの廃墟さ」
「あんたの今までの行動は、恐怖を煽る為にしたことだったということですか」
 『ヒ』は笑った。
「そうさ! 俺は”憎悪”だからな!」
 弾みを付けて枝を蹴った『ヒ』は、ゆうの懐に飛び込んで、その首を捕まえた。
「ぐっ……!?」
「戦闘態勢に入るのが遅えよ!」
「ゆう!」
 密かに『ヒ』の背後に回っていたカティアが飛び出す。
 俺を優先してどうする、馬鹿、と思ったが、『ヒ』はそのままゆうを押し出して枝から落とし、カティアが受け止めなかったら危ないところだった。
 『ヒ』に掴まれた喉に、引きつれたような火傷が焦げ付き、ゆうは咳きこむ。
 それなりの高さの枝から難なく飛び降りて来た『ヒ』は、既に完全にゆう達への関心を失っていたが、

「あ――!! 『ヒ』!!」
 その姿を、ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)が目ざとく見つけた。
「ここで会ったが100年目! よくもコハクに酷いことしたわね!
 呪詛治しなさいッ!!」
「ちっ」
 地表に降りたことは失敗だった。
 更に、ミルディアの叫び声のせいか、『ヒ』を見付け、箒で飛んでくるブレイズ・カーマイクル(ぶれいず・かーまいくる)を見て、
「めんどくせえな」
と呟く。
「逃げるな、『ヒ』!」
 ブレイズは吠えた。
「貴様の力についてはおおよそ解っている……余裕でいられるのも今の内だ!」
「うぜえ……」
 顔を顰めた『ヒ』の背後から、ブレイズのパートナーのロージー・テレジア(ろーじー・てれじあ)が接近戦を仕掛けた。
「ミルディア」
「わかってる!」
 和泉 真奈(いずみ・まな)の合図に、ミルディアも頷く。
 しかし2人が支援に入るより早く、ロージーが弾き飛ばされた。
「うっ!」
「あっ!」
 転がり倒れるロージーに、真奈が回復をかけようとするが、眉を寄せる。
(負傷していない?)
 恐らく、何か考えがあってやられたふりをしたのだろう。
 ブレイズが、『ヒ』に向かって氷術を放とうとしている。
「は!」
 『ヒ』は笑って、地を蹴った。
「!!?」
 飛び込んで来た『ヒ』が、右手でがっしりとブレイズの顔を掴まえる。
「……それにしちゃ、随分あっさりだな?」
「うわああ!」
「ブレイズ!」
 焦げるような臭いに、ロージーがぎょっとして身を起こす。
「じゃあな!」
 笑い声に、ブレイズに集中していた視線を向けると、もうそこに『ヒ』はいなかった。
「大丈夫!?」
 ミルディアが駆け寄り、火傷を負った顔面に、すかさずヒールをかける。
「……よかった、ただの火傷だ」
 呪詛などはないようで、普通に治って行く様子を見てミルディアは安堵する。
「そちらの方も」
 真奈はゆうの方へ向かった。
「くそ……」
 ブレイズは歯噛みする。
「火術を放ってこないとは……」
 治療が済んだ瞬間、がばりと立ち上がると、ブレイズはミルディアに目もくれず歩き出す。
 ぽかん、と見送るミルディアに、ロージーがぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさい……ありがとうございました」
「ロージー!」
 トゲのある口調で呼ばれ、ロージーは慌てて身を翻した。



 全く、この場合はコハクが色々事情を知っていて、情報源として自分達に情報を齎すのがセオリーだろうのに、本当に役に立たないヘタレだ、と崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)は思う。
 お陰で、色々と面倒な予測を立てなくてはならない。
 とにかく『ヒ』とイルミンスールの聖地だ、と思っていたところに、目の前を横切って通り過ぎて行く謎の集団が、森の奥へ行くツアー(違)だとのことなので、ヒッチハイクよろしく、一緒することにした。のだが。

「……まさか3日3晩走らされるとは思わなかったよ……」
 疲れ果てた口調でみことがぼやいた。
 箒か小型飛空艇を持っていた者が殆どだったのが幸いだが、亜璃珠などは同乗して貰えなければ、例えば自分で箒を持っていたとしても、途中で飽きて帰っていたところだった。

 3日3晩走らされたところで、ふつりと森海魚の姿を見失ってしまったのだった。
 変だと思ったところに、ふよん、と1匹の森海魚が漂っているのを見付ける。
 凶暴なはずの森海魚は、カレン達に気付かないように穏やかに通り過ぎて行き、気がつけば、ふよん、ふよんとあちこちを、のんびりと森海魚が漂っている。
「あそこ、見て下さい」
 フレアが上空を指差した。
「あんなところに、村が……」

 ひっそりと、その村は存在していた。
 一見、村らしき影はどこにもない。
 そこは森の一部でしかない。
 だが、あちこちの樹上にはひっそりと生活の跡があり、樹の幹には窓らしき穴が至るところにある。
「ここは、他の町とは違いますね」
 オレグ・スオイル(おれぐ・すおいる)が呟く。
 魔力が感じられる。この地は魔力を帯びている。
 もしかして、と思った。
「ここは聖地なのかもしれません」

「何者!?」
 鋭い声は、上空からした。
 振り向くと、比較的近い、つまり低いところの枝上に、1人のヴァルキリーが立っている。
 細工の細やかな皮鎧を纏った、20代前半ほどの、長い銀髪のヴァルキリーは、弓に矢をつがえようとしていた。
 オレグはじっと彼女を観察する。
 周囲にも神経を尖らせ、何も見逃すまいとするように注意した。
「何者? この村に何の用」
「あの、ここは、『聖地』なの?」
 フレアが訊ねると、ぴくりと女性は眉をひそめた。
「……何者」
「あ、怪しい者じゃないよ!
 ただ、聖地を『魔境化』しようとしてる奴等がいて……。
 それで、それを防ぐ為に色々頑張ってて!」
「森海魚追いかけてきただけで、敵じゃないんだよ!
 あ、聖地探してたけど!」
 みこととカレンが順に、ぱたぱた、と両手を振って、敵意の無いことをアピールする。
 暫く彼等を睨み付けていたヴァルキリーの女性は、やがてふっと笑った。
「……外の人達は皆、そんな風にあけすけで図々しいものなの?」
 光の翼を広げて、樹の枝から地表に降りてくる。
「……私は、この聖地ブルーレースの”守り人”、インカローズ」
「よろしかったら、私達に手伝わせて貰えません?
 微力ながら、聖地を護る為に」
 亜璃珠の申し出に、インカローズは怪訝そうな顔をした。
「聖地の護り? あなた達が?」
 どうやら、まだこの聖地では何事も起きていないらしい。
 『ヒ』の狙っている『魔境化』について説明すると、
「……ああ、”種”か。あなた達、あんな物が欲しいの」
 インカローズは忌々しそうに吐き捨てた。
「欲しいなら、くれてやるわ。こんなもの。
 聖地を魔境化でも護るでも、どちらでも好きにすればいい」

 皮鎧の裏から、赤茶色の鉱石を取り出す。
 これが無くなれば、自由になれる、と思った。
 こんな物があるから、自分は使命に縛られている。
 こんな物があるから、自分は閉鎖された村に閉じ込められて、自由の無い一生を送るのだ。

 だったら――そんな世界は、いっそ滅びてしまえばいい。
 
 
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

九道雷

▼マスターコメント

ハルカ「ごぶさたでしたのです!
 2回目のリアクションをお届けなのです!」
コハク「今回も、前回より更に大人数でお送りしています。
 参加してくれてどうもありがとう」
ハルカ「今回もがっくりしないでくれてるといいのです」
コハク「えっと、注意事項がひとつあります。
 基本的にアクションには、所持している武装・スキルしか使用できません。
 あとは普通にお店で簡単に買えるようなものなら持っていてもいいのですが、日常シーンでの描写ならできても、本気のアクションに使っても、マスターは描写できないので、避けた方がいいと思います」
ハルカ「えーっ。でもでもハルカ、アイテム欄にはアケイシアの種とお守りとペンダントしかないですけど、自由設定でポケットの中に、こてつときくいちもんじといずみのかみかねさだが入っているのですよ?」
コハク「……それどんな四次元ポケット?」
ハルカ「早く購買システムが利用できるようになるといいのにです」
コハク「準備中のシステムも順次稼動予定ですので、もう少し待ってくださいね」
ハルカ「おかたい話はここまでなのです。
 字数制限のある貴重なアクション欄に、前回の感想を書いてくれた皆も本当にありがとうなのです」
コハク「マスターが嬉し泣きしてました」
ハルカ「リア執筆終了と共に死んじゃったので、お返事できなかった人もいたらごめんなさいなのです……」
コハク「称号とかもね、マスターは皆につけてあげたいと思っているようなのですが、何しろリア執筆終了時点で屍みたいな状態で……。
 でもそれ以前に、ここのマスターは、数多いるマスターの中でもぶっちぎりの、称号をつけるのが下手マスターなんだよね……」
ハルカ「ヘタレマスターなのですか……」
コハク「…………いや、その。
 ……えーと、それじゃ、代わりにハルカが付けてあげたら?」
ハルカ「そうですか? 
 ではでは、レベさんに『スペシャルダイナマイツバスト』!」
コハク「………………本人が聞いたら怒るよ……」
ハルカ「重力との戦いなのですよ?」
コハク「……えーと……他には?」
ハルカ「ののさんに『おねかーさん』!」
コハク「おねかーさん?」
ハルカ「おかーさんはきっと、ののさんみたいに優しいのです」
コハク「……独身女性におかーさんという称号は失礼じゃないかな……」
ハルカ「つなさんはやや小ぶりながら形のいい、ぽんきゅっぽんだったのです」
コハク「…………うん、わかった、この話題は終わりにしよっか」
ハルカ「……どうしてそんなに疲れてるのです?」
コハク「無茶振りだったと後悔してる」
ハルカ「よくわかんないですが、いつか皆にハルカがかっこいい称号をつけますので、待っててなのです」
コハク「いや、やめた方がいいから」
ハルカ「ではまた次のリアでお会いするのです!」
コハク「聞いて!!」