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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
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■□■2■□■ 未来・静香との和解

未来・静香は、沼地の惨状を見て驚く。
「何があったんだ……。
ソーセージは手に入ったんだろうな?」
そこに、未来・静香に取り入っていた毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)が現れ、言う。
「ソーセージを持ってまいりました」
「おお、じゃあ、さっそくソーセージを……」
大佐は、仕掛けておいたロープで、未来・静香を転ばせる。
「このソーセージが食べたいなら、
『ぼ、僕はその太くて大きくて立派なソーセージが食べたいんです』
って涙目かつ上目遣いで言ってくれたら食べさせてやるよ」
デジタルビデオカメラを構えながら、
大佐は泥沼で転んだ未来・静香に言う。
「下品な方は消毒だーッ!!」
現在・音井 博季(おとい・ひろき)が走ってきて、大佐をぶっ飛ばす。
「危なかった……。
くどいようですが、蒼フロは全年齢対象のゲームです!」
現在・博季は、拳を握りしめて言う。

★☆★

「静香さん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」
現在・博季に助け起こされたところで、未来・静香の前に、
未来の真口 悠希(まぐち・ゆき)……ユーキーが現れた。
「静香さま……」
ユーキーが渡したソーセージを、未来・静香はゆっくりと口に運ぶ。
未来・静香の身体から放たれていた邪気が消えていき、
昔の面影を取り戻していく。
「お身体は?」
「元に……戻った、と、思う」
ユーキーに問われ、未来・静香は答える。
「静香さまっ!」
そこに、現在・悠希が現れ、言う。
「ボクは……静香さまという人が好きです。
例えどんな後ろめたい事情があってもそれは変わりません」
「……」
未来・静香は、昔のことを思い出していた。
悠希や、百合園の仲間達とともに過ごした、夏の出来事のことを。

★☆★

「やっと、また、会えたね。……未来の撲」
現在・静香が、未来・静香の前に現れる。
現在・静香の周囲には、多くの学生達が集まっていた。
そして、未来・静香の周りにも、未来の世界の住人がやってきていた。
「僕には」
未来・静香は、ゆっくりと周囲を見回して、その場にいる全員に告げる。
「僕にはこんなに大切に思ってくれてる皆がいたんだ。
思い出させてくれてありがとう」
未来・静香は微笑を浮かべた。
「うん。
僕には、こんなに大切な人達が、たくさん、いるんだ」
現在・静香も笑顔でうなずく。
ボロボロになったりぶっ飛ばされたりぺったんこになってる者も多いのだが、
事態は、ひとまずの平和的終息をみせようとしていた。

★☆★

「そういえば、小ラズィーヤさんのお父さんのことだけど……」
現在・静香の問いに、
未来・七瀬 歩(ななせ・あゆむ)が歩み寄り、言う。
「小ラズィーヤ様のお父様は、静香さんです」
周囲からどよめきが上がる。
「……詳細は存じませんが、『一夜の過ち』のために、
ラズィーヤ様は蟄居を命じられたのだと」
周りが騒いでいるうちに、未来・歩は現在・静香にそっと耳打ちする。
「ええええええええ」
真っ赤になったり真っ青になって慌てる現在・静香だが、
未来・静香は言う。
「僕がラズィーヤさんと結ばれない未来ももちろんあると思う」
「というか、ラズィーヤさん選ぶとこうなっちゃうの!?」
現在・静香はへたり込む。
「し、静香さまーっ!?」
現在・悠希も目を回している。

★☆★

小ラズィーヤは、未来・歩の顔を見て、うなずくと、
未来・静香に言う。
「お前が私の父か。
ならば、この騒動の発端となったのは私のせいでもある」
「ラズィーヤさん」
「私はこうして、皆が助けてくれたおかげで、父殺しをせずにすんだのだ。
桜井静香……いや、父上。
今後、鬼崎 朔(きざき・さく)達、
レジスタンス【紅桜】達の要求した善政を敷くことで、
ともに罪を償おう」
「ありがとう、ラズィーヤさん」
未来・静香は、小ラズィーヤと目線をあわせ、小さな手を握った。

★☆★

現在・朝霧 垂(あさぎり・しづり)は、
小ラズィーヤに言う。
「初めて会った時は悪かったな。
民の事、世界の事を考え、誰にでも頭を下げて頼む事ができる……お前は立派な貴族だよ」
「朝霧垂、私もお前に会えてよかった」
「もし、また何か事件があった時には、再び俺達の所に来いよ。
何時でも力になってやるからさ!」
現在・垂と小ラズィーヤは、固く握手した。

★☆★

未来・ジャジラッド・ボゴル(じゃじらっど・ぼごる)は、
表向きレジスタンスだがエリュシオン龍騎士団の一柱として、
漁夫の利を狙おうと企んでいた。
「ついに!
ついに立つ時が来た!
オレに続け! シャンバラはオレのものだ!」
エリュシオンにパワードスーツパイロットの師団を作った
未来・ジャジラッドは、静香が力を失ったのを見て、
宮殿に攻め入ろうとしていた。

「「桜井校長ーッ!!」」
泥沼から、未来・ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)の宦官ダムと、
「真・ハイパーランサー」として覚醒した現在・ロザリンドが浮かび上がってくる。
「「桜井校長に仇なす者は、このロザリンド・セリナが許しません!!」」
「ぐわああああああああああああああああ!?」
愛の力によって、二人のロザリンドは未来・ジャジラッドの軍勢をぶっ飛ばす。

「「さ、さくらいこうちょう……」」
その直後、また、宦官ダムは、二人のロザリンドごと泥沼に沈むのだった。