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薄闇の温泉合宿(第2回/全3回)

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薄闇の温泉合宿(第2回/全3回)

リアクション

 温泉からあがった後。
 ファビオは一人ではなく、同行を望む契約者達と一緒に、賊達を監禁しているテントに向かった。
 テントの内外では、変わらず東西の契約者達が賊の監視に当たっている。
 ファビオはユリアナのパートナーである魔道書に近づいて、こう問いかける。
「ヴェント、キミをイルミンスールの大図書館から持ち出したのは、エリュシオン帝国の龍騎士レスト・フレグアム。つまり、神の力を有する者だね?」
 訪れたレスト・フレグアムという人物は、写真で見たレスト・シフェウナという少年と同一人物と思われた。
 ファビオは慎重にヴェントの猿轡を解いて、言葉を続ける。
「魔道書の魔術全てを完璧に操ることが出来るのはキミのみ。人の姿をとることが無くなったキミを、再び地球人と契約に至らせ、キミの力を現代に蘇らせて――その力を自らのものとすることが、彼の狙いではないのか」
「私の主はユリアナ・シャバノフ。彼女の望みどおり動くまでだ」
「それは……ユリアナが、シャンバラに協力するというのなら、この時代でキミは俺達の仲間だということ、だね?」
「そういうことになる」
 ファビオとヴェントは、険しいともいえる表情で、しばらくそのまま目を合わせていた。

 ユリアナも合宿所近くに戻っていた。
 眩しい光が降り注ぐ朝。
 彼女は警護と監視についている、東西の契約者と共にテントの外に出た。
 ユリアナの口数は更に減っていた。
「……そんなに私、悪いことした? ……一人に、なりたい」
 誰に言うでもなく、ユリアナは一人呟いていた。
 彼女の願いを、叶えてあげられる者はいなかった。
 すっと、ユリアナは遠くを見つめる。

 誰にも、本当のことなんて言えはしない。
 皆、自分達の権益のために、動いているから。
 御神楽 環菜(みかぐら・かんな)の命令で動いていたという話も、大半は嘘。
 怪しんでいる者もいるようだ。
 だけれど、東シャンバラに捕らわれたのなら、もう自由を取り戻すことは出来ないだろう。
 罪状をでっち上げられて拘束され続けるか、利用されるか。
 西シャンバラの方がまだ、自由が得られるチャンスはある。

(あの人が、来てくれた……)
 ユリアナはそっと目を閉じて、彼の顔を思い浮かべる。
 以前より、大人になっていた。
 彼は私の顔、覚えているだろうか――。

 2人で会って、話がしたい。
 約束、守れたとは言い切れないけれど。
 受け入れて、くれるだろうか。
 たとえ拒否されても、不要といわれても。
 彼の側に行きたい。
 彼の側で生きていきたい。
 駒でもいい、奴隷でもいい。

 私を愛してくれなくても、いい。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

シナリオへのご参加、ありがとうございました。
今回、リアクション内でゼスタ・レイランが彼自身の考えを色々語っていますが、文中にも書いた通りあくまで彼個人の考えです。
ユリアナ等、他のNPCにつきましても同様です。

さて、次回は温泉でなにやら実習が行われ……る予定でしたが、メインは別になりそうな状況です。

基本的には、この温泉合宿シナリオでは次回も大波乱、大事件は起こらないと思います(起こす方がいなければ)。
引き続き、ほのぼの合宿を楽しむことを目的としたご参加も大歓迎です。

ユリアナ、魔道書方面に関しましては、どの勢力が彼女達を引き入れるかで、続編の方向性が決まってくる……と思われますが、温泉合宿内では魔道書争奪戦などの激しい東西バトルなどは予定していませんので、ご安心下さい。

今回は、以下の方にロイヤルガードの称号を贈らせていただきます。

・西シャンバラ
如月 正悟(SFM0015011)さん

・東シャンバラ
神楽坂 有栖(SFM0003273)さん
真口 悠希(SFM0002000)さん

現在拘束中の三道 六黒(SFM0020261)さんとパートナーに付きましては、合宿所で拘束されている状態でスタートとなります。
次回不参加の場合は、護送途中に逃走したとお考え下さい(特にシナリオへの制限などはありません)。

貴重なアクション欄を割いての私信等、ありがとうございます。とても感謝しております。
今回は連絡事項以外、ほとんど個別コメントを書くことが出来ませんでしたが、どうかお許し下さい。

それでは、次回も皆さんにお会いできましたら嬉しいです。