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梅琳教官の戦闘訓練

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梅琳教官の戦闘訓練

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最終章 真・歓迎会

 報告を受けた部屋の中。
「……脱落者は無し。しかも――手加減させているとはいえ、あの防衛システムを倒すなんて……今年の新入生はひと味違うかもしれないわね」
 梅琳は報告書を持った手をトンと膝に落として、感心したように息を漏らした。


 シャンバラ教導団の学食には、『熱 烈 歓 迎!』と書かれた横断幕が張られており、美味しそうな中華料理の香りが一杯に広がっていた。
 訓練に参加した生徒は一人として欠ける事無くその料理の前に居た。
 負傷した者は全て治療を終え、皆、今は心地良い疲れの中で料理に手を出せる時を待っていた。
「骨のある連中が多いのう。これから楽しみじゃわい」
 端で楽しそうに生徒達を眺めていたのは因幡 源次郎(いなば・げんじろう)だった。
 と、その肩を叩かれる。
 振り返ると梅琳が立っていた。
「何人かの生徒から、あなたに襲撃されたという報告が上がってる」
「ふぉっふぉっふぉ」
「先の訓練は『そういった訓練』では無いわ。……今回だけは特別に、上へのフォローをしておいた。皆をもっと鍛えたいと思っての事だったかもしれないけど……次回、似たような事があった時は知らない。気をつけてね」
 釘を刺される。
 梅琳が去って行くと源次郎は、息を吐きながら軽く肩を落とした。
「怒られてしまったのう」
 が、すぐに、てへん、と茶目ッ気たっぷりに笑って。
「それはともかく――めでたい門出じゃ、一つ歌ってやるとするかのぉ」
 彼は元気良く皆の方へと潜り込んで行った。
 そして、源次郎の年季の入った歌声が響き渡る。


 源次郎の祝いの歌と談笑のざわめきの中。
「美味しそうな料理ですねぇ」
 シエンシアは並べられた料理に目を細めた。
 隣に座るツークがククと笑い。
「見た目だけなら、シエンシアの作るものと良い勝負ですな」
「見た目だけなら?」
 近くのオリヴァーが首を傾げる。
 その横で、狐一が心底から息を吐き出す。
「いや、しかし、無事に着けて良かったです、本当に」
 オリヴァーはそちらに視線を返して笑った。
「そうだね。これで、パートナーに格好悪い報告をしなくて済む」
 と、奥の方から席を立った飛虎の陽気に明るい大きな声を聞こえる。
「俺は張 飛虎! これからよろしくな!」
「あたしはヒルダ・ヴァーリィだよ! よろしく!」
 ヒルダが対抗するように席を立って声を張る。
 その様子をクレアはひっそりと眺めながら、口元に小さな小さな笑みを浮かべていた。
「良かったですね、クレア様」
 隣でハンスが微笑む。
 クレアはそちらを見やって瞬きを一つしてから、
「ああ……」
 素直な笑みを浮かべて頷いた。
 そして、ベアとマナの方へと視線を渡す。
「あなた達が共に走り回ってくれたおかげでもある。あなた達に助けられた者達を代表して礼を言う」
「礼ならこちらも。良い経験をさせてもらったよ」
 ベアが笑みながら軽く首を振る。
 その隣でマナがそわそわと周りを伺っている。
「ところで、教導団の歓迎会に私たちが居て良いのかな?」
「いいんじゃねぇか?」
 ケイが林檎をシャクリと齧りながら言う。
 セオボルトがその林檎を見やって首を傾げる。
「その林檎は何処で?」
「くれたぜ?」
 ケイが示した先。
 右京が隆広に林檎を渡していた。
「これは……?」
 怪訝に渡された林檎を見る隆広を前に、右京が口角を上げる。
「私の好物だ」
「はぁ……?」
 やはり首を傾げる隆広の横では、龍希が視線をあちこちに巡らせていた。
「……彼らは居ないのか」
 呟く。
 八神とシルビアの姿を探していたのだが、見当たらなかった。
「蒼空学園の制服を着ていましたね」
 隣でシェラが言う。
 そして、フォークが静かに頷く。
「彼らとは、また何処かで共になるだろう」
 龍希はそちらに視線を渡し、それから、ほつりと息を解いて「そうだな」と笑んだ。
 その向こうで。
「梅琳教官に会ったんですか?」
 ルースがイリーナの方を見やる。
 イリーナは頷く。
「ああ、さっき廊下で少しだけな。挨拶を交わした程度だったが……」
 その隣で弥がニヤリと笑む。
「オレはさっきアプローチを少々な」
「結果は?」
「聞くな」
 弥が、ふっと笑顔に影を落とす。
 ルースが彼の肩をぽすぽす叩いて。
「ああ。今度、オレと一緒にナンパ行きましょう。元気出してください、ね?」
「マスター、どうせならもっと他の慰め方を」
 ソフィアが、はふと溜め息を付きながら言う。
「貴公は、苦労をするな」
 ローゼニクルアクトがソフィアの肩に手を置く。
 その横でレヴィアーグが呟く。
「……件の教官が出てきたぞ」
 

 梅琳が皆の前に立つ。
「皆、良く生き残ったわね」
 視線を向ける全員の顔を視線で見回し、彼女は微笑む。
「おめでとう。これであなた達は晴れてシャンバラ教導団の生徒になったわ。改めて――よろしく」
 言って、彼女は片目を瞑った。
 パーン、と学食の隅に立つエレーネの手元で小さなクラッカーが鳴る。
「では、食事をどうぞ」
 そして、ようやく皆は振舞われた中華料理にありつき、その量と美味に戦闘訓練の疲れを癒す事が出来た。

担当マスターより

▼担当マスター

村上 収束

▼マスターコメント

 シナリオへの御参加ありがとうございます。
 そして、アクションの作成お疲れ様でした。
 全てのキャラクターが個性的であり、皆さんの愛を感じ、楽しく執筆させて頂く事が出来ました。
 考え抜かれたアクションも見応えのあるものばかりでした。
 アクションについては残念ながら採用されなかったものや、思わぬ部分が拾われていたり、意図通りにならなかったものがあると思います。
 これらは慣れや技術が影響している部分もあります。
 TVゲームにおけるコントローラーさばきのようなものですね。
 是非、試行錯誤しながら御自身のアクション書きの熟達も楽しんで頂けたらと思います。
 マスター個々の特色などもあって中々難しい部分もありますが、思ったようにスパーンとリアクションにハマッた時の快感はたまらないものです。
 かくいう私もまだまだ未熟者。
 皆さんのキャラクターをより生かせるように、読み取り能力を磨いて皆さんと共に成長して行くつもりですので、長い目でのお付き合いをして頂けると嬉しいです。

 さて。
 防衛システムの破壊についてですが、破壊には幾つかの条件の達成が必要でした。
 見事、条件をクリアされ破壊に成功した方々には拍手を送らせて頂きます。
 折角なので獅子小隊14名の方に称号を送らせて頂きました。

 ちなみに、最後の食事会でのピックアップはランダムとなっております。

 この度はお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
 次回シナリオで御会い出来る事を楽しみにしております。

▼マスター個別コメント