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エルデの町を守れ!

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エルデの町を守れ!

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 女王の間へと辿り着いた【クイーンハンター】に所属する学生たちは、既に始まっているジャイアント・アントクイーンたちとの戦いにすぐさま加わった。
 一際大きなジャイアント・アントに狙いを定めたウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は、光条兵器をジャイアント・アントの硬い外殻へと突き刺した。その状態のまま、光条兵器から轟雷を放つ。
 雷電はジャイアント・アントの体内を駆け巡り、内から痛みを与える。
 ジャイアント・アントは痛みを与えてきたウィングに狙いを定め、酸を吐き出してきたけれど、彼はそれを避ける。酸で穿たれた地面が毒性のある気体となるが、ゴーグルとマスクをしているため、吸い込まずに済んだ。
「これで帰り道は安心……ともう最後の部屋なのね」
 蛍光材で曲がり角へと印をつけていた御影 春華(みかげ・はるか)は、その部屋の入り口に印をつけ終えると、中で繰り広げられている戦いを見て呟いた。
「飛んで上空から狙おうかな」
 ランスを構えると、バーストダッシュを用いて、ジャイアント・アントクイーンへと近付く。そして落下の勢いに任せて、ランスを突き出した。
「トリモチで複数狙えば動きが鈍くなるハズ! 残りはボクのライフルでアリんこを駆逐してあげるよ〜〜ん♪」
 そう告げて、黒乃 音子(くろの・ねこ)が放ったのはトリモチ鏑弾だ。
 ジャイアント・アントクイーンの周りのアントたちがトリモチに引っかかり動けなくなっていくところに、更に高速弾を打ち込んでいく。
「いたずらに怪我すんなよ! 治すこっちの身にもなってみろっ!! かすり傷なんかは舐めときゃ死にゃあしねえよ♪」
 フランソワ・ド・グラス(ふらんそわ・どぐらす)は、メイスを振り回し、ジャイアント・アントたちに打撃を与えていた。
「こっちはなあ、女王アリ見たくて付き合ってんだ! なんだってアリんこどもと戦わにゃあいけねーんだよっ!! こらあ、音子ぉ! 帰ったらサバの味噌煮は与えねえぞっ!!!」
 ジャイアント・アントたちの向こうに見え隠れするアントクイーンを見たくて、フランソワは声を上げる。
「そんな〜……」
 仕事の後のサバの味噌煮を楽しみにしていた音子は残念そうにしながら、トリモチ鏑弾を放つことを続けた。
 村雨 焔(むらさめ・ほむら)はパートナーのアリシア・ノース(ありしあ・のーす)から取り出した光条兵器をジャイアント・アントへと振るっていた。
 光条兵器の刃は硬い外殻を斬り、内腑へ直接痛みを与えていく。
 アリシアは焔へ祝福の祈りを捧げ、彼が怪我を負えば癒した。
 ジャイアント・アントたちが放ってくる酸を避けると、それは地面を穿ち蒸発していく。その蒸発して発生した気体に、焔たちは慌ててゴーグルやマスクを装着した。喉や粘膜をやられないために、だ。
 ジャイアント・アントたちも数が減ってきて、焦っているのだろうか、先ほどより酸が放たれているのが多いと感じる。
 他の学生たちもそれを感じて、それぞれゴーグルやマスクといった、喉や粘膜を守るものを装着し始めた。
 フィル・アルジェント(ふぃる・あるじぇんと)はアサルトカービンで、ジャイアント・アントたちやジャイアント・アントクイーンの関節部を狙っていく。
 関節をやられて足止めさせられた個体へと、パートナーのセラ・スアレス(せら・すあれす)が高速ダッシュで近付いて、音速を超えた一撃を放った。
 周りを守るアントたちはそれを繰り返せば、次第に力尽きて倒れていくけれど、ジャイアント・アントクイーンに限ってはそれでは有効打にはならない。
 セラは、フィルが用意してきた爆薬を受け取るとそれを手に、ジャイアント・アントクイーンへと向かっていった。
 背中に飛び乗ると、その爆薬を括りつけて、火をつける。
 火が導火線を移動している間に、ジャイアント・アントクイーンから離れ、爆発を待った。
 爆薬に火が着くと、大きな爆発が起こる。煙の向こう側でジャイアント・アントクイーンはまだ立ち上がっている。けれど、外殻はもうボロボロに近かった。
 ジャイアント・アントクイーンの間に辿り着いたアイギス・グリッド(あいぎす・ぐりっど)は柱の蔭などに隠れながら卵を破壊していた。
 皆の攻撃で大分傷ついたジャイアント・アントクイーンが、卵の破壊に気付いたのは半数以上が壊された後であった。
「隙だらけだぜ!」
 アイギスはジャイアント・アントクイーンの後方に回り込むと、ボロボロの外殻の隙間からリターニングダガーを突き刺した。
 その一撃が致命傷となり、ジャイアント・アントクイーンは崩れる。
 ジャイアント・アントクイーンが倒れたことで、他のジャイアント・アントたちの統制が狂い始めた。

 防塵マスクとゴーグルで身を固めた久沙凪 ゆう(くさなぎ・ゆう)とパートナーのカティア・グレイス(かてぃあ・ぐれいす)は周囲のジャイアント・アントたちの関節を狙い、遠くからの射撃と爆炎による攻撃を仕掛けていた。
 それと同時に、この最奥の部屋へと爆薬を仕掛けていく。
「すぐにここを出るんだ!」
 ジャイアント・アントクイーンが倒れたのを確認した彼らは、他の学生たちにそう声をかけ、避難を促す。
 学生たちが部屋から全員出たのを確認した後、爆炎で爆薬に火をつけ、部屋を破壊した。

「あの人達は、涙すら仮面に隠して、戦っている。信じる正義のために」
 崩れ行く部屋の入り口の外で、仮面の下で涙を流すパートナーたち3人を見て、リリィ・シャーロック(りりぃ・しゃーろっく)は呟いた。
「タケル、お疲れ様です。帰りましょう、私たちの住む場所へ」
 イビー・ニューロ(いびー・にゅーろ)も武の肩を叩き、帰還を促すのであった。