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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

リアクション

 じり、と金属の床を踏みしめ鬼崎 朔(きざき・さく)がゴーレムに近付いた。手にはトミーガンを持ち、構えている。
「……なんであろうと……邪魔をするなら……ツブす!」
 たぎる感情を一言ずつ吐き出すように言って、トミーガンにより銃弾を銀色のゴーレムへ撃ち込む。
 連続で撃ち込まれた銃弾は、ゴーレムの体に当たり火花と金属音を散らす。
「みんな頑張って!」
 ブラッドクロス・カリン(ぶらっどくろす・かりん)が戦いを続けるメンバーに声援を送り【パワーブレス】を使用。攻撃力を上げる。
「ゴーレム、邪魔であります!」
 スカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)は叫びつつ【爆炎波】を銀のゴーレムに浴びせる。
「封印されてしまった機晶姫を、開放するであります!」
 叫んだスカサハ・オイフェウスに迫る、銀の影。腕を振り回して進む銀のゴーレムは、降り上げた腕を彼女へと下ろす。
「……くぅ……」
 変則的な腕の動きを読み切れず、スカサハ・オイフェウスは腕に裂傷を負った。
「スカ吉、大丈夫!?」
 ブラッドクロス・カリンが【ヒール】をかける。癒しの光が、スカサハ・オイフェウスの傷を治していく。
 ほんの数秒で、傷は跡形もなく消え去った。
「もう大丈夫であります、お姉さま!」
 にっこり微笑んだスカサハ・オイフェウスは腕を振り回してみせる。そのまま駆け出し【轟雷閃】を繰り出した。
 そんな彼女を見遣りつつ、鬼崎朔は【隠れ身】を発動。岩の影に隠れながら、銀のゴーレムに近付いた。
 ゴーレムに気付かれないギリギリの位置まで進み【光条兵器】の短剣を取り出した。
 十字紋の入った短剣の形状をしたそれを、ぐっと構える。ゴーレムの背後にまわり、切りかかる。
「……邪魔だ!」
 銀のゴーレムの背中に、短剣が突き立った。しかしゴーレムが怯む様子はない。
 鬼崎朔は、横に振られた腕を転がって避けた。
「朔ッチ、怪我はない?」
 ブラッドクロス・カリンの問いかけに鬼崎朔が頷いた。【光条兵器】の短剣を掲げる。
「光条兵器を持ってるなら、共に攻撃しようぜ」
 ロア・ワイルドマンは鬼崎朔に語りかける。彼女は頷いた。
「うおぉぉぉぉぉぉ、いっくぜぇーーーーーーーーーーー!!!」
 了承を受け、叫んで感情を昂らせたロア・ワイルドマンが【超感覚】を使用。赤い虎の耳と尾が生える。
「デューゼ、援護頼むぜ」
「分かった」
 デューゼ・ベルモルドに指示を出して、ロア・ワイルドマンは【光条兵器】の大爪を構えた。
「よし、朔、二つの光条兵器で同時に攻撃だ!」
 再び頷いて同意する鬼崎朔。
 合わせて【光条兵器】を取り出し、駆け出す。
「ゴーレム、こっちだ」
 駆け出した二人を横目に、デューゼ・ベルモルドがトミーガンを撃ちこむ。
「援護するね!」
「スカサハも手伝うであります!」
 ブラッドクロス・カリンとスカサハ・オイフェウスは銀のゴーレムを囲み、それぞれウォーハンマーと【轟雷閃】で攻撃。
「どうにかして動きを止めてくれ!」
 ゴーレムの攻撃を【超感覚】で避けつつ、ロア・ワイルドマンが叫んだ。
「どうにか、か。無責任だな」
 苦笑しつつデューゼ・ベルモルドは【スプレーショット】を放つ。ばらまかれた弾のはじける音が響く。
「まあ、やってみないこともない」
 言ってデューゼ・ベルモルドは、どうすればゴーレムの動きを止められるのか、思考を巡らせた。
「……そうだな」
 トミーガンを撃ち込みながら一つの答えを導き出し、手榴弾を取り出した。
「これならどうだ?」
 デューゼ・ベルモルドが手榴弾を投げつけて小爆発が起きた。ゴーレムの動きが一瞬止まる。
 そのとき、ゴーレムの死角から鬼崎朔が短剣を振り上げた。十字紋が光り、ゴーレムを貫く。
 同時にロア・ワイルドマンの大爪の爪がぐんと伸び、鬼崎朔の短剣で空いた穴を抉る。
 二人の攻撃と援護攻撃により、ゴーレムの背中にぱっくりと傷ができ、動きが鈍くなった。
 腕を振り動かす力も、弱まっているようだ。
「よし、作戦成功だな! これで銀のゴーレムはだいぶ弱ったはずだ」
「やったね、朔ッチ、スカ吉!」
 嬉々とするブラッドクロス・カリンに頷き、鬼崎朔は動きの鈍くなった銀のゴーレムを見遣った。

「これが、本物のゴーレム……」
 銀銅のゴーレムを見上げ、息を飲む起木保。護衛のメンバーと共に立入禁止区域内に踏み込んだ。
「! まだアントライオンがいたのか……」
 流砂から這い出たアントライオンが飛び出した。起木保は雷発生装置を起動し、攻撃――。
「えい!」
 起木保が雷を浴びせようとした瞬間、遠野歌菜がハルバードで【轟雷閃】を使用。アントライオンがひっくり返る。
「周りの魔物はいなくなったか……いよいよゴーレムに攻撃だ」
 ごくりと息を飲み、起木保が雷発生装置を銅色のゴーレムへ向けた。
「雷発生装置、発動!」
 雷を発生させ撃つ起木保に、銀の腕が近付いてきた。
「先生、危ない!」
 叫んだ御茶ノ水 千代(おちゃのみず・ちよ)はサブマシンガンを構え、【スプレーショット】で弾幕を張る。
 腕の軌道が逸れ、金属に覆われた地面へ腕が下りる。
 腕は空を切り、再び持ち上がった。
「……やはり、強いな……」
「先生ならやれますよ。自信を持ってください」
 歯を食いしばる起木保を励ます御茶ノ水千代。その揺るぎのない口調に起木保は、ゆっくりと頷いた。
「やってみるか」
 再び雷発生装置を起動させる起木保。サポートするために御茶ノ水千代はサブマシンガンで銀のゴーレムを撃つ。
 再び得意の【スプレーショット】も繰り出し、御茶ノ水千代は援護に徹する。
「ゴーレムを倒すですぅ〜」
 神代 明日香(かみしろ・あすか)は、のんびりと言って【光条兵器】を構える。小型の槍の形をした武器が、彼女の手の中で光る。
「ごめんなさい、ゴーレムさん」
 瞳を潤ませつつも銅色のゴーレムに攻撃を繰り出す神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)
「わたくし、機晶姫を起動するために、お手伝いをしなければいけないのですわ」
「謝らなくてもいいのですぅ〜」
 苦笑して、神代明日香は駆けだした。無論、ゴーレムに言葉が届くことはなく、容赦ない拳が下りてくる。
 神代明日香に振り下ろされた瞬間、神代夕菜が腕に攻撃。神代明日香に当たるギリギリを掠めて、再び振り上げられた。
「危ないですねぇ〜。皆さんを危険にさらすなら、お仕置きしちゃいますよぅ〜?」
 言って神代明日香が小型槍の【光条兵器】を銅色の足に突き刺す。
 確かに当たったはずなのに、銅色のゴーレムは身じろぎすらせず、その場で手を振るばかりだ。
「下がらないと、危険ですわ!」
 小型槍を押しこんでいた神代明日香を、神代夕菜が回収。途端に上がった足が、金属の地面を揺らした。
「あまり近付かない方がいいようですぅ〜。先生、一緒に攻撃するですぅ〜」
「お? あ、ああ」
 突然呼びかけられた起木保が頷く。反応を見て神代明日香は【雷術】を使用。
 雷発生装置と共に銅のゴーレムを狙い、効果を増した雷でゴーレムの全身に電流を走らせる。
「効いているようですわ」
 神代夕菜はにこにこ笑って頷く。起木保も心なしか嬉しそうだ。
「もう一回、行くですぅ〜?」
 首を傾げつつも、神代明日香は詠唱を始めた。起木保も慌てて雷発生装置を起動させる……。