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リアクション
3章
ある程度進んだところで、予定通り泳ぎ始めた救出チーム。
流れてくる風鈴やら七夕飾りやらを起用によけ、あるいは攻撃して前に向かう。
そして浮島が見え始めた頃、風鈴等の他に羊羹やうちわまでもが流れてきており、進むことが厳しくなりつつあった。
「浮島は固定されたのと、浮いてるだけのがあるから気をつけてね!」
博識スキルを持つ真からの注告の直後、その声は唐突にあたりに響き渡る。
何事かと目を向ければ、拡声器を片手に仁王立ちしている男性が一人。
「彦星!お前の可愛いアルタイルが泣いてるぞ!? お前も牛飼いの端くれなら、いつまでも嫁の尻ばかり追いかけてないで、きちんと畜産農業に従事すべきではないのか!?」
拓海の突然すぎる言葉に理解が追いつかず、おもわず固まる救出チーム。
なかにはこめかみを押さえるものもいたが、それぞれ呆れが前面に強く出ていた。
あまりにも予想外のために時が止まるも、すぐに動かざるを得なくなる。
――先ほどの宣言を皮切りに、妨害がひどくなったのだ。
「どうやら始まったようだな」
聞こえてきた説得を合図に、上流から流す量を増やしていくマクシベリス。
正悟はどこから持ってきたのか、そうめんや羊羹まで流している。
「あんなこと普通言えないよ……だからこそ作戦に組み込んだんだろうけど」
拓海は何を思ったのか、彦星たちを説得すると言いはじめたのだ。
他にも案は出されており、マクシベリスは案をまとめると指示を出していた。
「こっちはもう俺だけで十分だ。正悟はあっちの援護に向かってくれ」
「分かった。リア充はここでフラグベキベキに折ってやるぜー!」
小さな意気込みを入れながら向かう正悟を見送りつつ、せっせと羊羹を流すマクシベリスだった。
「轟雷閃――SMAAAASH!!」
涙目になりながら放った玲奈のスキルアタックに血の気が引く思いをすると、すぐさま時は動き出した。
流れてくる障害物も種類が増えており、なぜかそうめんまで流れてくる有様。
「さあ、我の八つ当たりに付き合って貰おうか! まだまだいくぞ!」
いい笑顔でロケットランチャーを撃ち放っている毒島に、玲奈も同調して理不尽なことを言い放つ。
「べっ、別に彼氏とか羨ましいとかじゃ……私の屍――じゃなかった、妨害を越えていくのよ、コンチクショウ!!」
それを聞いた美羽は、頬をふくらませながら反論したのだが……
「ずるいよ! 私より目立つなんて許さないんだからね!」
「問題はそこじゃないでしょう!?」
ロケットランチャーを氷術で防ぎつつも、ずれた論点に律儀にツッコミをいれる未沙。
そうこうしているうちに浮島に辿りつき、中州を目指して跳んで進んでいく。
「いくぞ! シャンバランダイナミィィィック!!」
その掛け声とともにバレーボールを打ち込んでくる正義だったが、後方から颯爽と現れた影に遮られ、届くことはなかった。
「あなたは、いったい……?」
遮った人物はリリィの呟きに、サングラスを光らせ名乗りを上げる。
「良くぞ聞いてくれた! 拙者、リーゼント忍者【ザ☆マホロバ】でござる! これよりおぬしらに助太刀いたす」
頭を抱えたくなるリリィだったが、ジョニーと一緒にきた人物も頭を抱えており、つい哀れみの視線を向けてしまう。
気をとり直した陽太は、弾幕援護をしつつ救出メンバーに声をかける。
「これより援護します。ここは俺に任せて先に進んでください!」
「ありがとうございます。では、これより皆様の援護をお願いいたしますわ」
「それと、拡声器の声に耳を傾けないように注意してください。意識を持っていかれます!」
拓海の説得は未だに続いており、何故か聞き流さないと意識を持っていかれる効果まで発揮していた。
ちなみに今の内容は、男なら、女房子供を食わすため働け! である。
「これぐらい集めれば大丈夫ね。そろそろ妨害に移るべきかしら」
ひたすら乙女たちの涙を集めていた美由子だったが、気が済んだのか消防ポンプによる放水を開始し、それによって浮島をずらしたり、直接当てたりしている。
そのそばでは小次郎がコツコツと狙撃しており、たまにロケットランチャーの流れ弾を狙撃しながら回避していた。
「毒島殿も容赦がないですね……こっちまで飛んできてますし」
「しかもいい笑顔のまま撃ってるから性質が悪いわね。よっぽどストレスでも溜まってたのかしら?」
――当然だが、その問いに答えられる者はいなかった。
浮島を着実に進んできた救出メンバーだったが、それに合わせて妨害もより激しくなっていく。
先に進むことが難しくなるのは、当然であり必然だった。
「っ!? ヤバッ!?」
「カセイノ!?」
カセイノが着地しようとしていた浮島が爆風によって位置がずれてしまい、さらに空中で体制が崩れてしまう。
気づいたリリィが伸ばした手も、距離があったために届かず、カセイノは川に落ちてしまった。
泳げないカセイノは、そのまま流れに飲み込まれてしまう
そして――
「うわぁあ!?」
着地した瞬間に狙われたこともあり、放水をまともに受けた莱菜もまた落下し、飲み込まれていく。
「あたしが行ってくるね! 皆は先に進んでて」
そう言うなりマリエルは低空飛行をしつつ、二人の下へと向かっていった。
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