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リアクション
第5章 着せ替え魔人の恐怖story3
「どこへ連れて行く気なの?」
行き先も告げられないまま高峰 結和(たかみね・ゆうわ)は、エメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)に手を引っ張られ屋敷中を歩かされる。
「ねぇ、どこまで歩けばいいの」
「今に分かるよ・・・」
彼女に顔を向けずニタリと笑う。
それはまるで魔物に供物を捧げに行くような光景だ。
エメリヤンが向かっている先は、着せ替え魔人のボスがいるところだ。
そうとも知らず結和はエメリヤンにその場所へ序々に近づいていく。
「おい、ちょっと待て!あたしは着せ替えたりしないから安心してくれ」
泉 椿(いずみ・つばき)はロリオと話そうと呼び止める。
「なぁジュエリンのことは嫌いじゃないんだろ?イケメンなんだし女装も可愛いとは思うけど」
「いえ、オレは女装とかそいう趣味まったくないんですよ。むしろ“筋肉が着ているんじゃね?”と思われますって」
「うぅん。じゃあ自分の趣味があるならちゃんと伝えてみたらどうだ?ヘビメタとか軍服系とか、着せ替えも幅があったほうが楽しいだろうからな」
「コスプレ事態恐ろしいですからっ。それも毎日に追いかけれてますし」
「ま、毎日ぃいい!?それはやばいな・・・」
あのスピードで毎日追われていることを想像した椿は、さすがの彼女もぶるっと身を震わせる。
「うっ、彼女が来ます・・・。とにかく、嫌なんですよーっ!」
野うさぎが凶暴なライオンに追いかけられているかの如く走り去る。
「あぁっ、待てよ!―・・・行っちゃったか」
どうしたら説得出来るのかと椿は頬を掻く。
「って、何やってるんだミナ!」
ミナ・エロマ(みな・えろま)の方へ振り向くと、禁断の園のような光景を目にする。
脱ぎやすい環境にしようと暖房のきいた部屋に音楽を流しているようだ。
「最高に楽しいですわ〜♪」
ニヤニヤと微笑みながらミナは鬱姫に胸を強調したドレスを着せている。
ボディのラインがくっきり見えるエロサバだ。
「本人納得してるならいいが、あまり調子に乗るなよ?」
「いいですわ、その恥じらいの表情・・・こちらを向いて!さあ、次はこの衣装で、もっともっと魅力を見せてくださいな☆」
椿の注意を無視してミナはターゲットたちを着せ替えて楽しむ。
「オルフェさんには女神チックな感じが似合いますわね」
1人だけじゃ気がすまない彼女は、袖が開いたホワイトベースのクロークをオルフェリアに着せた。
「お次は誰を着せ替えましょうか?」
「連れて来たよ・・・」
もっと他の人も着せようとターゲットを探していると、エメリヤンが結和を捧げにやってきた。
「いらっしゃい、フフフ」
「え、何?ここ・・・。―・・・!?」
ミナの傍にある際どいドレスを目にし、結和は今から自分の身に起こることを予知した。
「そんなの着れませんよっ!」
「恥ずかしいのはほんの一瞬ですわ。慣れればあのように堂々と着せ替えられますの」
「こっちにいらっしゃい」
着せ替えの虜となった鬱姫たちが結和を仲間に引き込もうと手招きをする。
「ひぃっ!?誰か、誰か助けてくださいーっ」
部屋を飛び出し結和は着せ替え魔人たちから逃げようとする。
「逃がしませんわ♪」
「はぅううっ」
-ナレーション-
着せ替え魔人のボス・ミナに捕まり、魔人ハウスへ連れて行かれる。
「あのっ、いえその服も可愛いんですけど・・・丈が短くないですかっ!?」
いつも膝下の長さの地味子スタイルな格好の結和は、放送禁止ギリギリラインのスカートを履かせられる。
「(ううー、エメリヤンたら・・・後ででこぴんしてやるんだからねっ)」
胸元が見えそうな露出の高い服をミナに着せられ、瞳を涙で潤ませエメリヤンをじっと睨むように見る。
「今が楽しければそれでいい・・・♪」
持ち主の許可をいつの間にかもらってきたエメリヤンは、アスカたちの衣装にビーズの刺繍をほどこす。
睨む結和に怯まず、服をアレンジする。
「着せ替え人形・・・もとい、着せ替えさせくれる可愛い子たちが集まっているっていうのはここかしら!?」
バタンッとドアを開けてアルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)が着せ替え魔人の仲間になる。
「もしかして、着せ替え大会じゃないの・・・?」
一部を除いて楽しそうにしている様子を見て、彼女はハテナと首を傾げる。
「・・・どうしてこんなに違うのかしら、不公平だわ」。
スリットの入ったチャイナドレスをアスカに着せ、自分の胸と比べたアルメリアは嫉妬と羨望の気持ちを込めても・・・。
-ナレーション-
ちょっとしたアクシデントがあったため、しばらくお待ちください・・・。
「うぅ、どうしてこんな目に遭わなきゃいけないのぉ」
-ナレーション-
アスカは事故ショックで心に150のダメージを受けた。
「よく似合ってるわよ、とっても可愛いわ。フフフ、もうこのままお持ち帰りしちゃいたいくらいだわ」
小悪魔なコスチュームを着せた結和をぎゅむっと抱き締める。
「へっ、えぇええ!?」
本気のように聞こえ、“それは無理!”と結和はふるふると首を左右に振る。
「他の人も着せたいわね。誰かいないかしら?あ、ちょうどいいわ。あの子をここへ連れてこよう♪」
神楽坂 紫翠(かぐらざか・しすい)の姿を見つけ、アルメリアは彼を無理やり部屋に引っ張り込む。
「申し訳ありませんが、男の方は目隠しさせていただきますね」
ルーツの視界をレラージュ・サルタガナス(れら・るなす)はアイマスクで塞ぐ。
「えっ?な、何も見えないぞ!」
問答無用で目隠しされてしまう。
「紫翠様には、大人っぽい姿が似合いそうです」
「それならここはやっぱり、肩出しでスリットが入ったブラックのドレスですわね!」
ミナはまたもやエロサバの服を、今度は紫翠に勧める。
「わたくしも手伝いますね。ファスナーを上げる時はちょっと力が入りますし」
歩くとスリットから足が丸見えになるパーティードレスを紫翠に着せる。
「やっぱり、元が良いので美人です。色気もありますよ。それに最近は、男の娘も流行ってますから問題ないです」
ローズカラーの口紅を塗ってやり薄化粧をさせる。
「そうなんですか!?―・・・じ、自分はその・・・。そういうのは・・・」
レラージュの言葉に紫翠は、頬にチークを塗ったように顔を赤らめる。
「鏡を見てください、こんなに美しいんですから。もっと自分に自身を持ってください、紫翠様」
「―・・・そ、そうですか?でも自分はやっぱり・・・」
「とても素敵ですよ。これから紫翠様をもっと美しく見せるために努力しますからね」
「え、自分がですか?」
「そうですよ・・・。その美しさを磨かないなんてもったいないですし」
「サルタガナスがそういうなら考えてみますよ」
ニコッと微笑むその顔の裏に潜んでいる、男の娘への道へ引き込もうとするレラージュの甘いトラップかもしれない、ということを紫翠はその時まだ気づいていなかった。
「そこで皆できせかえっこするなら記念撮影しないか?」
如月 正悟(きさらぎ・しょうご)を神社から借りてきた巫女の衣装を着て撮影しようと紫翠たちに話しかける。
「―・・・着替えないんですか?」
自分たちに着せてどうして1人だけ着替えないのかと正悟に問う。
「あぁ、俺はちゃんと神主さんの衣装をきてるからな。だから巫女服は着れないんだ。やっぱ1は神主さんの衣装はいるとおもうし?」
「そうなんですか?」
彼の言葉に紫翠は腑に落ちないような顔をする。
「巫女服が嫌なら、俺が自作したネコミミもあるぞ。レースクイーンもあるし」
「どうしましょう・・・」
「早く決断するんだ!騒動が収まってからじゃ着れないかもしれないんだからな」
-ナレーション-
如月 正悟は生徒たちに、着せ替えさせろの号令を出した。
「うーん、そうですね。じゃあ自分は巫女服を着てみます」
「オルフェはレースクイーンの服がいいです♪」
「あの言葉には何だか従わなきゃいけない気がしますね・・・」
しぶしぶ結和はネコミミを頭につけた。
「素直に生きるのが一番だな。さぁ撮るぞ」
最後の記念撮影で生まれる思い出・・・プライスレス。
パシャリッ。
着せ替えドールと化している者たちの写真を撮った。
「そろそろ着てきた服に着替えたいです。―・・・これ、自分の服じゃありません!」
紫翠は元の服に着替えようとするが、オルフェリアの服といつの間にか入れ替わっている。
「誰の仕業ですか!?」
「フッ、他人の不幸は蜜の味っていうけどさ。他人の幸福は不愉快じゃん?ぎゃっははは」
ゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)は馬鹿笑いしながら廊下を走る。
「神社に服を帰さなきゃいけないのに困ったな。これっていくらなんだろう・・・。―・・・」
足りなかったら弁償させられると、ゲドーを追いかける。
「その他の服はどうでもいいから、俺が持ってきた服に着替えた人の分を返してよっ」
「はぁ!?いやぁだね」
「だったら、これでどうかな」
-ナレーション-
如月 正悟の攻撃、愉快犯Aゲドーに向かって靴を投げつける。
“そんなもん当たるかっ”
ゲドーはひらりと身をかわす。
正悟の行動選択。
ぼこる。
逃げる。
しばき倒す。
“止まらないなら殴るよ!”
しばき倒すを選択、則天去私で拳に光を纏わせ、ゲドーに殴りかかる。
“おっと、こいつがどうなってもいいのか?溶けて穴だらけになってもしらないからな”
アシッドミストで正悟を脅す。
“その前に倒せばいいだけだよ”
ゲドーのスキル封じ、失敗。
バーストダッシュで逃げようとする。
“よくも紫翠様の服を盗みましたね!”
怒りのレラージュの攻撃、遠当てでゲドーを転ばせる。
「くぅっ、あんなのが部屋にいたなんて、迂闊だった・・・」
ゲドーは服を奪い返されてしまった。
「ちくしょぉおおっ!―・・・イッてぇ」
悔し紛れに床を殴り、自らの拳に20のダメージをくらってしまった。