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第一章 呪いのサンタ人形捕獲部隊、結成!

 ひょんなことから厄介な呪いのサンタ人形を開放してしまった雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)。厄介だと思いつつも責任を感じた雅羅は呪いのサンタ人形を追うことにした。考古学部の部長から封印お札を貼り付けることで封印することが出来る、絶対に封印してくれ!と言われる。
「部長ももしかしたら恋人が欲しいのかしら?」
「そうかもねー」
「間違いないな」
 呪いのサンタ人形を走って追いかける雅羅に並び話しかけてきたのは清泉 北都(いずみ・ほくと)モーベット・ヴァイナス(もーべっと・う゛ぁいなす)だった。北都はスキル『超感覚』を使い雅羅を補足、すぐに追いつけたというわけだ。二人も雅羅と共に呪いのサンタ人形を追いかけるためにここにきたのだ。
「ここに来る前に走り去るサンタ人形を目撃したって人がいたんだけど、どうやら放送室に向かってるのは間違いないみたいだね」
「幾人も悲しそうなオーラをした不気味なサンタ人形が放送室方面へ爆走しているを見かけているらしい。ほぼ確定だろう」
「そして一人身の人が歌を聞いてしまうと恋人が出来る確立が80%も低下する、か」
 恐ろしいのか、恐ろしくないのかイマイチぴんとこない雅羅だがそれでも放っておくわけにも行かず北都達の情報を元に放送室へ向かう。
「おーい、雅羅ちゃーん! 待ってくださいー!」
「僕達も手伝うよー!」
 後ろから大声で駆け寄ってきたのは杜守 柚(ともり・ゆず)杜守 三月(ともり・みつき)の二人で、手には縄を持っている。
「はぁ、やっと追いつきました。雅羅ちゃん早いですよ」
「まったくだね」
「うん、出来ればさっさと片付けてしまいたいしね。それよりその縄は何?」
そう聞かれた柚はこう答えた。
「捕まえるなら縄がいるかと思いまして、持ってきたんですよ」
「動きが早くてダメなら僕達の『ヒプノシス』が役に立つかもしれないからね。前準備は抜かりなしだよ」
「そう、ありがとう。これだけの人数がいれば案外すぐに終わるかも…」
「雅羅! 危ない!」
 そう叫んだ北都は雅羅の前に躍り出る。飛来する何かを眼前で北都は止める。スキル『サイコキネシス』で止めたのだ。動きの止まった飛来物が地面に転がる。その正体は。
「……呪いのサンタ人形?」
「違うな。恐らく呪いのサンタ人形が操るただのサンタ人形であろう。こいつらも目撃されている情報もあるしな」
 三月が首をかしげて言った疑問に対して、ヴァイナスが的確に答えを言う。どうやら呪いのサンタ人形は他のサンタ人形を使って足止めをするみたいだ。
「でも一体、二体だけなら」
「それはないんじゃないかな? 何せクリスマスが近いこの時期、サンタ人形のストックは大小様々あるだろうしさ」
「攻撃方法は多分体当たりだけじゃないかしら? 遠くから足止めできるならやらない理由はないしね」
「おーい皆ー! 俺も捕まえるの手伝うぜー!」
 雅羅達の元へ更に、想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)の三人が集まり雅羅を含め合計で八人となった。
「でも大丈夫だからね雅羅ちゃん! 雅羅ちゃんは私が守るから! サンタ人形が体当たりしようものならその時は……」
「俺も尽力するぜ! この大剣でサンタ人形ごと呪いのサンタ人形をぶった切ってやる! まずは一体目、うおりゃあああぁぁぁ!」
「だ、だめだよ二人とも! この人形達は操られてるだけだし、後に飾り付けて使うものなんだから壊すのはご法度!」
 熱くなる瑠兎子と勇平を抑制する夢悠。サンタ人形や呪いのサンタ人形もあとで飾りつけ使うためあまり傷を付けないでくれ、と考古学部の部長にも言われていた雅羅も改めて今後の方針を決める。
「皆聞いて。私達八人はこれから呪いのサンタ人形がいるであろう放送室に行く。途中で襲ってくるサンタ人形達は捕獲していきましょう。注意点はどの人形もなるべく無傷で捕獲すること。あとで飾り付けで使うみたいだからね。以上、質問はある?」
 簡潔にまとめられた作戦内容に七人は同意の意味を込めた沈黙で返事をする。
「それじゃ行きましょう。勿論、タイムリミットが来てしまう前にね。それじゃ即席だけどサンタ人形捕獲部隊、行くわよ!」
 おおー! という掛け声と共に一斉に走り出す。放送室で悪逆非道のロンリーサンタのクリスマス中止を中止させるためだった。
「あっ、そういえばさっきの人形ももしかしたらまた動き出すかもしれないし、夢悠君縄使う?」
 柚が手に持っている縄を夢悠に渡そうとするが、夢悠はこう言った。
「ううん、その縄は大物に取っておこうよ。でっかいサンタ人形もでるかもしれないし。小中サイズはこの毛糸で平気だよ」
「そして捕獲したサンタ人形はこのダンボールの中にね。雅羅ちゃんが危なくならないように厳重に縛ってね!」
「そこまでしたら縛り痕が付きそうだよ」
 雅羅を思いやる瑠兎子にサンタ人形を思いやる三月。そんな話をしながらも捕獲隊は足を進める。しかし不意に北都が喋りだす。
「妙だね」
「何がだよ? 別に今のところ何にも起きてないぜ?」
「それが妙なのだ。足止めをするのが理由ならわんさかサンタ人形が来てもおかしくないだろう?」
「確かに。でも来ない、一体どういうことかしら」
 足止めをするならばちまちまするのではなく大挙させてやったほうが効果的だ。しかし大挙どころか一体すら出てこない。どこかで待ち受けているのかもしれない。
 雅羅達は一抹の不安を胸に秘めながらも放送室へ向かった。