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幸運の守護札を見つけ出せ

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幸運の守護札を見つけ出せ
幸運の守護札を見つけ出せ 幸運の守護札を見つけ出せ

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 ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のために守護札を探していた。
御神楽夫婦に幸せになってくれればなぁと思い、守護札を取ってきてあげようとしたのだ。
 いたる所に隠されていると言われ、神社の門前にある茂みの中なら外からは見えにくいし、引っかかっていそうな気がしたのだ。比較的小さいノーンは潜り込みやすい。
「あっこれだな! お守りお守り?!」
「ひゃっ」
ぐわしっ
「わわわわっっ!! 食べないで〜〜」
 何者かの手でノーンの首根っこが掴まれた。放して放してとジタバタとすると、ぱっと放されて地面に足が付く。
「……、驚いたな。これはアタリのお守りか? 大丈夫だ。食べずに持って帰るから」
 東 朱鷺(あずま・とき)も、茂みの中を探していて、もしや守護札ではないかとノーンと間違えてつい勢いよく飛びついてしまったようだ。
「わたしはお守りじゃないもん、むしろそれを探してるの」
「もしや参加者……。すまないことをしたな」
 ぺこりと謝る朱鷺に、ノーンはいーよ、と笑って許す。
「それより、開始から30分も探してるんだけどまだ見つからないの」
 ところどころ服や髪が汚れている。ずっと下の方ばかり潜って探していた。
 小さな娘がどろだらけになって……と朱鷺は少しノーンが不憫に思えてきた。
「一緒に探した方が早くみつかりそうだな。キミは、お守りに何をかける?」
「んー、なんとなく! アタリがあればラッキーだしハズレかどうかそわそわするし。良いのがあったら、おにーちゃんたちにあげるんだ。えっと幸せになりますようにって、なんて言うんだっけ」
 ノーンはにこにこと答えた。ただゲームを楽しんでいるだけなのか、二人に手渡すのが楽しみで仕方がないのか、どちらともなのか苦になっていない様子は、やっきになっていた朱鷺には羨ましいものだった。
「家内安全……とか」
「そっか。朱鷺ちゃんは?」
 無邪気に問うノーンに、笑みを浮かべながら返す。
「……、そうだな。私も幸せになりたいと思ったから」

 ノーンが花の匂いにつられて花壇の方へ行くと、色とりどりの花の中に守護札が3つ、土の中に1つ見つけた。
「あった! あったよ!」
「おおっこれで今年一年幸福だな!」
 2つずつ手に取り開封する。
ノーンは【就職祈願】【厄除祈願】、
朱鷺は【良縁祈願】【厄除祈願】を引き当てた。
「……、交換する?」
「そうだな、考えよう」



「あのーお手洗いどこですか?」
「それでしたらぁ、あちらのおみくじ売り場隣になりまぁすぅ」
「あっ……ありがとう」
風森 巽(かぜもり・たつみ)は参拝客に聞かれ、必死に”巫女らしく”返答した。オカマ口調で言われた参拝客の方は、引きつった顔で去っていく。
「もう、だめじゃんタツミ。引いてるって」
ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)はぐいっと巽の袖を引っ張った。
「ヒーローと巫女! 今日の我はこの二つの務めを果たすと決めたんだ」
「うん、でも不審者にしかならないからね!」
 ぐさっ
 笑顔で図星の言葉を突き刺すティア。巽はもちろん男物の巫女服……と思いきや大きめの女物巫女服着用をしているようだ。
どうも可愛らしい女の子しか見た事を無い物で、そのイメージのまま頑張ろうと意気込んでいる。
 戦隊番組のサポーターキャラで見たこともあったし、どうにか似せようとしたのだ。
「まぁ、でもボクが面白いからいいけど」
「……俺で楽しんでないか?」
 じろっとティアを見る巽。ティアは巫女服が凄く似合ってるし、ずるいなと思ってしまう。けれど、ここの応募の際にヒーロー業の出費に耐え兼ね「稼がなきゃなぁ」とため息を吐いた傍ら、「じゃあボクも加勢する」と軽い乗りではあるが、一緒に参加してくれることには感謝している。
「ホンモノ巫女先輩が教えてしんぜよう!」
 とは言え、普通に接すればいいんだよ、というティアに習い、巽はそれを真似していく。たどたどしかったけど、参拝客の子供が「仮面カッコイイ」と言い通り過ぎて行き、なんだか嬉しいものだ。
「なかなか楽しいものだな。ティアもいつもこんな感じのことをしているとは」
「でしょ? あ、お守りはこっちで隣は熊手の列だよー! そしてこれはオマケね」
 オマケと言いながらティアが客に渡したのは仮面ツァンダーグッズである。
「あああああっ」
「今のお客さんいっぱい買ってくれたんだよ、家族用とかで……。それにもしものために売れるかなって、稼ぎたいんでしょ?」
 巽に内緒でティアは仮面ツァンダーグッズを持ち出していたのだ。さっきの言い分は取り消してやる! と巽は思った。大事なコレクションが減ってしまうのは寂しい……が、それにつられて来る客も結構来て、嬉しいやら悲しいやら。
「(あれボクが作ったレプリカなんだよねー、さすがにツァンダーグッズ減ったら泣きそうだもん)」
 というのはお祭り終了後に言ってあげようと思った。



「おみくじこちらでーす。隣の大きな木に結んでくださいねー」
 ルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)はおみくじ売り場で声を張り上げる。年始早々のおみくじを引き直そうとしていたりする人も集まってきているようで、少々混雑していた。
「クナイー、守護札の前におみくじやってこうよ」
 清泉 北都(いずみ・ほくと)クナイ・アヤシ(くない・あやし)に向かって手招きする。守護札がみつかるかどうか、ちょっとこれで占ってみようという気らしい。
「はいはい。でも1度だけですよ」
 引いてみると、北都中吉、クナイ小吉。少々微妙である。
 もう一回やりたいのか、北都は再びおみくじ売り場にかけよった。
「ね、守護札の有りかとか知ってそうだけど」
 と、思いきや、列には並ばずルーシェリアに話しかけた。
「そうですねー。でも隠された後に来たのでわからないんですよね」
「可愛い巫女さんもう一声!」
「じゃあヒントだけ。こっちの方あたりを探してみてください」
 そうルーシェリアは言いながら、少々上の方を指さした。
「助かるよ。行ってみる」

 クナイの元へかけよると、少しむすっとした表情を浮かべていたので、一体どうしたのかと問う。
「巫女さんに媚びてませんでした?」
「まさか。守護札情報ゲットしてきたんだ」
「……、ならいいですが」
「えっとね、こっちの方だって聞いたんだけど……」
 ヒント通りの方向へ歩み進めて行くと、大きめの木があった。もしやこの木の枝に引っ掛かっているとでも言うのだろうか。
「取るぞー、健康祈願!」
 そう言い、さっそく北都は木によじ登る。気を付けて、とクナイは禁猟区を発動させた。その安心もあったのか、細い枝先に引っかかっていた守護札を見つけた。
 取るより落とした方が早いと判断した北都は、ゆさゆさと木を揺らした。北都の方が落ちやしないかとクナイは心配したが、「とうっ」と掛け声で木からなんなく飛び降りた。
 なんだろうねー、と覗き込みながら守護札を開封すると、

ボンっ

と、白い煙に包まれて、息苦しくなった。