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リアクション
■プロローグ
「ふふふ、完璧だ」
「ほ、ほんとに大丈夫なんすかね?」
動物園の管理室。
園内の隅々までが監視カメラによってモニターされているこの部屋でほくそ笑む男と、落ち着きのない男の姿があった。
「客として動物園に忍び込み、1匹ずつ我らが『魔獣使い』により配下と化し、ついにこの日を迎えたのだ!」
二人の男の後ろ、管理室の隅には兎やリスといった小動物と戯れる男が一人。
彼が例の『魔獣使い』なのだろう。
「そう、我らは動物達を人々の魔の手から解放するのだ!」
ぐっ、と拳を握り、突き上げる。
落ち着きのない男も釣られて拳を突き上げたが、魔獣使いの男は相変わらず小動物と戯れたままだ。
うるさい男が理想を語る横で、落ち着きのない男が異変に気が付き、モニターに駆け寄った。
彼はそれを理解するなり、すぐにうるさい男に駆け寄り、耳元で叫ぶ。
「り、リーダー! これを!」
「なんだ?」
先ほどから熱論していたリーダーと呼ばれた男がモニターを覗き込む。
すると、そこには動物園内に侵入し、動物達を無力化する者達の姿が映っていた。
「く、徹底抗戦だ! これは我らが解放の為の聖戦なのだ!」
男が雄たけびをあげるが、その声は管理室の中で響くのみだった。
「ん、邪魔はされたくないしね」
ふと、異常に気が付いた魔獣使いであろう男は戯れていた小動物に何か指示を出す。
すると、彼らは散り散りに散って行った。
「彼らを追い出すように指示を出したよ」
「おお、流石我らが『魔獣使い』だな!」
「おや、見たことないうさぎさんにねこさんだなぁ!」
魔獣使いの男は管理室に紛れ込んでいた人に動物の耳の生えた不思議な物体に気を取られ、ふらふらと寄って行った。
リーダーの男は気にした様子はなく、モニターを食い入る見つめながら叫んだ。
「ふふふ、覚悟するがいい侵入者共め!」
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