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生贄の遺跡を攻略せよ!

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生贄の遺跡を攻略せよ!

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5・遺跡内部を進む

 先行して進むローグのは、トラップの解除に必死になっていた。
 最初の分岐で現われたトラップを解除することが出来ないのだ。
 かなり広い広場になっているこの場所では、壁面に描かれている模様どおりに足元の石を踏むと扉が開くという仕掛けはわかっている。
 しかし、その扉はすぐに閉じてしまう。
 ラルフに石の上にいてもらって、光と勇だけ移動したときも駄目だった。
 誰かが動くと扉は閉じてしまう。

 そこに、調査団一行が追いついてきた。
「ちょっと危ない」
 先頭を行く、サトゥルヌスは感じでいるが、調査隊の一行は次から次へと進み広場に集まる形になっている。
 列の中ほどまでが広間に入ってきたとき、突然、足元の石がぐらぐらと崩れだした。
「重さのトリップだ」
 ある重さになると崩れる仕掛けらしい。

 シュルーシュルシル・・・
 ッグワェ、ッグワェ、ッグワェ・・・

 何かが這うような音と、えずくような気味の悪い音がどこからか聞こえている。
 一同が落ちた扉のない地下室の片隅に、赤く光る眼。
 招待を見極めようと、おのおのが明かりを用意したとき、
 ファニーが前に出る。
「よ〜し!戦うぞぉ!」
 光条兵器を構える。
 形状はファニーくらいの大きさのある、夜色と紅色の大鎌「シュテントヒェン」だ。
 光条兵器の光で、赤い目の正体が明らかになる。
 数メートルはあろうかと思われる巨大なジャイアント・センティピート(大ムカデ)だ。
「うっ!ちょっと怖いけど!」
 ファニーの後方ではフィールがメンスを構えている。
「私も・・・・戦います・・・」
 ファニーが剣を振り落とした。
 センティピートが動き、尾が切断される。
 もがき苦しむセンティピート。

「麻痺毒をもっている。気をつけるのじゃ」
 こんなところまでも分厚い本を持ち込んでいるエリス・カイパーベルト(えりす・かいぱーべると)も加勢する。
「わしだって戦場で育ったんじゃ。ムカデなど怖くはないぞ。どうじゃ」
 華奢な美少女はエンシャントワンドで火術を起こす。

 永久も別の少し小型なジャイアント・センティピートと対峙している。
「思ったよりたいしたこと無いわねー、よーし」
 突然、センティピートが向きを変えた。
「うわわっ!」
 尻尾が当たり、吹き飛ばされ、思わずしりもちをつく。
 センティピートが永久に向かって、シュルーシュルゆっくり進んでくる。
「え、ちょっとこれは流石に受け止められ無い……ってぎゃー!?」
 センティピートの牙が永久を捉えようとしたとき、みつよが、

 ゴン!

 ホーリーメイスで殴りかかる。
「逃げよ!これは無理だよ」
 みつよが永久をひっかついで逃げ出す。

 そのとき、
「あったぞ!」
 壁を探っていたローグ速人が抜け出す方法を見つけたらしい。
 部屋の四方から、石の階段がギーと音を立ててゆっくり降りてくる。
「私が残る。イリーナ、逃げてください」
 が人々を誘導する。
「あなた方には大切な指名がある。ここは私たちに!」
 シリウスに語る黎、
「大切な人を差し出す方は階段に!お願いします」
 大きく頷いてシリウスが叫ぶ。
 シリウスとルミーナもその護衛を買ってでたものたちと一緒に階段に上がる。
 階段は一定の人数が乗ると、動く仕組みらしい。それぞれを載せて、それぞれの道につれてゆく。



「えっ?こんだけ?」
 ファニーが悲鳴に近い声を上げる
 フィール、エリスのほかに、残っているのは和人サトゥルヌス・ルーンティア(さとぅぬるす・るーんてぃあ)アルカナ・ディアディール(あるかな・でぃあでぃーる)、それに一番後方で守りを固めていただ。

「うむ、生贄になりたいものがおおいのじゃな」
「大切なものが失われれても、手に入れなければならない物など、……あるのだろうか」
 黎が答える。
「エリスさん・・・黎さん・・・そんな冷静に・・・言っている場合じゃ・・・」
 二匹のジャイアント・センティピートが5人を取り囲んでいる。尾を切断されたセンティピートは、殺気立って口から毒を吐き出している。
 和人が諦めたように呟く。
「あ〜俺、罠の解除を考えてきたんだぜ、まさか戦うことになるとは思わなかったぜ」
「大丈夫だ、私が護る」
 黎が皆を励ます。
 サトゥルヌスが呟く。
「あの階段のほかにも道がある。そんな気がするんだ」


 急に頭上から声が聞こえてくる。正義の声だ。
「スタートアップ!パラミタ刑事シャンバラン!!」と言って、お面を被り変身ポーズを決めてモンスターの前に飛び降りてきた。
 まるで戦隊ものヒーローかのようなポーズをとり、
「お前らもプレシャスを狙っているのか!そうはさせんぞ!シャンバランダイナミィィィック!!!!悪は滅びろ!!」
 ジャイアント・センティピートに向かって叫んでいる。
「よし、どう戦う?」

 正義の言葉に、アルカナが答える。
「大きくても虫だよ。焼いてしまおうぜ」
 アルカナが火術を大型のジャイアント・センティピートに浴びせる。
 炎に包まれ、気炎をはくセンティピート。
 正義はスキルに爆炎波がある。
 和人は火術が使える。
 黎はファイアプロテクトを使って、火が仲間に及ばないように保護するため、祈りをささげる。
 アルカナ、正義と和人、エリスは、いっせいに火をジャイアント・センティピートに放つ。

 しばらくして目の前には黒焦げのセンティピートがあった。
 フィールとエリスは、飛び降りた的にできた正義の怪我をヒールで治しながら、
「ここから出られるのかなぁ」
 ため息をついている。

 棒で床や壁、天井を叩いていた和人が、おかしな場所を見つける。手にしたランタンを近づけると光が屈折している。
「ここに何かあるぞ」
 はやり出口を探っていたサトゥルヌスが和人を制止する。
「少し離れたほうがいいよ」
 距離を取り、リターニングダガーを投げて罠の有無を確かめるサトゥルヌス。
 突然、地面が割れる。
 さきほど和人が立っていた場所だ。
「罠かな」
 サトゥルヌスの言葉に、和人が恐る恐る覗き込む。
「階段だぜ、やった出られる!」