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リアクション
第6章 屋台の人泣かせるか否か・・・商品を射的で打ち落とせ!
「あっけおめーっ!」
牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)は全速力でイリーナ・セルベリア(いりーな・せるべりあ)に駆け寄り抱きつく。
「しんねんあけましておめでとうございます」
用意してきたメモリープロジェクターにシーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が動画を録画する。
除夜の鐘が鳴り終わり、約束していた友達同士で待ち合わせしていた。
「あけましておめでとー。今年も楽しく遊ぼうねっ」
初詣にやってきたクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)が元気に新年の挨拶をする。
エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)は女子たちに赤い薔薇を1輪差し出す。
「ダリル。再開できて嬉しいよ。そんなに嫌がらずに。また仲良くしよう」
メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)に青い薔薇を一輪を渡されるが拒否した。
「くすくす。おや、そんなに引きつった顔をしなくてもいいじゃないか」
彼の封印前を知っている旧知の仲の彼女がクスクスと笑う。
「まったく、そんなにそっけなくしなくったていいのにさ」
拒否された可哀想な薔薇を手元に戻す。
「あけましておめでとう、今年もよろしく」
ニコッと笑って新年の挨拶をした。
「ごめーん、遅くなったー!」
彼と日の出を見てきたルカルカは、イリーナたちと合流して初詣の寺へ向かうと全力で駆ける。
「お待たせー」
「やっと来たか」
逸れないように入り口で待っていたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は疲れたようにため息をつく。
「まぁ、こんな混んでいる中で合流なんて無理だしな」
カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)がお菓子を入れる袋を抱えて柱に寄りかかっていた。
「早く行くぞ、売り切れになるもんもありそうだし」
待ちきれない淵は先に歩き出してしまう。
「むぎゅぅううっ、混んでありますよー!」
身長120cmのトゥルペ・ロット(とぅるぺ・ろっと)は初詣に来た客たちに潰されそうになる。
「怪我したら危ないからな、乗せてやろう」
「わーいわーい、ありがとうであります。高いであります。行け行けカルキ号であります」
「先におみくじやお参りを済ませてしまおう」
これからまだお参りにやってくる人が増えることを想定し、屋台に行く前にお参りをした。
「そこのお嬢さん方、今日も綺麗だな」
おみくじ売り場に行くと、朝霧 垂(あさぎり・しづり)が巫女のバイトをしていた。
ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)も一緒におみくじを渡している。
人と話す機会のない夜霧 朔(よぎり・さく)は、無理やり連れてこられてアタフタしている。
「新年明けましておめでとう、今年もよろしくね!」
朔にフェリックス・ステファンスカ(ふぇりっくす・すてふぁんすか)が声をかけた。
「えぇえ!?あ・・・はい・・・よろしくお願いします・・・」
「忙しい時に声かけちゃったかな?」
「い・・・いぃいぇそんな・・・えっと・・・・・・ぁう」
アタフタしている様子を見て可愛らしいと思って垂がクスッと笑ってしまう。
「朝霧、第四師団の資金不足を補うために、正月までバイトを・・・・・・」
イリーナは頬に一筋の涙を流し、ぽんぽんっと垂の肩を叩く。
「大丈夫、それだけ頑張れば、朝霧の想いは先生に通じるから」
熱く語りながら誤解してしまう。
「よくわからないが・・・おみくじはどうするんだ?」
「引かせてもらう」
「どれでもどうぞ」
ライゼにくじの入った箱を渡され、1つ取ると中吉が出た。
「まずまずだな。そうだ、お守りとかないか」
「あるぞ、どれにする?」
「護身のお守りを2つくれ」
「2つもどうするんだ?」
「まぁこの先何があるか分からないから、一応な・・・」
にやっとする垂に、勘違いされないように言う。
「ルカルカも引いてみようかな」
「いいの出るかな?」
箱をライゼに渡されて引いてみた。
「あっ、中吉だ!よかった♪」
「それじゃあ俺も・・・」
「はい〜」
「ちょっと微妙だな」
ルカルカとイリーナが中吉にだったの対して、末吉を引いたエースは苦笑する。
「私は吉でした」
「我輩とシーマ殿は中吉じゃのう」
アルコリアの方は吉で、ランゴバルト・レーム(らんごばると・れーむ)とシーマは中吉だった。
「何がでるかな・・・おみくじ・・・」
如月 日奈々(きさらぎ・ひなな)はおみくじを引き、何が出たか見てみると顔を青ざめさせた。
「・・・超ウルトラ最大凶・・・・・・ぅう・・・しくしく・・・・・・」
「ありゃりゃっ、助言があるから見てごらん」
「うん・・・・・・大切に・・・するよ」
ライゼに言われ見てみると、仲間を大切にすることで運気がアップと書かれている。
「どうお参りしたらいい?」
お参りの仕方が分からないイリーナは、日本人のルカルカに聞く。
「まずこの綱を掴んで、呼び鈴を鳴らすの。それからお賽銭を入れるのよ」
「なるほどな」
呼び鈴を鳴らしてお賽銭を入れて丁寧にお辞儀をしてから手をパンパンッと叩く。
「教導団はどうしても戦争が多くなるからな。そばにいるならば必ず守るけれど、別々に戦いに行ったときのために・・・・・・」
イリーナは目を閉じてぎゅっとお守りを握り締めて祈る。
「何をお参りでお願いしたんですか〜?」
「シャンバラの建国だね、今年は女王候補とか出てきてるし、シャンバラが建国できそうだなーと思ってるよぉ」
何をお願いしたかアルコリアに聞かれ、フェリックスはお願いしたことを教えた。
「射的があるな」
イリーナは射的の屋台を見つけてやりたそうに見る。
「ねぇ勝負しない?誰が一番多く落とせるか」
「いいですね、やりましょう!」
ルカルカに誘われてアルコリアもチャレンジすることにした。
「銃だからといって気にするな。武芸全般、俺とてそれなりの自負はあるのだ」
お菓子を狙おうと淵はコルクを詰めた銃で商品を撃つ。
「ドロップか」
カルキノスが持っている袋に景品を入れた。
「こういうのスキなのよねーっ」
振袖晴れ着に襷をかけて射線軸の歪みを数発で目測する。
大物を狙おうとルカルカは大きなネコのぬいぐるみに銃口を向けてトリガーを引く。
「あぁ〜残念」
店主に笑われ、彼女は一瞬だけムッとした。
ドラゴンアーツのパワーなどは射的に効かなかった。
銃のプロでも射的のプロ並にやるのはかなり難しい。
「今度こそ!よし、倒したわ!」
「ちゃんと台から落とさないといけませんよ、ただ倒れただけじゃぁ・・・」
やっと倒したぬぐるみを元の位置に直され、ルカルカはしょんぼりとする。
「んふふー、いきますよー」
コルクは確り詰めて横に逸れないように台へ片腕置き、銃を支え片腕で撃つ。
シャープシューターの要領でやろうとしたが、しゅぽんっと銃口からコルクが抜けただけだった。
「しょうがないですね、じゃあ狙いやすいヤツを・・・」
ルカルカが大物に気をとられている隙に、落としやすい景品を狙う。
「イリーナ!あの120cmのぬいぐる欲しいであります!」
「あぁ、最後の方に狙おう。勝つためにはまず他のを落とさないとな」
落としやすいのから順番に狙う。
「まだそれくらいなのか」
早くもイリーナはチョコの箱を20個落としていた。
このままだとお菓子を5個しか落としていないアルコリアがブービーになってしまう。
「くぅぅうっ!負けませんよっ」
可愛い人の悔しがる顔とかムッとする顔見たかったアルコリアは、逆に自分が悔しそうな顔をする。
「一回、ぐらいは・・・やっても・・・いいかなぁ」
楽しんでいる様子を見て日奈々も射的をやってみた。
「俺もやってみるか」
射的に燃えるルカルカに、エースもチャレンジしてみる。
「結構難しいな」
数発撃ってみたが、まったく当たらなかった。
「おじさんに当たったってことは、おじさんをお持ち帰りしてもいいのかな?」
射的の銃を渡されたエースが撃つと店主に当ててしまう。
「残念ですけど、台の上にいるわけじゃないんで」
40代のダンディーな店主のおやじに苦笑される。
「やっぱり・・・駄目だったね」
コルクが標的を掠める。
「よしクマラ、後は任せた。好成績を出したら、明日のおやつは期待していいぞ!!」
「ふっちー、オイラ負けないよっ!」
クマラは見た年齢が一緒の彼に負けないように真剣に狙う。
あさっての方向ばかり飛んでいってまったく当たらなかった。
「おじさんに当たったってことは、おじさんをお持ち帰りしてもいいのかな?」
射的の銃を渡されたクマラが撃つと店主に当ててしまう。
「あの猫のヤツ、可愛いな・・・」
シーマは落としやすい小さなネコのぬぐるみを狙い落とす。
「でかい図体で場所を占領してしまってすまぬのう」
狭くなかった射的台が、ランゴバルトが入ってきたことで狭くなってしまう。
「やっぱりしゃがまないと当たらないのう」
低く屈んでお菓子の箱を打ち落とす。
本気で参加したメンバーの結果は、成功法で狙った淵が30個、イリーナは25個も景品を撃ち落とした。
シーマが16個でランゴバルトは11個、ブービーのアルコリアは10個、ビリのルカルカは1個の結果に終わった。
むきになったせいでお金を使いすぎて、ダリルに止められてしまったからだ。
「ぅう・・・このフワフワの三毛ネコちゃんのぬいぐるみ1つだけ・・・」
大物をとった彼女だったが、1つしか落とせなくて負けてしまい、悔しそうにぬいぐるみに顔を押し付けて埋もれさせる。
「ありがとうであります!」
イリーナにとってもらった120cmの白いうさぎのぬいぐるみに抱きつく。
かなり射的代につぎこんだルカルカのおかげで、品薄になった射的の店は大儲かりした。
「ねぇ、アレ買ってー」
屋台のリンゴ飴や綿菓子を見てクマラはエースに買ってーっとねだる。
「これも美味しそう!」
じゃがバターの香りに釣られ、欲しそうに彼の方へ振り返り、“買って!”という目をしてキラキラと瞳を輝かせた。
「クマラ君とは・・・一緒に・・・お菓子を・・・食べたいなぁ・・・」
駄目押しでせがむように日奈々がエースを見上げて言う。
「しょうがないなー」
「わぁい!」
じゃがバターとリンゴ飴を買ってもらったクマラは大喜びする。
「一緒に食べようね」
あつあつのじゃがバターを日奈々と分け合って食べた。
「ほくほくで・・・美味しい・・・」
「むぐむぐ・・・・・・」
「リンゴ飴・・・甘いね」
甘いリンゴ飴を食べて日奈々はニコッと笑う。
「人形焼は見かけるんだけどベビーカステラが見当たらないな。あ、結構並んでいるな」
数十人もの客が屋台の前に並んでいた。
「んー・・・まだかな」
待つこと15分、ようやく買えた。
クマラと夏侯淵そして自分の分の、親指サイズの小さいカステラを買う。
一方、ダリルとエレーナ・アシュケナージ(えれーな・あしゅけなーじ)は別の屋台を見ていた。
「わあ、素敵ですわあ」
「万華鏡か。そうだな美しい。まるで、花のように」
見ているそれではく、エレーナの美しさを暗に仄めかしている。
「欲しいですわねえ。でも去年に部屋の改装をしてお金がないから、出費は控えないと」
「―・・・買ってやろうか?」
「そんな悪いですわ」
「いいさ、それくらい・・・」
エレーナはダリルに万華鏡を買ってもらい、夢中で覗き込んだ。
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