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謎の古代遺跡と封印されしもの(第1回/全3回)

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謎の古代遺跡と封印されしもの(第1回/全3回)

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間章 ――不吉な影――

 フリードリッヒ・常磐(ふりーどりっひ・ときわ)は一人遺跡の中を歩いていた。図書館の中の本に読めるものはなかったため、遺跡にいるかもしれない死霊の類を探していたのである。
(まさか解読出来ないなんてな。古代の魔法なら、習得したかったのに……)
 だが、分からないものは諦めるしかない。だからこそ、図書館の外側へ出て、通路を歩いていたのである。
 しかし、マッピングをしていないため、道を確認する事が出来ない。
(ここはどこだろう? ま、歩いていればどこかには行けるか)
 慌てることもなく、先へと進んでいく。すると、通路の先の暗がりに人影のようなものが見えた。
(調査員の誰かか、それとも邪神か?)
 現れたのは道化師の格好をした人物だった。ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)だ。
「ハッ、ダメだダメだ何も面白いもんなんてねーや」
 その言葉を聞いて相手が邪神ではなく、遺跡を調べている人物だと悟った。姿形に似合わず、調査団の一員ではあるようだ。
「なあ、面白いもんここまでで見つかったか? 罠とか隠し扉とかよォ?」
「いや、全然だ。僕が知りたいくらいさ」
 この先には何もないのかと、少し落胆する。フリードリッヒ。しかし、目の前の人物の真意は掴めない。嘘をついている可能性もあるのだ。
「そうか、ありがとよォ」
 何も知らないと分かるや否や、さっさと去っていってしまった。
 
 さらに先へ進んでいく。すると床に腰を下ろしてまったりと休んでいる人がいた。
「……何してるんだ?」
 とりあえず尋ねてみる。
「ひゃっは〜、ティータイム中ですよ。ご一緒に如何ですか?」
 それは、神楽月 九十九とパートナーのモヒカンが特徴的なゆる族、神楽月 マタタビ(かぐらづき・またたび)であった。
「いや、先に行くからいいや。この先に何かあった?」
 逆方向から来た可能性もあるので、聞いてみる。
「まだ行ってないから分かりませんよ。まあ、せっかくなんで一口どうぞ」
 紅茶を差しだされたので、取りあえず受け取ってくいっと一口で飲み干す。
「そうか……ありがとう」
 ここでも情報が得られなかったが、めげることなく先へ先へと進んでいく。

 (調査員って変わってる人も多いんだな)
 などと思いつつ、通路沿いの小部屋を調べながら奥を目指していく。何の気なしに歩いているため、そのフロアを一周してしまったかのような感覚に囚われる。
 小部屋の一つを調べている時、中から通路を一瞥すると、うっすらと白い影が通っていくのが見えた。
(もしかして……幽霊?)
 彼はその影を追いかけていく。すると、向かい側の通路沿いの別の部屋に入っていったようだった。
 暗いからよくは分からないが、白い服の小柄の女性のようだ。扉を開け、話しかけようとする。
「あなたは邪神ですか、幽霊ですか?」
 背後から声をかけ、その人物に触れようとした。
 その瞬間、
「っ!!」
 振り返りざまに攻撃を仕掛けられた。
「うー……」
 その人物はフリードリッヒを睨みつけている。
「あれ、もしかして怒ってる?」
 攻撃された割に、彼は動じていなかった。冷静に相手を見て聞き返す。しかし反応はなく、しきりに力押しで攻めてくる。
 その背後を見ると、何やら大きい影があるのが分かった。暗くて分からないが、人ではなさそうだ。
(あんまり友好的じゃないし、後ろの影は気になるけど……深追いはやめとこう)
 決断するなり、通路に出て扉を勢いよく閉めた。それを開けてまで攻撃してくる気配はない。
(なんだったんだろう、今のは?)
 正体が気になったが、この場はおいといて再び向き直って通路を歩いていった。