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【十二の星の華】黒の月姫(第1回/全3回)

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【十二の星の華】黒の月姫(第1回/全3回)

リアクション

 陽太の通報により
「そこまでじゃ、テロリストー!」
 セシリアが駆け出すと、いきなりテロリストと正面から鉢合わせになってしまう。セシリアはサンダーブラストで会館を巻き込まないように攻撃し、皆が駆けつけられるよう派手に撃ち続けた。
 ファルチェは加速ブースターで一気に近づき攻撃するが、テロリストの剣によって、なぎ払われてしまう。
 同時に蒼空学園特別会館の辺りで張り込みや警備員達に聞き込みをしたり、見取り図を確認していた御風 黎次(みかぜ・れいじ)ノエル・ミゼルドリット(のえる・みぜるどりっと)ルクス・アルトライン(るくす・あるとらいん)アニエス・バーゼンリリー(あにえす・ばーぜんりりー)たちが駆けつけた。
「全力でいかせてもらう!」
 黎次はそう叫ぶと、漆黒の刃『月影』を抜き、テロリストにかかっていく。
「テロリストにわらわの力、とくと見せてやるかのう!」
ルクスが大鎌『ソルグリッター』を振りかざすと、テロリストは剣を抜き、大鎌をなぎ払い、黎次の『月影』とも刃をかち合わせると、火花が飛ぶ。
「アニーちゃん! 後衛から黎次とルクスを守るわよ」
 ノエルが叫ぶと、
「了解! 『天才魔法少女』のアタシの攻撃魔法とノエルの援護魔法でみんなを守るよ!」
 アニエスが答える。
 黎次とルクスと斬り結んでいたテロリストだったが、業を煮やしたのか、手榴弾を投げつけ、爆破させる。
「くそ!」
 ノエルとアニエスの魔法で守られたものの、爆煙でテロリストの姿を見失ってしまう。


 蒼空学園特別会館を警備していた樹月 刀真(きづき・とうま)は、爆発が起こった方へ走っていく。
パートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)はむくれて両手を振り上げながら、刀真の後を追う。
「刀真…私も赫夜達の所へ行きたかった、姉妹だった! 可愛かった」
「はいはい、コレが片付いたら話してみましょうね」
「周とかにゃん丸とか、美少女姉妹だ〜とか言って喜んでた! 私も一緒に遊びたい!」
「何訳の分からない事を…周やにゃん丸らしいですけどね」
 次の瞬間、刀真たちは爆煙から抜け出してきたテロリストの前に立ちはだかった。
 刀真は向かい合うと剣士として一礼をするが、テロリストからの返礼はなかった。
「…刀真、それ無謀」
「ん〜まあ、普通、テロリストならそうしますよね」
「はい、剣」
月夜が剣を渡すと、
「ここを壊されると授業に影響が出るんで、阻止させてもらいます」
と、刀真はテロリストの攻撃をスウェーで回避し、隙を見て乱撃ソニックブレードを2連続で叩き込むが、テロリストはそれを素早い動きでかわす。
「おっと、こっちにも敵はいるぜ!」
パラ実のラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)の拳が唸り、テロリスト目掛けて振り下ろされるが、手甲を仕込んでいるのか、テロリストはラルクの拳を片腕で受け止めてしまう。ラルクもテロリストの噂を聞き、独自に捜査をし、ここへやってきたのだ。
「なんて奴だ…」
ラルクは実際にテロリストに打ち込んだ時、その腕の華奢さを拳で実感した。
「こいつは小男か、それとも小娘か…」
透乃が上空から小型飛行艇でテロリストに突撃しようとし、泰宏がそのフォローに回ろうとした瞬間だった。
特別会館のあちこちに既に仕掛けられていたのか、次々と爆破が起こり、その衝撃風で透乃たちの小型艇は安定を崩し、吹き飛ばされてしまう。
他の生徒たちも、爆風から自分の身を守るのに必死だった。
爆破された会館の瓦礫が崩れ、大量の埃が舞い上がるうち、テロリストは姿を消してしまっていた。
「ちくしょう…」
ラルクが埃にまみれ、咳をしながら、つぶやく。

「取り逃がしましたか…でも、画像は手に入れました」
陽太はぎりぎり、テロリストの姿を画像に収めることに成功していたのだ。


☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆
 
 
-----一方、ツァンダ美術館。


 秋月 葵(あきづき・あおい)エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)は、警備しながら美術館を回っていた。
「なんでテロ行為なんて、するのかなぁ? あたしには理解できないけど…」
「葵ちゃん、美術品ばっかり見てないで、ちゃんと見回りしないとだめですよ…」


「特別会館が襲われている!?」
 蒼空学園特別会館からの連絡を受け、美術館テロの警戒に当たっていた生徒が声を上げると、生徒達に緊張が走った。
「…狙いはあっちだったのか…」
 しかし、その次の瞬間だった。
 美術館の裏手側から爆破音が聞こえ、火の手が上がる。
「こちらもなのか!」
「同時テロだ!」


蒼空学園特別会館とツァンダ美術館は1キロほど離れている。テロリストが車などの手段を使っても、この時間差での攻撃は無理だった。