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新春ペットレース

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新春ペットレース

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11

 
 
『こちらゴール地点です。
 今、コットン選手ラビー選手がゴールしました。
 続いてミィ選手、村雨丸選手、シルヴァーナ選手、はやぶさ選手、ネコ軍団が次々とゴールしていきます。
 なんと、レイちゃん、謎カレーを完食しました。驚異です。
 影虎選手、それを見て、思わず怯えて遠回りで回避しました』
「ノー、根性がたりまセーン。カレーを完食してこその男の子デース」
 アーサー・レイスが挑発するが、影虎はそれには乗らなかった。
『続くヨルムー選手も、猛スピードでトランポリンを避けています。さすがに、蛇にトランポリンは無理のようです。それにしても、一時期は最下位かと思われていましたが、ここにきてすばらしい追い上げです。もっとも、さっき公園内に逃げ込んでいったコタツをかかえた三人組を追いかけていたせいかもしれませんが。
 その後ろでは、むるん選手と小雪シスターズがならんで走っています。
 それに続くは、パラミタペンギンズと、ローゼン選手です』
 
    ★    ★    ★
 
『こちら、安定の最終グループだよ。
 コトくんと垂うさくんが僅差で競り合い、マカロンくんとゲリくんフレキくんが横一直線で最下位争いの真っ最中だよ』
 
    ★    ★    ★
 
「お疲れ様ー。二人共頑張ったよね」
 開放されたカレン・クレスティアが、コットンとラビーをだきしめて労をねぎらった。
 奇しくも、二人の素顔を大画面で見られたので凄く満足している。
「これの出番は……」
 大筆をかかえたまま、ジュレール・リーヴェンディはじっと公園の大時計を見つめた。
 
    ★    ★    ★
 
「えっ、ミィちゃんがやってきたって?」
 ふよふよと漂う人魂の姿をしたレイスの報告を受けて、神和綺人がぱっと顔を輝かせた。
「よかったじゃないか。これで、ミィ共々、ライトブリンガーでぶっ飛ばされなくなったわけだ」
「いやだ、本当にアヤたちを攻撃なんかしないですって」
 ユーリ・ウィルトゥスの言葉に、クリス・ローゼンがあらためてちゃんと否定した。とはいえ、にわかに鵜呑みにはしがたいのもまた事実だ。
「とにかく、もういいのでしょうから、綺人を開放してあげましょう」
「うん、よろしく頼むよ」
 神和瀬織の言葉を受けて、神和綺人が頼んだ。
「任せてください」
「ちょっと待て、クリスはやらなくていい……うわっ!」
 神和綺人が止める間もなく、えいと縄を引き千切ろうとしたクリス・ローゼンによって、神和綺人の座っていた椅子が木っ端微塵に砕け散った。間一髪、神和綺人の指示でレイスが縄を焼き切ってくれていたからよかったものの、そうでなかったら神和綺人も椅子と運命を共にするところであった。
 
    ★    ★    ★
 
「やりましたでスノー。ワタシのシルヴァーナが、小雪さんたちに勝ちましたでスノー」
 小躍りする魔鎧リトルスノーであったのだが、小雪たちのマスターである童話スノーマンの方はそうもいかなかった。
「そんな、我が輩の小雪たちが負けたというのでござるか。しかも、まだシルヴァーナにだけ負けたのであれば、そこはミニ雪だるまと雪だるまの差と納得もするでござるが。まさか、我が輩たちの雪だるまが、雪だるま王国以外の雪だるまに負けるだなどと……」
 椅子に縛りつけられたまま、童話スノーマンががっくりとうなだれた。
 
 
    ★    ★    ★
 
「くっ、前回と比べてこの順位……、いや、それよりも何よりも、あ奴らに負けるとは、なんという屈辱……」
 やっと戻ってきた村雨丸を前にして、悠久ノカナタが着物の袖を噛んで悔しさを満面に表していた。
 そのすぐ横では、未だにシス・ブラッドフィールドと新生ゆるゆるパイレーツたちが、シュプレヒコールをあげ続けていた。
 
    ★    ★    ★
 
「お疲れ様でした」
 やっと開放されて、七尾蒼也と共にコタツに入ることができたジーナ・ユキノシタが、はやぶさをねぎらった。
「これで、みんな揃うことができたな」
「ええ」
 七尾蒼也の言葉に、ジーナ・ユキノシタがうなずく。
 二人のそばには、ダイヤと、はやぶさと、ティーカップパンダのシンシアと、毒蛇のリヨンの姿があった。
「後は、このまま表彰式を待つとしようか」
「でしたら、私、お汁粉や甘酒を持ってきましたから、みんなでいただきましょう」
 そう言うと、ジーナ・ユキノシタが、そばにおいた七輪でお餅を焼き始めた。
 新春ペットレースの名にふさわしく、二人の周りだけ、きっちりとお正月であった。
 
    ★    ★    ★
 
「なななな、なななななななななななな」
 やっと自由になった立川ミケが、立川るるに抗議した。
「にゃーにゃーにゃー」
 激闘を戦え終えたネコ軍団も、声を合わせる。
「ペットと間違われるミケがいけないんだよ」
「ななななななななななな、なななななななななななな……」
 どうやら、立川ミケは、自分が途中で抜けてしまったのがネコ軍団の敗因だと思っているらしい。もちろん、最後まで一緒に走っていたりしたら、それがばれた時点で失格である。
「はいはい。次回は頑張ってね」
 そう言って、立川るるは立川ミケの抗議を聞き流した。
 
    ★    ★    ★
 
『さあ、そろそろメンバーも少なくなってきました。選手たちの最新情報です』
 
18位コットン・ラビー
19位ミィ
20位村雨丸
   シルヴァーナ
22位はやぶさ
23位ネコ軍団
99 レイちゃん
   影虎
98 ヨルムー
96 むるん
   小雪αβγ
94 パラミタペンギンズ
90 ローゼンクライネ
82 コト
81 垂うさ
76 マカロン
   ゲリ・フレキ