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カノンを取り戻せ!

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カノンを取り戻せ!

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6
 ――一方、寺院基地に潜入した者たち。
 ローザマリアたちは囚えた魔女の案内でサーバールームにやってきていた。
「私たちが案内してほしいって『お願い』したのはイコン誤動作装置なんだけど?」
「ひい……あそこは地下にあって警戒も厳重だから近づくなんて無理です」
「じゃが、それでは意味が無いぞ?」
 グロリアーナがそう言うと、
「すべての命令はこのサーバーを経由して出ているので意味はあります」
 と魔女が述べる。
「で、この膨大な数のサーバーのどれがイコン誤動作電波の発信源なんじゃ?」
「ひぃ……さすがにそこまではわかりません」
「虱潰しにさがすしかないか……」
 さすがにこの基地の途中で警備などに配備されている兵士の数の多さを見てローザマリアも正面からやりあうのは無理だと感じていた。
「そこまでしなくてもいいかもしれませんよ?」
 それは朝斗の声だった。
「ハッキング用のウィルスと検索用のクローラーを持ってきました。これでサーバー全体をハッキングすれば、答えは簡単にでてくるはずです。
 そう、彼が前回使ったレオナルド作成のプログラムが今回も役に立ってくれるはずだった。
「それでは、データ展開。プログラム流入開始……」
 そこで発見されたカノン洗脳のプログラムは思いもかけないものであった。
 強化人間の持つ特殊な脳波を分析・検出し、外部からの洗脳電波のコントロールをするもので、洗脳の強化も簡単に可能であった。
「いけない! これは山葉校長に早く伝えないと!!」
「まて、誤動作を起こす電波の検索がまだじゃ!」
 グロリアーナのその言葉に朝斗も従う。行きはよいよい帰りは怖い。帰りも来たときと同様に敵に見つからず脱出できるとは思っていなかった。ならば歴戦の勇士であるローザマリアの手を借りるのがいいだろう。それが彼の選択だった。

 ――空母
「強化人間たちはどうして裏切ったのかな? 裏切らずにいれなかったモノが天御柱の暗部に隠されていなければいいのだけれど」
 そう独り事を言うのは天貴 彩羽(あまむち・あやは)である。だが、彼女は気づかないのか? 強化人間たちの裏切りは、教官たちの内通と裏切りの結果でしかないことを。いわば裏切りそのものが学院の暗部そのものであると。
「蒼空学園は国軍無視で空母購入で私設軍隊化。天御柱巻きこんで戦争! って学生的に許せない……」
 そのため彼女は姉の天貴 彩華(あまむち・あやか)に見張りをさせつつ空母のシステムにアクセスする。
 そしてシステムを改ざんしいつでも外部からアクセス可能なようにポートを開けておく。
 そして命令を受ければいつでも動き出すようなトロイの木馬をインストールする。
 これは彼女の高級テクノクラートとしての技術があって初めて可能になる仕事だった。たとえば姉の彩華などには不可能なことだろう。
 しかし、彼女は根本的なところで勘違いをしていた。天御柱学院としては強化人間技術とイコン技術の漏洩という大きな失態を犯している。そのために鏖殺寺院との戦闘と裏切り者の処分はなんとしても必要だったのだ。
 それでも、それが彼女の選択である。