天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

目指せ! イコプラマスター!

リアクション公開中!

目指せ! イコプラマスター!

リアクション

○第三試合 シュヴァルツ・カイザー・ピングイーン−ゴッドサンダー

 後藤 山田は日照りの際、人柱となり雨乞いをした巫女の英霊である。以後、土地の守護者として祀られていたが、もはやその頃の面影はない。
 少なくとも、こうしてイコプラに熱狂している山田を見ていると、自分が契約したのは本当に英霊だったのかと疑問に思えてくる鳴神 裁である。
 ああ、ああ、サンダーの奴あんなに張りきっちゃって。ま、いつもヤラレ役だし、たまには活躍もしたいんだろう。
「よーし、がんばれやまだー☆」
「てめぇ裁! わざと言ってやがんな! 後でおぼえてやがれ!」
 裁はケラケラと笑った。

 試合開始早々、ゴッドサンダーがイコン用まじかるステッキを振るのを、シュヴァルツ・カイザー・ピングイーンは素早く避け、距離を取った。
『ピングイーン、大型ビームキャノンを二連発!』
「ヒット! ヒット!」
「まだまだあ! 二回当てれば同点だ!」
 山田はゴッドサンダーを走らせた。ピングイーンが下がるより早く、イコン用まじかるステッキを振る。
「ヒット!」
「よしっ! どうだ!!」
 フェルクレールトは冷静だった。ピングイーンを尚も下がらせ、再び大型ビームキャノンを発射した。
 一発当てたことで油断していた山田は、防御するのが精一杯だった。
『二ポイント! ピングイーン勝利!』
「くっそぉ!!」
 山田は地面に拳を叩き付けた。
「ごにゃ〜ぽ☆ 負けちゃったかあ」
 裁は観客席からひらりと飛び降りると、膝を突く山田の肩をぽんと叩いた。
「サンダー、残念だったね」
「裁……」
「ここまでよく頑張ったよ」
「すまない……」
「でも負けは負けだから、なんか罰ゲームしてもらおっか」
「……え?」
「さぁ、蒼汁を飲むんだ☆」
「鬼かっ、てめえは!!」

  ○シュヴァルツ・カイザー・ピングイーン−ゴッドサンダー×

○第四試合 ナグルファル−クェイル

『試合前に流浪のイコン仮面選手にインタビューをしたいと思う』
 ちょいちょいと手招きされ、斎賀 昌毅とカスケード・チェルノボグは放送席へ近づいた。
「何だ?」
『他の客からもツッコミが来ているんで訊くが、それ、魔鎧だよな?』
「……ち、違うっ」
『どう見ても……』
「俺は流浪のイコン仮面だ!」
『あ、逃げた。――あー、正体については不明だが、どうやらというかやはりというか、当然ながら、あれは魔鎧だろう』
「ちがーう!!」
 逃げながらも否定した。一応。

 ある意味、対称的なイコプラであった。
 クェイルは全く手をつけていないごく普通の、平均的な機体であったし、逆にナグルファルは改造に改造を重ね、イコプラというより砲台である。流浪のイコン仮面曰く「砲撃特化地域殲滅型機体」ということになる。難しいので、アリサは読み上げるのをやめた。
「弾幕は破壊力だ! 一瞬でハイにしてやるぜ!!」
 昌毅が叫ぶと同時に、ナグルファルがミサイルポッドと大型ビームキャノンを続けざまに発射した。
「何の! 避けてみせる!!」
 元々、切った張ったが得意のセレンフィリティ・シャーレットである。イコプラでの戦い方にもその特徴が出ている。クェイルは真っ直ぐ突っ込み体当たりを食らわせ、素早く離れながらアサルトライフルを撃ち、最後はナグルファルの真後ろに回って弾を避けた。
 長い長い轟音が止み、大鋸が二体の傷をチェックした。
「ナグルファル……二ヶ所。クェイル……一ヶ所。よって、クェイルの勝ち!!」
 セレアナ・ミアキスが飛び上がって喜んだ。
 観客も二人の水着姿を長く見られると喜んだ。
「やはりわしがイコプラとして出ればよかったんじゃないかのう……」
 カスケードが呟いた。
「仕方ないだろ。どう頑張ったって、おまえじゃ他のイコプラより大きすぎるし」
「それはそうじゃが……勝ちたかったろう?」
「距離をうまく取れなかったのが敗因さ。次はうまくやる!」
 決意を新たに、流浪のイコン仮面は会場を後にした。最後まで、本名は明かさないままだった。

  ×ナグルファル−クェイル○


○第五試合 ストライクイーグリット−イロドリCLQ

 敗者復活戦で三回戦に進出した天貴 彩羽は、さすが私の改造、とちょっとご満悦だった。
 コームラントベースの重武装タイプであることは、一回戦で十七夜 リオが語っているが、それだけではない。
 増設バッテリーを二つ搭載し、重装甲。操作自体はテクノパシーで操作能力を上げて、緊急時はアクセルギアで操作速度アップしている。
 技術屋として腕試しに参加したわけだが、負ければそれなりに悔しかったし、勝てば嬉しいものである。
「さあ、いくわよ、イロドリCLQ」

ボム・ブラスト!」
 イロドリCLQの着弾爆風を避け、ストライクイーグリットがビームサーベルで切りつけた。更にすかさず、空中へ飛び上がり、ガトリングガンを構えるイロドリCLQへ向け、直滑降で突撃した。
『よしやった! 今のはストライクイーグリットの必殺技! 名前はないので募集中!』
 アリサの解説にも力が入る。
「だったら、ウィークポイント・スナイプよ!」
 離れたストライクイーグリットへ向け、スナイパーライフルを三発続けて撃つ。
 しかし、ストライクイーグリットも機体を反転させ、ビームライフルで全ての弾を迎撃。
「勝利、ス――!」
 大鋸が宣言する前にアリサが叫んだ。『よくやった、翔!』
「やっぱり何かが足りない、かしらね……」
 動かなくなったイロドリCLQを取り、彩羽はため息をついた。
「次は何を試そうかしら?」

  ○ストライクイーグリット−イロドリCLQ×