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学園祭に火をつけろ!

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学園祭に火をつけろ!
学園祭に火をつけろ! 学園祭に火をつけろ!

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     ◆

「セイニィたら、いきなり任せてしまったみたいですけど大丈夫ですかしら。あの方たち……」
 心配そうに呟くティセラは、その足をスカホリデイに向けていた。
「朝様子を見に行ったときは平気そうでしたけれど………あまり宣伝などをする時間なども無かったでしょうし………」
 何処と無く足早なのは、恐らく本当に心配だから、なのだろう。と、彼女のその心配は直ぐ様意味のないものとなる。スカイホリディがあるのは家政学部の校舎、その二階の大きな講義室である。ティセラが思わず足を止めたのは、階段を上がってすぐ。なんとその階に上がる階段の踊り場付近から、長蛇の列があるのだ。その列かの教室の方向に延びていて、更にその先には見知らぬ電工掲示板。
「あら………凄い数のお客様。ですわね…」
 思わずそんな事を呟いたティセラは、少し申し訳なさそうに列の横を通りすぎてスカイホリディの中に入っていった。
「すみません、お客様。ただいま順番待ちが――って、あれ? ティセラさんじゃん」
 ティセラを出迎えたのはレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)。午後から手伝いに来ていた彼女はティセラをその場で待たせ、奥へと行く。
「ねぇねぇ皆。ティセラさんが来たんだけど、彼女はお客さんで良いのかな?」
「来てくれたんですし、それで良いと思いますけど………」
 カムイ・マギ(かむい・まぎ)は料理のチェックをしながらレキに返事を返す。
「あ、良いの良いの。奥に通して貰えるかしら。多分ティセラ、様子見に来たんだと思うから。朝も手伝ってくれたしね」
 紅茶の下拵えをしていた祥子も、今度は店番として表に出ている。彼女は紅茶を盆に乗せて、客席に出ながらレキに返事を返した。
「わかったよ。んじゃあこっちに来てもらえば良いんだね」
 レキが再びティセラの元に向かうと、彼女を促し中へと案内する。
「それにしても――凄いお客様ですわね」
「なんかねー、今占いやってるみたい。綾瀬さんのタロットと占卜大全さんで。占いの整理券がこのお店のレシートだから、結構人がね。だからほら、比較的お店の席は空いてるでしょ?」
 レキに言われてティセラがふと客席を見る。が、やはり席は空席が四組程度であり、『お店の席は空いてる』と言った程に暇そうでもない。
『どこが空いているのかしら』と、ただ首を傾げながらレキの後についていったティセラが、調理場へとやって来た。
「ほら、まだまだデザートはいるのですだわよー! そこ、盛り付けはもっと丁寧にっ!」
 ジーナが叫んでいる。
「じにゃ、こえどこにはこう、れすか」
「んー、ワタシは外がわかりませんのでミリーナ様か結和様に聞いてくださいましっ! 樹様っ! 先程からそれはまだ固まっていないと何度も――」
 コタローはミリーナの元へと走って行き、ジーナはやっぱり叫んでいる。
「みいーなおねーしゃ、このよーうると、ろこにはこべば、いいろ?」
「うっ……す、すまぬコタロー殿、私はほぼ注文が入った飲み物を用意していてわからぬのだ………」
「あい!」
 今度は客席で一生懸命下げものをしている高峰 結和(たかみね・ゆうわ)のところにダッシュのコタロー。
「あ、コタローちゃん。頑張ってますね」
「あい! ゆうわしゃん、このよーうると、どこにはこぶれすか?」
「うん? あぁ、そこに座っているお客さんのところに持っていって貰えますか?」
「あい! ありまと、れしゅ」
 走り去っていくコタローを見送る結和は、一人「コタローちゃん可愛いなぁ」と呟き、見とれていたりする。
「結和殿、如何したのだ?」
 漸く飲み物の注文が一段落したのか、下げものを受け取りに来たミリーナが心配そうに彼女の顔を覗いた。
「す、すみません! 何でもないです。ちょっとぼっとしてて……」
「疲れたのなら無理は禁物だぞ、結和殿。大丈夫なのか?」
「えぇ、大丈夫。まだまだこれからですからね!」
 にっこりと、自身を気遣ってくれたミリーナに笑顔を返して下げものを渡し、「お願いします」と言ってミリーナから空の盆を受け取る。
「おねーさーん、紅茶おかわり貰えるかなー」
「あ、はーい! ただいまお持ちしまーす。あ、ありがとうございましたー!」
 注文をされ、同時に帰ろうとしていた客を見つけた彼女がレジへと向かった。と
「俺がレジやるから、結和は今の注文やってくれないか」
 横からレジへと向かう神代 聖夜(かみしろ・せいや)は、結和の肩をぽん、と叩き、笑顔で去っていった。
「あ、はい! レジお願いしますね!」
 返事をして奥に消えていく結和と、レジ到着し、笑顔で客に礼をする聖夜。
「ありがとうございましたっ!」
「お、お兄ちゃんも元気が良いねぇ。うん、なんかこの店、他の店と違って元気良い人が多くて良いよ。なんか色々やってるみたいだし。頑張ってなー」
「ありがとうございます! また休憩の際にはお立ち寄りください! お待ちしてます」
 客を入り口まで送った彼は、何処か楽しそうにしている。
「最初は気乗りしなかったけど、なんだかやってみると案外楽しいもんだな、こういうのも…………あ、いらっしゃいませ!」
 見送ったと同時に並んでいた客を店内に通し、席を引いてメニューを渡す聖夜。既に動きが様になっている辺り、彼の先程の呟きは本心からのそれなのだろう。
「コーヒーがお二つ、紅茶がお一つですね! ありがとうございます!」
 そのまま注文を取った彼は、調理場の方へと足を運ぶとちょうど注文された紅茶をもって出てきた結和とすれ違う。
「さっきはレジ、ありがとうございました」
「おう! 皆で頑張ろうぜ! 優、コーヒーが二杯と紅茶が一杯入った。頼むぞ」