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Blutvergeltung…導が示す末路

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Blutvergeltung…導が示す末路

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第18章 AfterStory4

「アルファちゃんとオメガちゃん、お話しないね?」
「まだ時間が必要か・・・」
 しかも2人がだいぶ離れた位置に座っている姿を、クマラとエースが見る。
 互いに許しあえただろうが、恐怖というもは簡単に消えないものなのだ。
「ん〜紅茶が美味しい」
「結局、アルファさんはどこに住むアル?」
「そこが問題なんだよね」
 まさか2人きりでいきなり暮らせるはずもないよね、とレキがチムチムに言う。
「契約の話が出てるから心配はいらないんじゃないんですか?」
 レキとチムチムの会話に、ひょっこりとイナが参加する。
「そうなの?」
「独りよりも、誰かと契約したほうがよいと思いますし」
「簡単に片付くことでもないみたいだよ、イナ姉」
「どういうこと、ミナ」
「見てみなよ、そこ」
「えっ・・・」
 ミナの視線の先を見ると、唯斗と紫音が互いに一言も喋らず、長い沈黙が続いている。
 他の誰かとは話しているのだが、2人で話しているような会話は聞こえない。
「わたくし・・・決めましたわ」
 アルファはそう言い、契約者となる者の元へ歩こうとすると・・・。
 突然、唯斗が椅子から立ち上がりアルファの前へ行く。
「魂の調整のこともあるから、しばらく家にこないか?」
「唯斗さん・・・・・・でもわたくしは・・・」
「紫音、別室で3人で話したいんだが」
「ここで話すべきじゃないか?」
 彼は席を立たず、皆にも聞いてもらうべきだと言う。
「あぁ、そうだな。誤解があるようだが・・・俺が家に来ないか、と言ったのは契約の話じゃない」
 本当は契約して一緒に未来を歩いてみたかったが、アルファの言葉に誰を選んだのかきちんと分かっているつもるだし、せめて誰かとちゃんと歩けるようにはしてやりたいという気持ちだけだ。
「まぁ、あれだ。せっかく新しい魂を得たんだし、調節が必要だっていうなら少しの間、唯斗のところにいたほうがいいかもな」
 友の1人としていると告げたのだが、しばらく考えたいという結果に、紫音は正直驚きを隠しきれないが、契約者としてアルファがこの地にずっと住むために、しばらくの間彼の元に預けるしかないだろうと提案を受け入れる。
「いいのか?」
「当たり前じゃないか!アルファを大事に思っているのは俺も唯斗も同じだし。ルカルカやエースたちだってそうだろ?」
「うん、そうしたいっていうなら、ルカは何も言わないし。その道を選んだわけだからね」
「俺もルカと同じ意見だな」
 2人の魔女が離れ離れになるのは切ないが、今はそうするしかないし、契約したい人が現れてアルファがそうしたいなら、選ばせてあげるべきだとエースも頷く。
「紫音さんたちも、うちに泊まるのはどうでしょう?」
 睡蓮は突拍子もないことを言い放ち、ニコニコと笑みを浮かべる。
「それはまた・・・ずいぶんと大所帯になるわけだが」
 家の広さを考えたら、部屋わけをどうすべきかエクスがまじめに考える。
「お泊りセットをご用意しておかねばいけませんね、マスター」
「あぁ、用意しておいてくれ」
「はい、マスター」
 プラチナムはさっそく人数分を、携帯サイトで購入し手配する。
「アルファ、手を・・・」
 紫音はアルファに片手を差し出すように言い、ぎゅっと握った。
 たったそれだけのことで、契約を完了させた。
 特に特別なことはせず、魔方陣などの派手な演出もない。
 契約するために、映画で使われるような表現ものも必要ないからだ。
 アルファの契約しても、友達であることは変わりないし、唯斗たちが彼女の友達と思う気持ちも変わることはない。
 変化があるとすれば・・・。
 魔力の波動の力や、悪夢を具現化したりすることも、相手が望む夢を見せる能力なども消えてしまったことだ。
 何も持たない魔女として、正真正銘1からのスタートだ。
「よろしく、アルファ!これからいっぱい楽しい思い出を作っていこうな!もちろん、皆ともさ」
「はい、よろしくお願いしますわ」
 繋いだ手を、2人は友達として・・・しばらく握っていた。



「アルファちゃんのことは決まったけど、オメガちゃんは?」
 お菓子を頬張りながら、これからどうすべきかクマラが考える。
「そうだ、オイラがお泊りする!」
「クマラ、学校もあるんだぞ?」
「えぇ〜っ、出席カードを誰かに出してもらえば、ばれないよー」
「それはよくないから」
 膨れっ面をする少年にエースがメッと叱る。
「何日か交代で、っていうのはどう?それくらいなら、きっとばれないから♪」
「不真面目にもほどがあるぞ、ルカ!!」
「やせ我慢しちゃって、本当は一緒にいたんでしょ?」
 オメガに聞こえないように、パートナーの耳元で囁く。
「なっ!?俺は・・・っ」
「俺は・・・・・・何?」
「何でもないっ」
「では最初は、ヨウエンがいますね」
「あ、学校さぼる気満々やね、ヨウくん」
「さぁ・・・なんのことでしょうね」
 陣の言葉に涼しい顔で言う。
「いやー、陣くんなんていつもさぼりっぱなしじゃん?ボク知ってるもん、雨の日とか・・・雨の日とか・・・雨の日とか休んでることをね」
「おまっ!?でたらめなことをいうなやっ」
「お菓子くれないと罰〜♪」
 これ以上言われたくなれば例のものをいただこうと、にゅっと手を差し出す。
「よーし、くれてやるっ」
「わぁああ酷い!お菓子を手に叩きつけようとしたよね!?」
「フリや、フリ」
 さっきの仕返しというふうに、べーっと意地悪そうに舌を出した。
「なぁ北都、この屋敷でやった前のハロウィンって、こんな感じだったのか?」
「うーん・・・ちょっと、ううんだいぶ違うね。皆仮装してたっていうのもあるけど・・・、ダンスを踊っている人もいたかな」
 首を傾げる昶に、オメガと初めてここで出会った時のことを思い出しながら言う。
「よくわからないけど、俺はこっちのほうがいいな!」
 誰とでも気軽に話せるし、わいわい騒ぐほうが面白いと、気に入った様子だ。
 明け方まで騒いでいたが、それぞれの場所へと帰る時間があっという間にきてしまう。
 まったく・・・楽しい時間とは、どうして終わるのが早いのだろうか。
「じゃあまたね♪」
 今度は泊まりにくるから、ルカルカがオメガに手を振り、教導団へ帰ってゆく。
「では・・・オメガ、また来るからな」
 ほんとは傍にいてやれたらいいのだがと思いつつ、淵もパートナーと戻る。
「それじゃまたお会いしましょうね♪」
 睡蓮も手を振って唯斗たちと帰ってゆく。
「朝っては僕が様子を見にきてあげるね」
「はい、お待ちしていますわ」
 帰ってゆく北都たちにオメガも手を振る。
「俺も大学に戻ります、ではお元気で」
 リュースは丁寧にオメガやレヴィアたちに言い屋敷を出る。
「わらわを戻るとしようか」
「オメガ、たまには顔を見にいくからな」
「えぇ・・・待ってますわ・・・」
 妖精はマンドラゴラがいるエリアに戻り、レヴィアもパラミタ内海へと帰ってゆき、屋敷の外で彼らを見送る。
「今日の居残りはヨウエンですね」
「朝食は何にいたしますの?」
「そうですね・・・。和食にでもしますか」
「ではお作りいたしますわね」
 せめてもの礼にと、オメガはキッチンへ向かった。
 もう利用されることや、殺意を向けられたり、亡者に襲われる恐ろしい目にも遭うこともない。
 ましてや怖い悪夢を見ることもない、憧れていたいた普通の日常。
「今度、皆でどこかへ遊びにでもいきましょうか?」
「そうですわね、どこがオススメですの?」
 気軽に人と会ったり、遊びにも行ける。
 ずっと何百年・・・いや、もっと気が遠くなるような間、屋敷の中で独りぼっちだった。
 孤独のあまり、契約を拒まれたと怒り恨んだ時もあった。
 歪みかかろうとしていた人格は、皆と出会い、自分の親しい友となってくれたことで、凍りかけた心が少しずつ癒されていったのだ。
 温かい日常をくれたことに感謝し、今度はどこか遠いところへ、一緒に遊びに行けたら・・・と願った。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、お疲れ様です。
暗き森の泣き声からBlutvergeltung・・・導が示す末路までという、長いストーリーにお付き合いいただき、ありがとうございました。
オメガと十天君の物語は、今回で最終話となりました。
それにより、アフターまで含ませていただいています。
封神台から救出された、妖精さんの記憶は一部のみ、戻りました。

NPCアルファ・ヤーウェを、後ほど譲渡させてさせていただきます。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。


2011.11.14
リアクションの一部を、修正させていだきました。