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フラッグ争奪! 勝つのは西か、東か!?

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フラッグ争奪! 勝つのは西か、東か!?

リアクション


スラフの双子

 高地に強固な砲座陣地を築いているリブロとレノア。周囲には柵や有刺鉄線や地雷が埋め込まれている。
 設置済みの物陰に潜んでグレネードランチャーを構えている敬一と、狂血の黒影爪によって少し離れた場所の影に隠れているレギーナ。
 そこへ陣地よりも下の方で破壊工作によって落とし穴や地雷原を仕組んでいるセレンフィリティとセレアナが戻ってくる。

「下の方のセット、完了したわよ」
「セッティング中に誰か来た形跡もなしよ」
「あら、誰も来ていない訳じゃないわ」

 セレンフィリティとセレアナが報告していると、梅琳とクローラ、セリオスの三人が現れた。
 ここから離れた場所ではカモフラージュで隠れているエールヴァントとアルフが銃を構えている。

「来たか……行くぞ」

 敬一は物陰からシャープシューターで狙いを定め、グレネードランチャーを発射させる。

「グレネードランチャー!?」

 発射された弾は梅琳たちを外し、雪を舞い上げる。

『エルヴァ、アルフ! 陣地中央より、左の方からアレが来た』
『了解!』
『任せとけ!』

 ハイドシーカーによって物陰に隠れていた敬一を見つけたクローラは、エールヴァントとアルフにそうテレパシーで伝えた。

 敬一の潜んでいる場所が銃撃される。

「敬一!?」
「セレン、心配はあとよ!」
「分かってる!」

 光術を閃光弾代わりに用いるセレアナ。
 目がくらんでいる梅琳たちにセレンフィリティは仕掛けていたトラップを発動させていく。

 ある所からは地雷原が爆発し、またある所には落とし穴がある。
 それをクローラのイナンナの加護とテレパシーで指示を受けつつトラップを交わしていく梅琳たち。

「トラップを避けてるだけじゃ私たちには勝てないわよ」
「そうそう! こんなものだって飛んでくるんだから」

 連続して仕掛けられてくるトラップを交わしていく中、さらにセレアナのライトニングランスとセレンフィリティのサイコキネシスも加わる。

 セレンフィリティのサイコキネシスで周囲の石やら岩やらがビュンビュン飛び交う。

「このままじゃ、体力が削られていくだけだわ……」
『伏せろ!』

 そうクローラのテレパシーが聴こえてきて今まで避けていた三人はその場に身を伏せた。
 身を伏せた三人の頭上を過ぎる弾丸。
 エールヴァントの狙撃がセレアナに、アルフの狙撃がセレンフィリティに当たる。

「背中ががら空きですよ」

 そこへ今まで狂血の黒影爪によって梅琳の影に隠れていたレギーナが梅琳の背に鉤爪を振り上げる。

「あぶねぇ!」

 離れた場所に潜んでいたアルフは殺気看破によってレギーナに気付き、梅琳をその身を呈してそれを防ぐも吹き飛んでしまう。

「アルフ!?」
「ぐはぁぁ!!」
「梅琳大尉、覚悟!」

 吹き飛ぶアルフの飛ばされた先にはバーストダッシュで梅琳を狙ったレノアの素早いランスバレットが飛んできていた。

「ぐほぁぁぁぁ?!」

 レノアのランスバレットはアルフに当たり、別の方向へ吹っ飛んでいくアルフ。
 大木に当たったアルフは衝撃で落ちてきた雪に埋もれてしまった。

「この……アルフの仇!!」

 セリオスはタービュランスを唱え、レギーナを吹き飛ばした。

「さぁ、これであとは二人だけよ」

 各自狙いを定める梅琳たち。
 リブロはインカムに小声で全員撤退指示を伝える。

「……西軍、聴こえるか? 今すぐ遠くへ離れろ、いいな」
「リブロ?」

 レノアがまさかといった表情でリブロを見る。

「捨て駒は私一人で十分だと言う事だ、梅琳……」

 仕込んでいた爆薬を爆破させるリブロ。
 次々と爆薬は爆発していき、雪崩を引き起こした。
 雪崩が迫る中、不敵に笑うリブロ。

「なにをしているの!? こんなことをすれば、あなたまで雪崩に巻き込まれるわよ!」
「言っただろう? 捨て駒は私一人で十分だと。レノア」
「私だけ逃げるなんてしませんよ!」

 レノアは素早く雪玉を梅琳の顔面にぶつけると、小型飛空艇でリブロと共にその場を脱出した。

「大尉、すみません!」
「エルヴァ」

 クローラはそれだけ梅琳に言うと、アクセルギアで梅琳を抱えてその場を離れた。
 セリオスも急いでエールヴァントを守るようにタービュランスを放つ。

 雪崩が過ぎ、静寂が訪れる。

「ふぅ……危なかった」

 抱えていた梅琳を下ろすと、即座に謝るクローラ。

「大尉……すみませんでした! とっさとは言えあのようなこと」
「驚いたけど、助かったわ。ありがとう」

 そこへ雪崩に押し流されなかったセリオスとエールヴァントも寄ってくる。
 無事を分かち合う四人。

「アルフは残念だったけど、フラッグまでもうすぐよ」
「今まで以上に注意して進まないといけないな」
「そうだね。今ので他の場所も雪崩とか起きてそうだし」
「いつまた雪崩が来るか分からないな」

 四人は西軍の襲撃と雪崩に注意しながら進み始めた。