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災い転じて福となる?

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災い転じて福となる?

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最後の砦

 アンデッドを全て殲滅され、残ったのはアソオスただ一人。
 アソオスを捕まえていたアスカは掴んでいた腕を離した。

「なんで……なんで、なんで! あたしには…あたしのかぞくはおにぃちゃんとおねぇちゃんしかいないのに」

 地面に膝をついてしゃがみ込むアソオス。

「そんなものは偽りの幸せだ……おまえを迎え入れた家族は本当の子供として受け入れて居た者も居ただろうに……」
「自分の持つ名の意味をよく考える事だ。直訳すると『無邪気・純粋』となる。ここまで教えれば分かるだろ?」
「わかんないよ! せっかくつくっただいじなかぞくだったのに……」

 垂とダリルの言葉を受け取れないアソオスの瞳が輝く。

「ヤバいぞ! 精神汚染がくる!!」

 海の言葉に全員が身構える。


―――パシンッ


 垂がアソオスの頬を叩く。

「いい加減にしろ」
「う……」
「家族ってもんは作るもんじゃない。そんなに家族が欲しいなら、俺が家族になってやる」
「かぞくに……でも」
「水晶の力で作ったまがい物の家族じゃなく、俺の意志でお前と一緒に居てやる!」
「ほんと、に……」
「あぁ。だから、もうこんな風に無理やり作らなくて良いんだ」

 さっとアソオスに手を差し伸べる垂。
 視線を辺りに彷徨わせ、アソオスはなかなか垂の手を取らない。

「そうはさせませんよ。大事な研究材料ですから」

 意を決し垂に手を伸ばすが、今まで上空にいたエッツェルがアソオスを捕まえてしまう。

「さあ、あなたの力を私に見せて下さい。あの水晶を使わず、どれだけできるのか調べたいのですよ」

 エッツェルの半身が異形と化していることにアソオスは怖がりただ首を振るばかり。

「仕方ないですね。後でじっくり調べる事にしますよ」
「アソオスを離せ!」
「断りますよ。幼いながら大量のアンデッドを操る事が出来るなんで珍しいですし。例え媒介を使用してのモノとしても」

 渡す気が無いエッツェルに海たちはそれぞれ攻撃を仕掛けていく。

「アンデッドなら、火とか弱点でしょ〜? なら、これで行くよぉ!」
「火や光の弱点と言われるが、氷が全く効かない訳じゃないだろ」

アスカは黒曜石の覇剣と魔鎧「六式」にバレンタインデーキスを施して、海はアルティマ・トゥーレをかけていた妖刀村雨丸でエッツェルに斬りかかる。

「ふん。これくらいですか」
「え、アンデッドなのに火が効かないのぉ!?」
「く……まさか骨の翼が突き破って生えてくるとは」

 龍鱗化と死骸翼「シャンタク」で二人の攻撃を受けるエッツェル。
 炎熱、氷結の為、それ程効いていないことにアスカと海は驚く。