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デスティニーランドの騒がしい一日

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デスティニーランドの騒がしい一日

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第5章 絶叫しよう! コースター編

「わあい、すっごく一杯乗り物があるの! とにかくめいっぱい乗って遊びたいの!」
「もう、翠ったらあんなにはしゃいじゃって…… まぁ、今日くらいはいいかしら」
「これが遊園地なんですねぇ〜。楽しそうですねぇ〜」
 遊園地の真ん中で、はしゃぎまくっているのは及川 翠(おいかわ・みどり)
 ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)スノゥ・ホワイトノート(すのぅ・ほわいとのーと)はそんな翠を苦笑いしながら温かく見守っている。
「どれに乗るか、迷っちゃうのー。えーと、えーと、えとえとえと…… もう、目に入ったのぜーんぶに乗っちゃうの!」
「落ち着いて落ち着いて。ほら、まずは空いてるアトラクションから回りましょうか……」
 うわーいと高く上げた翠の手をミリアが引こうとした途端。
 ゴゴゴゴゴゴゴォーッ!
「キャァーッ!!」
 轟音と、絶叫が響き渡った。
 見上げると、コースター。
 翠の目が光る。
「……あれに乗るの!」
「きゃ……もぅ」
「わぁい、面白そうです〜」
 ミリアとスノゥの手を引いて、一目散に駆けだして行く翠。
 乗り場についてみると、既にかなりの人の列が出来ている。
 しかし全く気にせず、同じくコースターに並ぼうとする賑やかな集団に元気に挨拶する翠。
「こんにちは、なの! これ、すっごく面白そうなの〜」
「こんにちは! 面白そうだよね、これ乗るの、とっても楽しみにしてたんだ!」
 こちらも元気のいい挨拶が返ってきた。
 【春遊】メンバーのルーナ・リェーナだ。
「このコースターはね、途中で温泉が噴き出る特別製なんだって」
「うわあ、それは楽しみなの!」
「ほら、美鈴さんも行こうよ! リキュカリアさんとネスティさんも行くんだよ!」
「え、ボクは東雲が……」
「俺のことはいいから楽しんできな」
「そうそう! ジェットコースターは欠かせないよ!」
「う、うん、えへ」
「え、あんな高い所から落ちるんだ、だ、大丈夫かな……」
「大丈夫だって。皆も乗るって言ってるんだし」
 ルーナに手を引かれながら、それでも尻込みしている美鈴をカイが後押しする。
「それに、あの高さから落ちる瞬間が醍醐味なんだよ!」
 ぐうっと拳を固めるカイに、美鈴も少し心動かされる。
「カイたちも一緒なら……思い切って挑戦してみる」
「よし、カノエくん、あたしたちも乗ろう」
「庚さん、一緒に乗りましょう。大丈夫。イコンよりは激しく動きませんから」
「えー、しょうがねえなぁ……」
「で、出遅れた! ほら美影、ルーナちゃんや美鈴ちゃん達に負けるもんか!」
「待ってよテテ! コースターは逃げないわよ!」
「ほわあ……大盛況なのー」
 自身も賑やかだと多少は自覚がある翠だが、【春遊】メンバーの賑々しさに思わず圧倒される。
「よーし、私も負けないの!」
「コースターで負けないって、どういうことよ」
 翠の言葉に苦笑するミリア。
「えぇと……叫び声対決とかですかぁ〜?」
 真面目に考えて返事をするスノゥ。
「……」
「……」
 翠の顔が、スノゥを真正面から見る。
「それなの!」
「えぇー」
「よーし、頑張るのー!」
「なんだか分かんないけど、私たちも頑張るぞー!」
「おー」
「お、おー」
 翠の声に、思わず対抗して大声を出すネスティ。
 それに続くルーナたち。
 コースター前は、早くも喧騒が渦巻いていた。

「うわあああああ!」
「きゃあああああ!」
「たっのしぃいいいー!」
「まぁけぇるかあああー!」

 そしてコースター後。
 目が回った美鈴をカイが支え、ふらつく足をなんとか堪え強がりを言う庚の隣にハルとディアーナがそっと付き添い、テテやルーナは興奮気味に感想を口にする。
「とても楽しかったね。皆で写真を撮ろうよ。あ……良かったらキミ達も一緒に、どう?」
 デジカメを取り出した美影が、翠たちを誘う。
「え! いいの?」
「もちろん」
「わーい、嬉しいの! お姉ちゃんたちも入ろう!」
「すみません」
「ありがとうございますぅ〜」
「ううん。こちらこそ、一緒に乗れて楽しかったわ」
 ピピッ。
 たくさんの笑顔(一部ひきつったまま)が、デジカメに保存された。