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リアクション
ごにゃ〜ぼ☆
けたたましく警報が響く中、ボクたちはモヒカン村の近くまで移動していたんだ。
この距離まで来ると、起動するイコンの音が鮮明に聞こえてくる。モヒカンたちも慌てているみたいだね☆
あ、ボクは鳴神 裁(なるかみ・さい)。もしかしたら物部 九十九(もののべ・つくも)かもしれないから気を付けてねー♪
ま、やることは同じなんだけど!
さあ、こちらが、やっと、ついに、意思を得ました蒼汁 いーとみー(あじゅーる・いーとみー)。
「い〜とみ〜♪」
ボクの紹介に応えるように、頭の上に乗ったいーとみーが声を出す。
うんうん、煌めく瞳に闘志が満ちているね♪
え? どの角度で見えるのかって? 心の目で見ればなんだってお見通しさ☆
そして、忘れちゃいけない蜃気楼の怪異 蛤貝比売命(しんきろうのかいい・うむぎひめのみこと)も一緒だよ。
「ふ、どうせまた地の文ジャックをしておるのであろう。ほら、そんなことをしている間に、野蛮な猿どもが向かってきておるぞ。我の活躍に期待するがいい」
おっとっと。
紹介に気を取られていたら、モヒカンたちの接近を許しちゃったよ。
まだ村へ侵入すらしていないのに、気の早い連中だね☆
地上からは生身モヒカンたちが、そして空中からは二体のイコンがやってきた。
「ボク”たち”はイコンを貰うから、地上のモヒカンは頼んだよー☆」
そう言って振り向いたら、蛤貝比売命が地面にペタリと座ってた。
井戸から汲んできた水で泥遊びをしている。
「泥遊びではない」
でも泥をこねて何か作ってるよね?
あ、お城だ。
「泥遊びではないと言っておるであろう」
でも泥でお城作ってるよね?
あ、壊された。
「あー、なんということを!」
だけどモヒカンたち、なんだか混乱しているみたいだね。
メンタルアタック成功だ☆
「い〜とみ〜♪」
おっと、こっちも説明している場合じゃないね。
向かってきたイコンがまさに手にした鉄骨を振り下ろす瞬間だった。
ボクの左の瞳が金色に変化していく。
とりあえず横に避け、振り下ろされた鉄骨が地面に着く直前に足を引っ掛ける。
そのまま鉄骨から腕を伝って一気に肩まで駆け上がっていく。登り切ったら後ろ向きにジャンプ。身体をコンパクトにたたみ、空中で回転して着地をする。
うん、楽しいね♪
二体目のイコンが横から姿を現して、恐竜の骨を横殴りに振ってきた。
着地に合わせたつもりだろうけど、ちょっと遅いかな。
「よっと♪」
ボクは再度ジャンプをして、横向きの回転をかけた。
武器を振り切って隙だらけとなったイコンの頭へ両手をつけると、そのまま腰を捻った側転をして脇に着地。
方向転換しようとするイコンを、助走をつけたジャンプで一気に飛び越える。
そこへ再度鉄骨を振ってきたイコンに、空中で二回転斜め蹴りを叩き込んだ。
◇
俺、猿渡 剛利(さわたり・たけとし)は三船 甲斐(みふね・かい)と共に搭乗しているプラヴァー(デフォルト)の操縦席で、とんでもない光景を前に唖然としていた。
なんか生身でイコンに突撃したとち狂ったやつがいると思ったら、中国雑技団もびっくりなアクロバットを始めやがった。
て、おい!
それ契約者だからって出来ていい動きなのかよ!
「けっけっけ、九十九のやつ、俺様のいた時代でもぶっとんでたが、この時代でも安定のぶっ飛びぶりだね」
知っているのか甲斐!?
「ああ、ゴリ、ありゃフリーランニングっつースポーツだな」
何をやっているのか動きも気になるけど、そっちの方じゃなくてだな。
「契約者の存在以前から、忍者もかくやっつー動きをしてた連中だからなぁ。パンピーとか言われれば疑問を抱かずにはいられないが、まぁ、非契約者という意味ならパンピーなんだろうぜ」
……んな無茶な。
つーか、イコンに挑むならせめて武器ぐらい使え!
そんな俺の突っ込みも気にせず、目の前の少女は笑顔でイコンを殴り倒していく。
素手で対イコン性能だと? そんな馬鹿な!
「そっちのパートナーの嬢ちゃんもなにか言ってや……」
泥んこ遊びをしてやがった。
遊べと? フリーダムに遊べと?
ちくしょう、真面目に作戦を練って考えたアクションを、つまんないからやり直しなどと言いやが……おっとメタいこと言っちまったぜ。
「暢気に見物していたら、こっちも囲まれているけどいいのかい?」
気が付けば背後から五機のイコンが近づいてくる。
まずいな、この数を相手にするのはかなり厳しい。
「奥の手を使おう」
甲斐の提案に俺も同意する。
こういうピンチのときに使ってこそ、必殺技だしな!
ソニックブラスターを構えると、甲斐に向かって合図をする。
俺がソニックブラスターで超音波攻撃を行い、そこに甲斐がガラスのひっかき音を乗せるという超極悪な技だ。
なのでこの攻撃をするときは耳栓が必須である。
俺は自動攻撃をオンにすると、空いた手で耳栓を探した。
あれ? 無い。どこに行った俺の耳栓!
上着やズボンのポケット、シートの下まで探すが見つからない。
「あ、耳栓忘れたんで借りてるよ」
甲斐の極悪非道な行為に対して抗議の声を上げようとしたときだった。
照準の合ったソニックブラスターが、自動的に発射を行ったのだ。
……そういえば、自動攻撃をオンにしていたんだっけ。
そこへ容赦がなくガラスのひっかき音が乗せられていく。
ぐわああ、と悲鳴をあげたのはモヒカンか俺か……。
気が付くと、プラヴァーが地面に倒れていた。
どうやら倒れた衝撃で意識を取り戻したらしい。
「お、おい、早くプラヴァーを立たせないと!」
甲斐の焦った声が聞こえてくるが、ダメージを受けて身体が自由に動かない。
すると、倒れているプラヴァーの周りに蒼っぽいものがわらわらとやってきた。
なんだこれ?
え、なんで操縦席の開閉ハッチのボタンを押してるの?
戦闘中なんだから危険じゃないか……うわ、入ってくるな!
「ナンデ? イートミーナンデ? アエエエエエエ!」
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