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空が見たい!

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空が見たい!

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「そろそろ帰ろうぜ。皆心配して待ってるはずだ」

 フェイミィがリネンに手を差し伸べて笑う。
 そうね、と笑って立ち上がったその時だった。

 ――グルルルッ……

 ドラゴンの低い唸り声とともに背中の部分が勢いよく盛り上がり、そして左右に勢いよく広がった。

「翼なんかどこにしまってたんだよ?!」

 ナディムが素っ頓狂な声を上げて驚くが、その翼をよろよろとだが力強く羽ばたかせて風を巻き起こす。
 ばさり、ばさりと次第に動きは大きくなりついには地面に這いつくばっていた巨体が空中へと浮き上がる。

「うえええええ?! トカゲのくせに空飛びやがった!」

 こちらに攻撃がくるのではとそれぞれ攻撃態勢をとるが、ドラゴンは方向を変えると外へ洞窟の奥へ奥へと飛び去っていった。

「ねぇ、このままにしたらあいつまた傷が治ったら村を襲いにくるんじゃない?」
「確かにここで回復を待たれたらどうしようもないな」

 マーガレットと七尾が顔を見合わせて不安そうにメシエのほうを見つめる。
 なぜこっちを? と思いながらも少し考えてそうですね、と切り出そうとしたがその声は洞窟内から響いてきた別の声にかき消された。

「あはははははっはははははははは!!!!!!」

 小型飛空挺を飛ばし高笑いをするのは、機晶姫、メアリー・ノイジー。

「自由だ自由だ自由だ自由だ!!!!!

 俺はもう誰にも邪魔なんかされない!!!!!

 こいつの身体はこれでもう俺のもんだ!!!!!!!!!!」


 ――アハハハハハッハハハアハハハハァハハハハハハハハッ!!!!!!

 ビュンと七尾たちの頭上を飛び越え、ドラゴンと同じように第33坑道の奥へと不気味に笑い声を響かせながら飛んでいく。

「待って、メアリー!」

 はぁはぁと遅れて走ってきたのはメアリーのパートナーであるニケだ。

「待って! ねぇ、メアリー!」

 洞窟内を響く声にメアリーは苛立ち、いったん立ち止まると声高に告げる。

「いいか、この身体はもう俺のもんだ! 邪魔すんじゃねぇ!」

 力の限り叫ぶだけ叫ぶとスタンクラッシュで岩壁を壊し、落盤を誘発させた。
 そしてさらに奥へと飛んでいくと、先ほどまで戦っていた相手だろうドラゴンが行き止まりの前でよろよろと飛んでいる。
 俺の前を塞ぐな。邪魔くせぇ。

「一刀、両断」

 目の前の壁を切り裂き、外へと繋がる扉が開いた。
 ドラゴンが岩とともに崖の下に落ちていこうがメアリーには関係ない。
 久しぶりの太陽や風を身体で受けて、メアリーは笑っていた。

 自由だ。俺はもう自由なんだ。

 メアリーの高笑いは坑道に不気味にこだまし続けた。