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寂れたホラーハウスを盛り上げよう!!

リアクション公開中!

寂れたホラーハウスを盛り上げよう!!
寂れたホラーハウスを盛り上げよう!! 寂れたホラーハウスを盛り上げよう!!

リアクション

「……そうか。とりあえず、謝りに行く必要があるな」
 優は予想通りの事に驚かなかったが、後始末はしなければならない。
「……俺のせいで迷惑をかけた」
 優は他のみんなに謝った。

「怪我もしていないし、大丈夫よ」
「故意にした訳ではないんだから気にする事はない」
 望美と剛太郎は気にしていないと優を気遣った。

「我は適当に過ごす故、気にする事はない。そなたらにこれを授けよう」
「ありがとう」
 ンガイはそう言って主人が写った写真の切れ端を零に渡した。

「たっぷりと楽しんだし、俺は酒でも飲んで来るかな」
 オルフィナはもう別の事を考えていた。
「……酒、いいわね」
 酒が好きな望美はオルフィナの言葉に反応した。
「良かったら俺と一緒に飲むか?」
 オルフィナはにやりと薄く笑いながら誘った。
「……時間があれば」
 望美は控え目に言った。襲われた時の不安が少しだけ残っていた。
「まぁ、楽しみに待ってるよ。これを渡しておくよ」
 オルフィナはそう言ってビキニパンツに入れて隠し持っていた写真の切れ端を渡してから言った。
「……写真。ありがとう」
 望美は去って行くオルフィナに礼を言った。
「ではな、ネガティブ侍」
 ンガイは散策を始めた。
 三郎景虎は適当にンガイを見送ってから東雲の事を思い出した。
「……東雲の様子を見に行くか」
 大変な事になっているのではと気になりながら急いだ。

「俺が招いた事だから二人はもう行っても……」
 これ以上、聖夜と陰陽の書のデートの邪魔をする訳にはいかないため言おうとした優の言葉は遮られた。
「それは出来ませんよ。戻って来るまでここにいます。間違って他の人が入ったら大変ですから。ね? 聖夜」
「あぁ、そうだ」
 陰陽の書と聖夜が放って自分達で楽しむ訳がない。それよりもずっと大事なものがあるのだ。
「すまない」
 優は気遣う二人に謝りつつ感謝していた。
「私も一緒に行くよ」
 零は心配ないというように笑顔で言った。
「……助かる」
 二人で一緒に来ているであろう責任者を捜しに行った。
 優達は喫茶店にいるユルナを発見し、事情を話すも直せば大丈夫だと軽く言われ、事なきをえた。隠されている写真については喫茶店や礼拝堂にあるので問題無いとの事だった。部屋は刃物やガラスの破片が落ちて危険なので中に入れないように看板を立てた。
 それから優と零は再び写真探しに戻り、聖夜と陰陽の書もデートに戻った。

 一階、読書好きの長男の書庫。

「……今度は大丈夫だよな」
 最後の写真を求めてやって来た九十九。今度は追い出されずに済むだろうか心配しながらゆっくりとドアを開け、中に入って行く。

「冥界へようこそ」
「よく来ましたね」
 冥界の花嫁ルカルカとボロボロトレンチコートの真一郎が迎えた。
 ルカルカの姿は透過飴の効果でぼんやりと薄くなり消え始めていた。

「……ようやく」
 九十九は写真回収が出来ると安心しながらもただ静かに警戒をした。

 ルカルカの姿が消えたかと思ったら

「冷てぇ……靴に何か!!」
 『氷術』でキンキンに冷やしたルカルカの手が首筋に触れ、あまりの冷たさに驚いたと思ったらこっそり入れられた『氷術』で作った氷粒にびくっとした。

 前方では

「……あなたの魂を我が花嫁の贈り物にするとしましょう」
 ルカルカが飛ばした二体のアンデッド:レイスと共に真一郎はホラーを演出。

「……おい。何だこれ」
 一度目に来た時とはまるで様子が違う。
 ルカルカが呼び出した虚無霊:ボロスゲイプが『死の風』と共に現れ、九十九の横を歩いて消えた。『死の風』による振りまかれた死の香り。
「……む」
 『エンデュア』を持つ九十九は何とか心が折れるのは耐えたが、心なしか疲れてきた。

「……めちゃくちゃだな」
 歩く黒い双龍の傀儡とその傍らを二体のアンデッド・小型屍龍が闊歩する。黒い双龍は消えたルカルカが巧みに操っている。『ダークビジョン』によってルカルカの視界は良好。
 写真を探し回るどころではない状況。
「我が付き添い人達よ、この者から魂を抜き取りなさい」
 この言葉を合図にレイスがゆっくりと動き始める。
「……な、なんだ」
 ルカルカの『フールパペット』による精神攻撃と『その身を蝕む妄執』による恐怖の幻覚が九十九を襲い始める。一瞬、頭が痛くなったりちらりと幻覚が横切るも『エンデュア』によって何とか耐えしのいだ。
「……おいしそうだったのに残念」
 引き際だと感じたルカルカが九十九の耳元でささやき、服のポケットにこそっと写真の切れ端を入れた。
「なっ!」
 ささやきと共に息が九十九の耳にかかり、急いで手で押さえた。
「……ん」
 おもむろにポケットに触れ、ある感触を確認。
 そして、九十九はさっさとこの場を離れた。

 部屋を出た九十九は一息入れた。
「……何とか写真を回収出来たか。ふぅ」
 ポケットから写真を取り出し、確認する九十九。
「少し喫茶店で休むか。写真も全部揃ったし」
 歩き出す前に靴に入った物を取り出した。
 中から小さくなった氷の粒が出て来た。
「少ししたら乾くだろう」
 靴を履き直し、喫茶店に向かった。

「真一郎さん、成功だね」
「完璧ですよ」
 ルカルカと真一郎は任務成功を共に喜んだ。
「ねぇねぇ、我が花嫁ってルカの事?」
 ルカルカは嬉しそうに真一郎が先ほど口にした言葉を聞いた。分かっていても聞きたくなるのが乙女心。
「……少し気が早かったかもしれませんが」
 当然、ルカルカ以外該当する存在はいない。ただやるべき事を成し遂げてからと決めているため役とはいえ気が早い事を言ってしまったかと。
「ううん、もう少し早くてもいいよ。あ、どうしよう。まだ透過飴の効果が切れてないよ」
 ルカルカは嬉しくてキスをしたい気分になるもまだ透過飴の効果が切れていない事に気付いて困った声を上げた。身長差があるためどうしても真一郎がルカルカに合わさなければならないが、肝心の真一郎には見えていない。もどかしくてたまらない。
「問題ありませんよ。どこにいるのかどこにルカルカの唇があるのか知っていますから」
 そう微笑み、迷うことなくルカルカの唇に自分の唇を重ねた。
 純白プリンセスドレスを着たルカルカがゆっくりと姿を現した。
 もう少し素敵な場所であれば、良かったのかもしれないが、ルカルカと真一郎にとって互いがそこにいればどこでも素敵な場所となりえるのだろう。

 一方、喫茶店に辿り着いた九十九は、

「地下室に行く前に少し一休みだ。アイディア料理受付中か」
 九十九はブラックボードの案内を見てから嬉しそうに食堂へ入った。
「いらっしゃい」
 イリアが元気に迎えた。
「アイスコーヒーと生クリームがたっぷり載ったケーキを一つ」
 注文し、適当な席に座った。他の席には肉料理をほおばるオルフィナやスイーツを楽しむノーンと弥狐に宝物の推理をする舞花や珈琲を飲んでいる沙夢がいた。
 少ししてスイーツがやって来た。どす黒いアイスコーヒーと不気味な色をしたクリームを上に載せた青ざめたケーキだった。
「……見た目はともかく味は……」
 一口食べた途端、至福の時。
「んー、幸せだ♪」
 あっという間に食べてしまった。
「ん? それおいしそうだな」
 九十九は弥狐が食べている血のように真っ赤なイチゴシロップのかかったパフェと目玉ゼリーに興味を持った。
「おいしいよ。あたしが考えたんだよ。食べてみてよ!」
 弥狐は嬉しそうに言った。
「それじゃ、食べてみるか」
 九十九は弥狐が考えたパフェとゼリーを注文し、再び幸せを感じていた。
 しばらくして、ちょっとした騒ぎが起きてしまう事に。