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幕間:事件解決! 〜腹ペコうさぎと温かいスープ〜

 追われていたウサギが逃げ出した先。
 そこは食堂であった。背後から迫ってくる足音に追われるように食堂内へと姿を隠す。しかしそこにも逃げ場はなかった。
「おやおや。隠れ場所を探していたらまさかの本人登場ですか」
「御凪さん大当たりなの!」
「幽霊さんはウサギさんでしたか」
 先客は御凪たちだ。幽霊のいる場所を探していた矢先の出来事である。
 飛んで火にいる夏の虫とはまさにこのことだろう。
「もふもふですね」
「おしおきしますか?」
 各々がウサギに対して何かしらの行動をしようとするが御凪が止める。
「と、このように身の危険を感じざるを得ない発言をする子もいるので、おとなしくついてきてくれると俺としては嬉しいのですけど」
 ウサギの背後、近寄ってくる多くの足音が聞こえてくる。
 逃げ場はない。
 御凪がウサギに近づくと『ぐうぅ……』という低い音が聞こえた。
「お腹、空いてるんですか?」
 ウサギはがっくりとその場に倒れ込んだ。

 集まった仲間たちを引き連れて宿直室へ戻ると中には先に戻っていたのであろう、ルーノたちの姿があった。
 優雅にスープやサンドイッチを楽しんでいた。
「おかえりー」
「それが獲物ですか。鍋にしますか?」
「さすがに煮ては食えんだろうな。ミンチでハンバーグあたりが無難か」
 手を振るルーノの近く、執事風の二人が怖いことを言う。
「煮るも焼くも駄目ですよ。とりあえずお話を聞かせてもらいましょうか」
 久瀬が前に出るとウサギに目線を合わせた。
 ウサギがおなかに手を当てる仕草をする。
「その子お腹空いてるみたいよ。何か食べさせてあげたら?」
 セレンフィリティの声に合わせるようにウサギのお腹が『ぐうぅー』と鳴く。
 生徒たちの前に姿を現していたのは食べ物を求めてだったのかもしれない。
「サイアス……」
「はいよ。お待たせ」
 クエスティーナに促されるようにサイアスがスープを運んできた。
 ウサギはお礼を言っているのか、しきりに頭を下げてスープを口にする。
「依頼達成のようですね。ありがとうございました。この後も何度か巡回するだけですし、問題は起きないと思うので夜食を楽しみましょう」
 久瀬が言い終えると皆が皆、思い思いにくつろぎ始めた。
 宿直の夜はまだ続きそうだ。