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動物になって仁義なき勝負?

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動物になって仁義なき勝負?
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第一章 変身日和


 森に入った園児にロズフェル兄弟や戻り薬救出のため多くの人が集まった。中には森の異常を回復しようとする者達もいた。

 森、入り口。

「確か、この森は人の姿だと襲われるんだよねぇ」
 清泉 北都(いずみ・ほくと)は森をじっと見ながらどうしようかと考えていた。
「ま、オレは獣人だから薬がなくても変身できるけどな。さて、狼に変身して……」
 白銀 アキラ(しろがね・あきら)は獣化しようとするも何かしている北都が気になって中断。
「北都、何してんだ? 薬か?」
 白銀の目の前であっという間に北都は動物の姿に変身した。

「……黒猫」
 碧眼の黒猫になった北都は両手の肉球や尻尾を見たり、耳を触ったりして自分の状態を確認する。
「随分ちまっこい猫になりやがったな」
 白銀は小さくなった北都を見ながら言った。
「急ぐにゃ」
 北都は早速、園児捜索へと動き始めた。
「にゃ?」
 白銀は北都の語尾に妙なものがついている事に気付き、聞き返した。
「これ薬のせいかにゃ。今はそれより早く行くにゃ〜」
 北都も気付いたようでおかしな影響に首を傾げた。もしかしたら薬を混ぜたために起きた効果なのかもしれない。
「……あぁ」
 白銀は北都の語尾が気になりながらもやるべき事をするため狼に獣化して北都と森へ入った。
 二人は『超感覚』で子供の声を拾えるようにして北都は『禁猟区』も併用し、この森に住む動物に対しての警戒態勢も整えた。全ての動物が園児達の変身では無いからだ。

 森に入ってしばらく。

「……遅い」
 白銀が思わず洩らしたのは、北都の歩く速度だ。
 走りでも自分が歩くだけで追いつけてしまう。
 このままでは園児救出どころではない。
「北都、止まれ。その分じゃ時間がかかり過ぎる。オレの背中に乗れ」
 しびれを切らした白銀は前を歩く北都を止めた。
「……そうするにゃ」
 北都は、自分でも時間が掛かる事は自覚していたためすぐに白銀の背中に乗った。
 改めて園児捜索を開始した。

 森、入り口。

「熊になったでありますよ!!」
 葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)は鋭い爪をまじまじと見ながら声を上げた。吹雪は、瞳も全身も真っ黒の熊だ。
「猟師がいたらすぐに撃たれるかも」
 コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)は自分と吹雪の姿を確認しながら言った。コルセアは、碧眼の金熊だ。
 大柄な外見に鋭い爪、見る者を震え上がらせる眼光、ぬいぐるみの様な可愛さは皆無の凶暴なグリズリーのような姿だ。
「本日の任務は、園児捜索とロズフェル兄弟へのお仕置きであります。任務開始でありますよ!」
 吹雪は熊らしく四つ足で走って森に突入した。
「……全力でお仕置きをしないように見張っておかないと」
 コルセアは、重量感のある走りを見せる吹雪を見て疲れる予感を胸に抱きながら急いだ。

「……雀。これなら空から園児達の捜索が出来るね」
 動物変身薬で茶目の黒雀になった綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は小さな体を見回しながら緑目の白鳩になったアデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)に言った。二人はナコに頼まれ、園児救出に来たのだ。
「……そうですわね。今頃不安や恐怖で泣いているかもしれませんわ」
 動物に変身した園児達にとっては大きいと思われる森を見ながらアデリーヌは言った。今頃、物珍しさの興奮が冷めて泣いているかもしれない。
「うん、急ごう」
 さゆみはこくりとうなずいた。
 二人は一度空に飛んで森の様子を確認してから森の中に侵入した。

「……人の姿のままだと襲われるから変身したが、蛙か」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は戻り薬奪還のため変身して赤色の蛙になっていた。
「……慎重に行けば何とかなるか」
 自分の姿確認後、赤色の目を森に向けた。人間の時に比べて随分森が巨大に見える。

「あそこに仲間がいるな」
 陽一は同じように蛙になった龍滅鬼 廉(りゅうめき・れん)吉村 慶司(よしむら・けいし)を発見し、声をかけに言った。

「……蛙か」
 動物変身薬を使用して体と瞳が青色の蛙となった廉は、改めて自分の姿を確認していた。
「そうですね。しかし、この姿で無事子供達を見つける事が出来るでしょうか」
 廉と同じように薬を使った慶司は赤い瞳の黒蛙となり、園児を無事保護出来るか心配になっていた。
「逆に好都合だ。森に入った園児の中には蛙になった者もいるはずだからな」
 廉は臆する様子を微塵も見せない。同じ姿ならば子供達を安心させる事が出来るはずだと考えている。
「……そうかもしれませんが」
 慶司は廉が言いたい事は分かるがどうにも心許ない姿に不安は隠せない。

「そこの二人も森に入るのか?」
 蛙姿の陽一が二人に声をかけて来た。

「ん? あぁ、園児を救出に行くつもりだ」
「……あなたも蛙なんですね」
 廉と慶司はそれぞれ陽一に答えた。
「あぁ、俺はこれから戻り薬を探しに行く」
 陽一は慶司にうなずきながら自分の目的を話した。
「そうか」
「大変でしょうけど、頑張って下さい」
 廉はうなずき、慶司は健闘を祈る。
「そちらも頑張ってくれ」
 陽一も励ましの言葉を送った。

 三人はそれぞれの目的を持ち、森に入った。

 アスレチック広場。

「子供達が心配ですね。一刻も早く助けに行かなければ」
 明智 光秀(あけち・みつひで)は共に来ている夜月 カラス(やづき・からす)と御剣 渚(みつるぎ・なぎさ)に言った。
「面倒だが、見過ごす訳にはいかないしな。まぁ、こういう時に限って面白い事とか起きたりするし」
 夜月は面倒臭そうに言った。
「では、先に行っていますので後ほど合流しましょう」
 光秀は合流場所を伝え、さっさと森へ向かった。園児捜索をスムーズにするために動物変身薬を使用した。

「……はぁ、慈善事業をやっている訳では無いのだが、仕方ない。何か面白い事でもあればいいが。捜索は任せる。私は先に合流地点で待機しておく」
 仕方無く渚も動き始めた。
「……あぁ。さて、森に入って適当にガキ共の情報収集でもするか。薬の事は他に任せても何とかなるだろうし」
 渚を見送った夜月もぼちぼちと森に向かった。

 森、入り口。

「猫だよ! みんな可愛い……へっくしゅん」
 動物変身薬によってロシアンブルーの毛色で青と水色のオッドアイの猫になった九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)は、他の仲間の猫姿に喜ぶもくしゃみが激しい。
「……涙が出るし痒い」
 ローズとそっくりの猫になった斑目 カンナ(まだらめ・かんな)は、前足で顔を掻きまくり、目は涙目だ。
 ローズとカンナは発症した猫アレルギーに襲われていた。
「……二人共そっくりで見分けがつかないな」
 四人の中で一番大きい黒のボンベイの冬月 学人(ふゆつき・がくと)は黒い瞳を双子猫となったローズとカンナに向けた。
「な、なんでオレだけ子供の猫なんだよ!!」
 四人の中で一番小さいオレンジ系と白のマチカンのシン・クーリッジ(しん・くーりっじ)はローズ達の姿と自分の姿を比較してから大声を上げた。その姿もまた愛らしい。
「ちくしょーふざけやがって、絶対戻り薬を取り戻してやるぜ!!」
 強い決意に輝く緑の目を森に向け、シンは動き始めた。
「シン、小さくて可愛い……へっくしゅん」
 猫が好きなローズはくしゃみをしながら動き出したシンにじゃれつき始めた。
「ロゼ、重い。じゃれつくな! しかも鼻をくずらせてアレルギーか? 早く元にもどらねぇとやばいんじゃねえの」
 潰れかけているシンは鼻をぐじゅぐじゅさせるローズに言うが、離れてくれない。
「……ロゼ、やる事あるだろう」
 見かねた学人がやる事を見失っているローズに軽く猫パンチで止めた。
「……学人、へっくしゅん……分かってる……くしゃみも止まらないし」
 ローズは学人の言葉で現実に引き戻され、ようやくシンから離れた。
「よし、さっさと取り戻して元に戻るぞ」
 一番戻る気があるシンが先頭を歩いた。
「猫と話せるのかな……くしゅん、猫の集会あったらいいな……へっくしょん!」
 ローズはくしゃみをしながらそれなりに楽しんでいる。
「……人間の姿に戻ったら目が充血してるんだろうな」
 涙目のカンナは痒みと戦いながらシンとローズの後ろをついて行く。
「……今、自分の姿が猫だってこと忘れて好き勝手に動かないでよね? それとあまり無理をしたらダメだよ」
 殿を務める学人はバラバラな事を言うみんなに注意をしてから周囲、特に地面を警戒しながら進んだ。実は、学人も注意はしつつも密かに様々な形で動き回る土塊が気になっていたり。