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夏合宿 どろろん

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夏合宿 どろろん

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「はーい、かき氷がほしい人はこちらですよー」
「わーい、くださぁーい」
 レモン味と山葡萄味のかき氷を両手で掲げて言うユーシス・サダルスウドくんの許に、ヒメリ・パシュートさんが走って行きます。
「食材が手に入ったから、夜食はこっちだよ」
 エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが集めてきた魚などをバーベキューにしながら神戸紗千さんが屋台に呼び込みをしています。謎肉が混じっているのは……内緒にしておきましょう。
 キャンプ場の中央には、またたび明日風(木曾義仲)くん入りの氷塊が飾られていました。その前では、漆髪月夜さんにつかまった樹月刀真くんが、玉藻前さんに記念写真を撮ってもらっています。他にも、今日の記念に、ペア同士で記念写真を撮っている人たちは多いようです。ただ、後日、背景の中に、ソア・ウェンボリスさんのぬいぐるみ妖精の姿が映っていたとかいないとか……。
「まったく、手間かけさせて……」
 リカイン・フェルマータさんは、氷塊のそばで焚き火をおこして、氷をじわじわと溶かしています。
 キャンプ場の端では、誰かが戦っているようですが、雅羅・サンダース三世さんは謎のお肉に夢中でした。
「小骨が多いけれど、美味しい〜」
 知らぬが仏です。
「そこの彼女〜。一緒に写真とかどう?」
「また誘ってくれるんですかあ?」
「ええっと……、ああ!」
 また一雫悲哀さんをナンパして、そういえば、さっきペアになった人だと思い出して仁科耀助くんがポンと手を叩きました。
「はあ、ダメダメですね……」
 それを見て、龍杜那由他さんが溜め息をつきます。
「フィリスったら、どこに行ったんだよ……」
 いつの間にかパートナーを見失って、霧丘陽くんがうろうろと歩き回っています。
「あ、すみません」
 あまりにキョロキョロしすぎて、誰かにぶつかりました。アキラ・セイルーンくんですが、まだ女の子です。
「いえ、平気ですよ」
 アキラ・セイルーンくんが、意味深に微笑みます。
 ぺこりとお辞儀してしばらくしてから、霧丘陽くんはふと思いました。今のは誰でしょう。
「ふう、結構大変でした」
「おっ、ここにいたか」
 オオカミのぬいぐるみをだきしめながらほっとしたようにくつろいでいる杜守柚さんのところに、高円寺海くんが飲み物を持ってやってきました。
「いやあ、さっきはオレだけ突っ走って悪かったな。じゃあな」
 まだちょっと不器用です。飲み物だけ渡して、さっさと行ってしまいました。
「もう、口べたですね」
 もっとのんびりしていってもいいのにと、杜守柚さんがもらった飲み物を一気に飲み干しました。
「ゼーさん巡査、あっちで決闘が行われている。取り締まりに行くよ」
「はい、ななな刑事!」
 金元なななさんに連れられて、シャウラ・エピゼシーさんが雅羅・サンダース三世の横を駆け抜けていきます。
「おう、おかわり行け!」
「もちろんだぜ!」
 キャンプ場の隅では、大洞剛太郎くんと王大鋸くんたちが酒盛りの真っ最中です。
「あっ、樹ちゃんは禁酒ね」
 自分は大洞剛太郎くんに注いでもらったお酒を飲みながら、緒方章くんが言いました。
「なんでなのだ。私の酒はどこへ行った!」
「さっき、高円寺くんに渡したよ」
「返せー、戻せー」
 酒が飲めないのは嫌だと、林田樹さんは涙目です。それを見て、緒方章くんはちょっと楽しそうでした。
「お刺身美味しいです。誰がつかまえてきたんでしょう」
 自分がミサイルで吹っ飛ばした魚だとは思わずに、ジーナ・フロイラインさんがパクパクとお刺身をつまんでいます。その横では、新谷衛さんがお酒を浴びていました。
 なんだか、杜守柚さんのケタケタ笑う声が聞こえます。
「やれやれ、相変わらずみんな騒がしいですね」
「いいじゃない。さあ、打ちあげるわよ」
 ルカルカ・ルーさんに言われて、小暮秀幸くんが、地面に立てた打ち上げ花火に火をつけました。
 しゅるるるるるるる……ぱーん。
 ささやかながら、夜空に花火が綺麗に広がります。
「綺麗ですねー」
「ああ」
 空を見あげるナナ・マキャフリーさんの横で、ルース・マキャフリーさんが彼女の方を見ながら言いました。
 夏合宿の最後の夜は、まだまだ長いようです。
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 結構盛りだくさんになってしまいました肝試し。いかがだったでしょうか。珍しく、思いっきり苦労しました。
 ちょっと脅かし役が森に偏ったことや、脅かされる方が全部の罠に引っ掛かっていたのではきりがないので、だいたい、1ペア1メインのお化け遭遇と言う感じになっています。書かれていない部分では、適当な確率で引っ掛かっていると思ってくださいませ。とはいえ、結構たくさんのお化けに引っ掛かってるペアもいますが。
 NPCは結構抽選となっております。やはり、何人かに人気が集中しましたね。抽選結果は、乱数の女神様のダイスの目のままになっております。
 PC同士の組み合わせは、男女希望などでぴったりの組み合わせが少なかったので、おおよそはNPCが埋める形になりました。
 この類のシナリオは、脅かす方と脅かされる方がシンクロするかどうかがキモでして、共通項があった場合、両方を合わせた結果、とんでもない結果になっているペアが何組かあります。完全予想通りのオーダー小説と違って、予想の斜め上がPBWの醍醐味と言ったところでしょうか。