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リアクション
エピローグ11
更に数日後 クロカス邸 応接室
鋭峰が白竜より報告を受けてから更に数日後。
ツァンダのクロカス邸に鋭峰はいた。
「お待たせ致しました。ツァンダ家に連なるクロカス家の息女――レティーシア・クロカス、馳せ参じましたわ」
応接室に入ってくるなり少女――レティーシア・クロカスは鋭峰に向けて優雅に一礼する。それに応じ、鋭峰もすぐに立ち上がると、背筋を伸ばして姿勢を正し、シャンバラ教導団団長に相応しい威厳を以て答礼する。
「この度は会談の席を設けて頂き、誠に感謝しております。シャンバラ教導団団長、金鋭峰。ご招待に与り参上致しました」
挨拶を終えた二人は応接室の席につくと、早速本題に入る。
「教導団への五箇所同時襲撃に続き、今度は貴校へのテロ攻撃も起きてしまった以上、これからも他の学校施設が同様の襲撃を受ける可能性は極めて高いと言えるでしょう。その辺りはレティーシア嬢としてはどうお考えか?」
鋭峰からの問いに対し、レティーシアは一も二もなく即答する。
「もちろん、あなたと同意見ですわ。そしておそらく、このまま受け身でいてはいずれ致命的となると危惧しているのも同じでしょうね」
その言葉を聞き、鋭峰は大きく頷いた。
「レティーシア嬢もそうお考えであれば話は早い。かねてより建造を進めていた“迅竜”を出す時に他なりません」
満を持したように鋭峰がその名前を口にした途端、レティーシアの表情が強張る。
「それも必要なことかもしれない――それはわかっているつもりですわ……しかし、あれは強大過ぎる力なのでは――」
未だ何かを躊躇っている様子のレティーシアに対し、鋭峰は一切の迷いを感じさせずに言い放った。
「ヒラニプラの機晶技術とツァンダの造船技術、言い換えれば我々シャンバラ教導団と蒼空学園、ひいては紅生軍事公司とクロカス家の力を結集させ、それこそあらゆる力を尽くして修復を進めていた古代の遺物――“迅竜”。あれの修復を勧めたのも有事の際の切り札とする為。ならば今この時に動かさずして、いつ動かすというのです?」
そこまで言い切られては流石のレティーシアも頷くしかない。
「ですが、今すぐに……というわけにはいきませんわ。それなりの期間、動かされることなく眠っていた上、ここ最近の騒乱の数々で修復作業は完了を目前にして中断されていたんですもの。然るべき作業は必要ですわよ」
そう告げるレティーシアに向け、鋭峰はまたも即答した。
「問題ありません。我々の持ち得るありとあらゆる手を全て尽くし、可及的速やかに始動させるまでです」
鋭峰の決意が既に揺るぎないものであると理解したレティーシアは彼と同じく腹を決めたらしく、腹の据わった物腰で告げる。
「ツァンダ家に連なるクロカス家の息女――レティーシア・クロカスの名において“迅竜”を託します。シャンバラ教導団団長、金鋭峰――他ならぬ、あなたに」
決意に満ちた瞳を正面から受け止めながら、金鋭峰もそれに答えた。
「ならば私も宣言しましょう。シャンバラ教導団団長、金鋭峰の名に置いて、“迅竜”を始動させることを、今ここに――」
【第二話】激闘! ツァンダ上空 完
To be continued.