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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

リアクション

「フハハハ!我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス! シェヘラザードよ、貴様との深ーい因縁も今日までだ! ここで決着をつけてくれよう!」
「またお前かっ!」
「おふあっ!」

 シェヘラザードが吹雪の袋からつかみ出して投げたエメラルドの塊が、ドクター・ハデス(どくたー・はです)の眼鏡を叩き割る。

「くっ……また投擲攻撃とは……眼鏡が無ければどうなっていたか!」
「うっさい! 今のあたしは超燃えてるのよ。悪いけど、いつもの五割増しでボコボコにするわよ!」

 いつもの五割増しがどの程度かちょっと計算しつつも、ハデスは再度高笑いをあげる。
 大丈夫、ギリギリ大丈夫。

「ククク、シェヘラザードよ、貴様との戦いも、いよいよ大詰め! 今までは手加減してやっていたが、ついにこの俺の本当の力を見せてやろう!」
「こうなった兄さんは、もう止まらないんですよね……仕方ありません」

 そう言ってハデスの隣に立つのは、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)だ。
 前回と違って、今回は魔法少女に変身済である。

「兄さんのために……皆さんには、ここでお帰り願います!」

 どうやら、いつもとは一味違うかもしれない。
 そう感じた面々は、武器に手を携える。

「悪の組織の大幹部たるもの、真の力を見せるのはクライマックス直前と相場が決まっているからな! というわけで、さあ行くのだ、我が部下改造人間サクヤよ!」
「はい、兄さん!」
 
 戦闘準備を整え、すっと目から光の消える咲耶。

「くすくす、私と兄さんの仲を邪魔する方々には、消えてもらいますよ?」
「ククク、我らの連携、見せてやろう!」

「本気みたいだね……どうする?」

 迎撃態勢を整えた真人。
 さゆみも、アデリーヌも、北都も、ルカルカも……全員が、シェヘラザードの言葉を待っている。

「決まっているわ」

 シェヘラザードは意を決した目で、全員に告げる。

「あのヤンデレ系にチェンジした子を、皆で抑えて! その間にあたしとドニアのコンビネーションでお笑い博士を狩るわ!」
「な、なにィっ!?」

 思わず後ずさるハデスに、シェヘラザードはニヤリと笑って告げる。

「おまえが連携でくるなら、こっちは大連携よ。正義の力、たっぷり見せてあげる! 今日はもう眼鏡アリで帰れるとは思わないことね!」
「くっ、サクヤよ!」
「させませんよ」

 真人の召喚した不滅兵団が。フロンティアソードを抜いたさゆみが立ち塞がる。
 そう、結局は最後までこうなる。
 ハデスの眼鏡は一つ残らず割れ、いつも通りにボコボコになる。

 けれど、誰も死んでいない。
 後には捨て台詞と笑顔しか残らないような、そんな戦い。
 これから起こる本当の悲劇の為の……前哨戦。

 ちなみに、この戦いでシェヘラザードが投げた貴金属類は、あとでちゃんと吹雪とイングラハムが回収している。
 ちょっと増えた財宝は何故なのか不明だが、行方不明の貴金属が生まれなくて安心である。