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【じゃじゃ馬代王】空京クリーン大決戦!

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第四章 できる執事の掃除術

 観光客ガイドツアーのアナウンスマイクを握った一雫 悲哀(ひとしずく・ひあい)が足をとめてアナウンスしている。
  「空京はシャンバラ王国の首都であり、こちらの建物が『空京大学』となります。
  海上都市海京とつながる空京はいち早く地球のモノや人、情報が入ってくる街と言えましょう」

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 王 大鋸(わん・だーじゅ)エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)エオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)の三人と、
エオリアが連れてきたネコミミメイド姿の『メイドロボ』は空京大学、学長室にやってきた。

 学長の嵐を起こすもの ティフォン(あらしをおこすもの・てぃふぉん)はこの部屋を使わずイコン基地にいる。体が大きすぎて学長室に入れないのだ。

 エースが扉をノックすると、前学長で現教授のアクリト・シーカー(あくりと・しーかー)が返事をした。

  「シーカー教授、お仕事中ですか?」
 書類の束に書き込みをしているアクリトにエースが訊ねる。
  「いや、ただの電話番だ。大掃除だったな。これは学生のレポートだ。ここでする必要性はないのだよ」
 アリクトは書類を小脇にかかえると、三人に「もし電話がきたら応対を頼む」と言い残して立ち去った。

  「動かせるものは全部一旦廊下に出してしまいましょう。床のワックスからかけなおしますね」
 エオリアとメイドロボが椅子をてきぱきと運び出していく。王もそれに続いた。

  「本棚があるのに、何故本を机の上に出しっぱなしにしておくのか……使ってますアピール?」
 エースは本を本棚のあるべきところに戻していく。それが終わると王に声を掛け、机などの重い家具を廊下に運び出した。

  「ものがねぇと結構広いもんだな学長室。まぁ、あの学長の前足も入らないだろうけどな」
 がらんとした校長室を見ながら王が言う。エースがそれに答えて言う。
  「実質は応接室ですからね。来賓客の目に真っ先に晒される場所ってことで、特に綺麗にしておかないと!」

 ネコミミ姿のメイドロボが床を磨きあげ、ワックスをかけていく。そのスピードは三人という人手不足を補って余りある。

 窓のガラスの内側をエオリアが。外側はエースが『空飛ぶ魔法』を使って磨いている。廊下に運び出された家具は王が雑巾で拭いていた。

 床のワックスが乾くまでの間、三人とメイドロボは廊下にいた。
エースの指示でエオリアが家具の傷みを点検し、修繕している。王が家具を持ち上げるなどの力仕事でそれを手伝っていた。
 エースは来客用のコーヒーと紅茶を点検し、古いものは捨て、新しいものに取り替えている。
メイドロボはごみを集めて捨てていた。

 この際模様替えしてしまおうとエースが提案した。
家具配置を替えた学長室は床を磨きあげ、窓を磨き上げたのもあるのだろうが以前より明るく見える。

 部屋にあった観葉植物をエースが手入れした。”花園の貴公子”としては気になっていたところだ。
雰囲気を変えるために用意していた観葉植物を追加して鉢を替え、寄せ植えにした。
見栄えはもちろん、植物の特性や手入れしやすさも計算されたものだ。それぞれの鉢を日当たりを考慮して配置する。

  「シーカー教授もこの変わりようには驚くんじゃねえか。やり手の執事って感じだな、てめえらは」
 エースとエオリアにそう言った王は満足げだ。