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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
「お砂遊び、楽しいですわ」
「うん、暖かいよね」
 砂の中に埋められて、常葉樹 紫蘭(ときわぎ・しらん)ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)が、ぬくぬくしながら言いました。
「てめえら、なんでパンツを被っていない。さあ、さっさと、今着ているパンツを抜いて、頭に被りやがれ」
 さっそく、そんな二人を見つけたPモヒカン族がやってきました。
「残念でしたー。タオル一枚で、パンツなんか穿いてないから大丈夫なんだよねー。ねー」
「うん。ねー」
 なんだか勝ち誇って、砂に埋まったネージュ・フロゥと常葉樹紫蘭が顔を見合わせます。
「だったら、俺様がこれをやろう」
 有無をも言わさず、Pモヒカン族が真新しいパンツを二人の頭に被せました。
「きゃあ、いきなり、何するのよ。とってとってとって!」
 ネージュ・フロゥが、頭を左右に振って叫びました。けれども、砂に埋まっていて、身動きがとれません。
「待って。せめて、ねじゅちゃんだけは許してあげて。わたくしだけでしたら、何枚でもパンツを被りますから」
 なんだかちょっと嬉しそうに、常葉樹紫蘭が言いました。こちらも、砂のせいで身動きができません。
「よく言った。特別に、てめえにはこの銀のパンツと金のパンツを両方ともやろう。だが、お前はダメだ。さらに、この木綿のパンツを被りやがれ」
「な、なぜ!」
 さらにパンツを被せられて、ネージュ・フロゥがその不条理に叫びました。
「しまった、予測よりも早い動きだったわ。ここは、別のお風呂に……って、見捨てられないかあ」
 砂風呂に移動してきた御神楽舞花が、Pモヒカン族に襲われているネージュ・フロゥたちを見かねて、仕方なくギフトたちに攻撃を命じました。
「うおおおお。何をする……」
 あっけなく、Pモヒカン族がやっつけられます。
「今脱がしてあげるからね」
 御神楽舞花が、ネージュ・フロゥたちに駆け寄ろうとしました。
「待つんだよね。一度被ったパンツは、そのまま守らないといけないんだよ!」
 突如現れたP級四天王苺おぱんちゅディフェンダー番長騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が、御神楽舞花の前に立ちはだかりました。
「ふんなほの、はもんなくて……ふが、いいれふ!」
「はふほふでふは!」
 砂の中から、ネージュ・フロゥたちが言いました。何重にもパンツを被せられているので、少しもがふがしています。
「大丈夫か。これから、パンツを守るぞ」
 夏のお嬢さんに助け起こされたPモヒカン族に、騎沙良詩穂が優しい声をかけました。
「ありがとうごぜえやす、さすがはP級四天王様だ。でも、なんで、頭にパンツを被っていないんですかい?」
 助けてもらったPモヒカン族が、不思議そうに騎沙良詩穂に訊ねました。
 言われてみれば、P級四天王なのに、騎沙良詩穂はスカートのついた水色のビキニ姿です。頭に、パンツを被ってはいません。
「番長。番長自ら、俺たちに手本を見せてくだせえ!」
 そう言うなり、Pモヒカン族が背後から飛びかかり、一気に騎沙良詩穂のパンツを引き下ろしました。
「えっ!?」
 対峙していた御神楽舞花と騎沙良詩穂が、一瞬にして凍りつきます。
「ささ、早くこの脱ぎたてパンツを頭に……」
貴様〜!
 くわっと目を見開いた騎沙良詩穂が、手に持っていた手ぬぐいに氣を送り込みました。まるでそれが頑丈なメイスであるかのように、フルスイングでPモヒカン族をかっ飛ばします。
「あ〜れ〜」
 騎沙良詩穂のパンツを持ったまま、Pモヒカン族がどこかへ吹っ飛んでいきました。
「詩穂のパンツ……。待てー、返せー!!」
 ビタンと、股間にタオルを叩きつけて、臨時のパンツっぽい物にすると、騎沙良詩穂があわてて飛んでいったPモヒカン族を追いかけていきました。
「い、今のうちよね……」
 呆気にとらわれながらも、御神楽舞花がネージュ・フロゥたちを砂の中から掘り出しました。
「ぬ、脱げない……」
 砂から脱出したネージュ・フロゥでしたが、被せられたパンツがたくさんだったので、簡単には脱げません。常葉樹紫蘭も同様です。なんとか、御神楽舞花たちと協力してパンツを取り去ります。
「し、死ぬかと思ったあ」
 やっと、まともに呼吸をすることができます。もうちょっとで、パンツで窒息死するところでした。洒落にならない死に方です。
「とりあえず、そこの炭酸風呂で、砂を落としましょう」
 御神楽舞花に言われて、ネージュ・フロゥたちはそばにあった炭酸風呂にむかいました。
 しゅわしゅわんと、炭酸水のお風呂からしっきりなしに泡がたちのぼっています。中に入ると、ネージュ・フロゥと常葉樹紫蘭が身体に巻いていたタオルに泡がついて、お湯の中でぷっかりと浮かんでめくれあがりました。タオルの下は、さっきも言ったようにすっぽんぽんです。
「いや〜ん」
「はうっ、ねじゅちゃん……」
 ネージュ・フロゥのあられもない姿に、同じ格好である常葉樹紫蘭がわくてかしすぎてちょっとふらりとします。
「はいはい、肩まで浸かりましょうね」
 これ以上、ややこしいのは勘弁してくださいと、御神楽舞花がネージュ・フロゥと常葉樹紫蘭に言いました。
 
    ★    ★    ★
 
「さすがは、オープンな風呂だなあ。結構みんな大胆だよね」
 すっぽんぽんで遊歩道を闊歩しながら、ミスノ・ウィンター・ダンセルフライ(みすのうぃんたー・だんせるふらい)が言いました。
 やっぱり、お風呂という物は、裸のつきあいをする場所です。水着なんかを着けるのはやっぱりいけません。
 こうやって、自らのすべてをさらけ出すというのはいいものです。この豊かな胸や、ナイスバディを隠すなんて、そりゃもったいない。女なのですから、それは強調するべきです。
「あっ、あそこの女の子、いい胸の形しているよね。あっちの子は、まあ……ぽっ」
 散歩しながら、すっぽんぽんの女の子を見つけては、ミスノ・ウィンター・ダンセルフライがそれを鑑賞し、堪能します。
「にしても、なんでパンツ被ってる子がちらほらいるんだろう。すっぽんぽんになるなら、頭にもパンツ被っちゃいけないんだよね」
 堂々とすっぽんぽんで歩く天神山保名と一緒にいる天神山清明と伏見さくらを見て、ちょっとミスノ・ウィンター・ダンセルフライが憤慨しました。言わせてもらえば、タオルを巻いている斎藤ハツネもダメです。風呂は、すっぽんぽん。これ一択です。他はありえません。
「パンツーハットを普及させている、Pモヒカン族さんにも、一定の理解をしてあげないと」
「そうですよね」
 意味不明な会話を交わしながら、天神山保名と伏見さくらが打たせ湯の方へと歩き去ります。
 どうやら、パンツを被せているPモヒカン族とかいう者たちが徘徊しているようなのですが……。これは、許せません。
 ところが……。
「うああああ……!!」
 ずぼっ!
 突然落ちてきたPモヒカン族が、ミスノ・ウィンター・ダンセルフライの頭に騎沙良詩穂のパンツを被せました。
「た、助かったぜ。このパンツがなければ、地面に叩きつけられているところだったぜ」
 Pモヒカン族が、パンツに感謝しました。
「何をする!」
 怒ったミスノ・ウィンター・ダンセルフライが、Pモヒカン族を吹っ飛ばしました。
「ま、また……。いや、詩穂のパンツを持ってない……」
 追いかけてきた騎沙良詩穂が、吹っ飛んでいくPモヒカン族がパンツを持っていないのを見て唖然としました。あろうことか、目の前のミスノ・ウィンター・ダンセルフライが騎沙良詩穂のパンツを被っています。
「中途半端な。お風呂は全裸でしょう」
 下半身タオル一枚の騎沙良詩穂にむかって、ミスノ・ウィンター・ダンセルフライが言いました。被せられたパンツをかなぐり捨てます。それを素早く騎沙良詩穂がタオルを絡めて拾いあげました。当然、その間は下半身はすっぽんぽんです。
「おお、ちゃんと裸でお風呂に入る気になったんだもん」
「ちがーう!! あんたこそ、ちゃんとパンツを穿きなさいよ。パンツは、大切な物なのよ!」
 いそいそとパンツを穿きながら、騎沙良詩穂が言い返しました。
「どうやら、決着をつけなくてはいけないみたいよね」
 二人は、激しく戦いながら移動していきました。お互い互角です。
 戦いの場を移動する二人は、たくさんのPモヒカン族とイングラハム・カニンガムの気絶している電気風呂に近づきました。しかし、倒れているPモヒカン族たちのせいで、そこに電気風呂があることまでは分かりません。
「いいかげんに、パンツを……」
「脱げ!」
「穿け!」
 お互いにそう叫んだときです。頭上から、ばらばらとPモヒカン族たちが降ってきました。葛城吹雪の吹っ飛ばしてくるPモヒカン族たちです。
「うきゃあ」
 なだれるようにして、二人がイングラハム・カニンガムの落ちている電気風呂に落ちていきました。